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霊異の解放者  作者: Ritoha
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21話近づく強敵

「申し訳ありません、主様…霊断士や巫女の試験であのような事を起こす者がいるとは」


爆火之眷属が言い、叶絵と2人頭を下げる。


主様と言われる男、彼の正体は霊断士、巫女の元締めの様な存在だ。そんな彼に、試験での新人の酷い状態を見せてしまったのだ。謝罪しなければ失礼にあたる。



「君達が謝ることはないさ。何せ、斎喜と叶絵の弟子は素晴らしい姿を見せてくれた。斎喜の弟子は、大勢に囲まれようとも決して反撃はしなかった。人を傷つける力ではないと理解しているのだろうね。そして、叶絵の弟子も霊気を使ったが決して武器を取ることはなかった。良い子を育てたね」


と優しい声で2人に言う。


「主様にそう言って頂けると我々としても嬉しく思います。しかし、大事な試験の場を汚した者の師は調べます」


と叶絵が宣言する。


「そうだね。それは大事なことだ。大切な子と言えどもそんな事をする子を許すことは出来ないからね。2人とも頼むよ」


と主様と呼ばれた男が言う。




「それにしても叶絵さん、さっきはあなたの弟子のお陰で私の弟子が助かったよ…ありがとう」


と斎喜が叶絵にお礼を言う。


「気にすることはないさ、私の自慢の弟子は決して困っている人を見捨てたりはしない…そんな子だ」


「そうだとしてもだ。ありがとう!彼の名前を教えてもらっても良いか?後でぜひ礼を直接言いたいからね」


と斎喜が聞く。



「ああ、本人に直接言ってくれるのが良いな。私の弟子の名は廻理。夜疎川廻理という」



その瞬間、斎喜は驚愕の表情を浮かべた。


「なっ、本当かい!夜疎川……そうか彼が、道理で強いはずだ。確かに似ている、彼らに」


「納得がいった気がするよ。私がなぜ試験を見るためにここに訪れたかを……彼を見るためなのかもしれないな」


と主も言う。


「ええ、だが廻理の強さは譲り受けたものだけじゃない。彼がひたすらに努力して手に入れたものだ。これからもさらに強くなれる」


と叶絵は自信満々に話をしながら映像の廻理に目を向ける。





2日目の夜がやってきていた。


「廻理、行くわよ」


「ああ、真輪!」


と言い試験に向かう。



街を歩いている途中で、昼間にあった気の弱そうな少年に遭遇する。


「ああ、昼間のごめんね。僕は…怖くて、その隠れていることしかできなかったよ」


と申し訳なさそうに声をかけてくる。一緒に行かなかった事を申し訳なく思っている様だ。


だが、廻理は知っている。


「君は、君の巫女を守っていたんだ。それが正しい行動だよ。逃げても良いんだ」


と声をかける。


気づいていたのだ。廻理が集団に向かって行った時に、すぐさま巫女を連れて隠れていた事をそして巫女を庇うように様子を伺っていた事を…巫女の安全を優先した。


「僕には…本当にちょっとの事しか出来ないから…」


「慎重なのも大事なこと…私は、あなたがパートナーで良かった」


と少年の巫女が呟く。彼を信じるという気持ちが感じられた。


「だろ?なら君は自分に出来ることを全力でやったら良い。俺は、君を応援してるよ」


「そうか、僕に…出来ることを。やってみるよ、僕の名前は、那加刻(なかとき)(ゆう)って言うんだ。よろしくね!こっちは、水城星羅(みずしろせいら)


「ああ、俺は夜疎川廻理。生きて試験を終われたら良いな!」


と廻理は答え2人と握手する。





それぞれ別れて霊異を倒しに行く。



「たくっ、数が多すぎるだろ!」


廻理と真輪が相手にしているのは、狼の群れになっている霊異だ。


「これは、厄介ね!祈りも数が多いと少し面倒なのよね」


と真輪は言いながら霊異にトドメを刺していく。廻理の実力もあってか真輪は冷静に祈りを続けることが出来ていた。




「これで最後だ!」


「二度と彷徨うことなかれ!」


廻理が1番大きい狼を両断し、真輪の祈りにより消滅する。



「ふぅ、大量に来ると厄介だな…やっぱり数の力は強い」


「それにしては余裕を感じられたけど?怪我もしてないんじゃない?」


と真輪が答える。


「いや、ちょっと掠った。まだまだ修行が足りないなぁ…」


と師匠との特訓を思い出し呟く。


「私が治療するわ!傷を見せて」


と言い怪我をした右手を祈りで治療する。


傷はあっさりと治り、真輪の実力が伺えた。


「ありがとう真輪。続きを始めようか」


と言い歩き出す。






街の外れを1組の受験者が走っていた。


「待ってください…はぁはぁ、助けて」


と巫女が言いながらも前を走る霊断士を追う。


「うるせぇ、あんなのと戦ったら死んじまうだろ。囮になって役に立ってくれ!」


「きゃっ!」


ここで巫女はつまづき転ぶ。


「じゃあな、俺を恨むなよ…」


と巫女を見捨てて走り出した所で目の前に人がいた。


「おいおい、大事な相棒を捨てるなんて酷いことするじゃねぇか?」


と男が笑う。くたびれた着物を着た男だった。


「一体何なんだよお前は!」


「はぁ?知ってるだろ、お前らが沢山倒してきた霊異とか言ってる奴だよ。まぁあんな雑魚どもと同じにゃされたくないけどな」


受験者の男は武器を持つが手が震えて動きが鈍い…


「昼間のあいつより…威圧感が…強い…」


歯もガチガチと震え、足も立っているのがやっとだ。


ここで霊異と名乗った男が言った。


「あの方の命令だ。お前たちを殺す。ここにいる、憎い霊断士と巫女を皆殺しにする」


という言葉を聞いた所で霊断士を受験した男の意識はこの世から消えた…

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