表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊異の解放者  作者: Ritoha
2/35

2話霊異という存在

廻理は、謎の存在に対して死を覚悟したが女性の登場により自分は助かると感じた。


「後ろに下がっていてくれよ?戦いに巻き込まれるからね……それでは、解放を始めましょう」


と言いながら槍を構える。どこから槍を出したのか廻理にはさっぱりわからなかった。


「真夜中とはいえ、誰かが通らないとも言えないしね。対策はするに越したことはないね〜」


と言いながら女性は、ブツブツと呟きだした。


廻理には、なんと言っているのか聞き取れなかったがその後に、公園に変化が起こったことを感じた。


「何だろうか……これは閉じ込められてる?」


感じたことを呟くと女性は、少し驚いたように反応する。


「ほぉ、私が何をしたかわかるなんて君は本当に一般人なのか疑わしいな。さて相手に集中しないとね」


女性は正面を向き、巨大な狼のようなものに向かい合う。


「狼?何で俺にも見えるんだ?さっきまで何もいなかったのに……」


普通の狼の大きさじゃない、アニメの中の魔物の様じゃないかと廻理は思った。


「おお!見えるようになったか、君には霊断士の才能があるのかもなぁ〜」


ここで女性から聞いたことのないワードが出てきた。


「それは何で………消えた!」


と言った時にすでに女性は廻理の前から消え、狼の前に現れていた。


「はぁぁぁぁぁぁ!」


槍があっさりと狼を貫く。


「ガァァァァぁぁぁ!」


狼が悲鳴を上げながら暴れたため女性の手から槍が抜けてしまう。


「武器を取られた!まずいんじゃ!」


と廻理は思ったが女性は笑みを絶やさずにいう。


「武器に頼っているようじゃ三流だよ。たとえ武器が無くて自分の身体だけでもどうにか出来るようにならなければならないよ」


狼が腕を振り上げて大きな爪で切り裂こうとするが女性はあっさりと回避して蹴りを入れる。無駄の無い動きに廻理は、夢中になった。


人間の動きじゃ無いだろうと思うのが素直な感想だ。


ありえないだろう。人が巨大な狼を殴りつけているのだ。


「さて、そろそろ終わりにしようか…はぁぁぁ!」


槍を奪い返し、そこから槍で突きを放つ。


「グリュュュュュ」


狼は弱々しい声を出しながら倒れこむ。


女性は、狼に手をかざしながら言った。


「魂の解放を、二度と彷徨うことなかれ……」


直後に光がキラキラと空に昇っていった。その光がとても綺麗で廻理は、ひと時の間空を見つめ続けていた。


「あれは、魂の輝き。美しいだろう?人の魂にはそれだけの美しさがあるということだよ」


地面に座り込んでいる廻理の前に女性は立っていた。


「何が何だか頭が着いていかないですよ……」


素直な感想を廻理は女性に漏らす。


「ははは!そうだろうな?君は、普通の人が人生でほぼ体験しないようなことに巻き込まれたんだから!」


「何なんですか?あの魔物みたいなのは、もしかしてここは異世界とか?」


「ふふっ。君は、ライトノベルかアニメの見過ぎじゃ無いか?紛れもなくここは日本だよ」


異世界転移は、あっさりと否定された。別に憧れていた訳じゃないし、現実逃避したいわけでもない。だがあんなものに出会ったら疑ってしまうものだ。


「君は幽霊を信じるかい?」


女性が廻理に質問をしてきた。


「え?」


唐突な質問に廻理は、反応出来なかった。


「そのままの意味だよ。君の短い人生でも一回は聞かれたことがあるんじゃないか?幽霊はいると思うか?」


「うーん。俺はいるんじゃないか?って今まで答えてきたな….見たことがあるわけじゃないが」


「それならさっき見ただろう?あれは幽霊のようなものだ。私達は霊異と読んでいるがね。実在するということだよ幽霊は」


と答えた。


「あー、んー…、反応に困るな…」


幽霊が存在すると言われてもなかなかピンと来ないものだと自分で体験しといて思う。



「それにしてもさっきの霊異は、どうだった?怖かったかい?」


またも女性が質問してくる。


「そりゃあ怖かったですよ。殺されると思ったんですから、それに人が食べられていたし、良く今は平気でいられるなと思いますよ」


先ほどのような恐怖を今は感じていないなと思いつつ答える。


「まぁ私が来なければ死んでいただろうな…被害は出したくなかったが、意外と人がよく死ぬんだよ」


と少し残念そうに女性は答えた。



そして表情を変えて廻理にこう言った。


「そういえば、君のズボンが濡れているようだが、まさか漏らしたりしてないだろうね?」


嘘だろというように廻理はズボンに触れると確かに湿っている。


恥ずかしさのあまり、廻理は顔を赤くしていく。

だがそんな廻理に対して


「まぁペットボトルを投げた時に少し飲み物がこぼれただけだし、気にしても仕方ないさ!」


と女性は、楽しげに言う。廻理は、女性に騙され、からかわれたのだ。


「はぁぁぁぁぁぁぉぁ!」


と廻理の声が公園に響くのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ