表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊異の解放者  作者: Ritoha
1/35

1話真夜中の出会い

幽霊を信じるか?誰もが人生で一度はされた事があるだろう質問だ。


その質問に対して俺は、こう答える。


「いるんじゃないか?」


見たことがあるというわけじゃない。だが俺には何かがいると感じることがある。

言うなれば第六感というやつだ。まあただ気のせいかもしれないが…


「まずい!時間だ」


余裕ぶって考え事をしていたが、時間が迫っていることに気づく。


急いで、制服に着替えてホテルを出る。忘れ物はしていないだろう。



今日は、高校受験当日だ。


街中は朝8時とはいえ多くの人が通勤通学などで歩いており混んでいた。


「さすがは都会だな……人が多い。島とは大違いだ」


と言いつつスマホのマップを見ながら試験会場の高校に向かう。





2日間かけて5教科と面接が無事に終わった。


「それにしても面接官には、離島の話のウケが良かったな…」


個人面接であったため、雑談のようになってすぐに時間が来てしまった。


休憩ついでに公園に寄り、祖母に電話する。両親にかけるというのが一般的だろうが俺には両親がいない。子供の時に事故で亡くなったそうだ。


「もしもし、廻理かい?試験どうだった?」

廻理かいりとは、俺の名前だ。


「合格出来そうだよ!」


「それは良かったよ。まだ何日かそっちにいるんだろう?のんびりして帰っておいで」


「うん!ありがとう。ばあちゃん」


「お父さんとお母さんにも教えてあげなきゃねぇ」


「うん、お願いね。じゃあまた!」


と言い俺は電話を切る。


今日はさっさと帰ろうと思い、廻理は伸びをする。


時間はもう夕方、夕焼けが綺麗に見えた。公園を出ようとした瞬間に風が吹いた。その瞬間、とてつもない寒気を廻理は感じた。


「何だ?冬の寒さとは違う寒さを感じたけど…」


周りを見回すが変わった様子はない。だが、廻理の鳥肌が立っていた。


長くここに居たくはなくなったため足早にホテルに戻ることにした。



この時、廻理がすぐに公園を離れたのは正解だった。奴らの活動時間は、すでに始まりつつあるのだから。


「グウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


廻理が去った後の公園に獣の様な声が響く。




喉が渇き廻理は目を覚ました。時刻は深夜1時。


「飲み物でも買いに行くか……」


財布とスマホを持ち、部屋を出る。


自販機を前にして廻理はため息をついていた。


「全部売り切れかよ!」


不運なことに自販機で買えるものはなかった。自販機を蹴りたくなったが、さすがにそんなことは出来ない。


仕方ないので、外に出ることにした。


そういえば、あの公園にも自販機があったことを思い出す。


「正直行きたくないけど…」


と言いつつ何かあるのかもという興味もあった。廻理の悪い癖だ。

正直、コンビニなんかを探していれば良かったと思うことになる。




外は意外にも人が歩いていた。


「さすが俺が住んでいる所とは違うな」


この時間帯に歩いている人はいない所に住んでいたため驚く。


歩いていると公園が見えてきた。



公園に入ってすぐ近くに自販機があり、そこで飲み物を買う。


ゴクゴク!と半分ほど一気に飲みほす。


反対側から酔っている様子のサラリーマンが歩いてきているのが見えた。


「絡まれたりしないだろうな……」


都会は何が起きるか分からず怖いため廻理は、さっさと帰ろうと公園を出ようとした瞬間悲鳴を聞く。



「うわァァァァァァア!腕、腕がぁぁ!」


先ほどのサラリーマンが蹲っている。


「はぁ!嘘だろ」


何が起きたのか分からず、廻理は驚く。


驚く間にもサラリーマンの腕は、宙に浮いていき、突然消えた。


腕が消えた時、咀嚼音の様な音が聞こえた。


どうしたら良いのか、そんなことを廻理は考えるが思いつかない。動けないのだ。力が入らない。息の仕方すら忘れた様な気分だ…


「ああ…何なんだよ…」


サラリーマンは、必死に動いているがその身体が腕と同じように宙に浮かぶ。


そしてサラリーマンは消えた。元からいなかったかの様に…だが飛び散った血がサラリーマンの存在を確定している。


何かが廻理に迫ってくる感覚を感じた。


「俺を狙ってるのか?」


廻理は、必死に逃げようとするが身体が動かない。


「ちくしょう!」


ヤケクソで持っていたペットボトルを投げると、それが弾かれ地面に転がる。


「やっぱり何かいる…」


徐々に近づいてくるのを感じる。



目を前に何かがいる。嫌な息遣いを感じた。


「俺、死んだな…」


と言った時に強烈な風が吹く。



「無事かな?怪我はしていないか……さて、下がっていてくれよ」


と女性の声がした。


気づくと廻理の前に髪が長く背の高い女性が立っていた。


とりあえず、廻理は助かったのだと不思議な安心を感じたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議なお話。 面白い。 [一言] メリークリスマス(赤文字)をプレゼント
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ