明明
6月11日合宿1日目
バスはホテルの入り口前で止まる。
「皆んな着いたでー、どや凄いホテルやろ滋賀で一番って言っていい程のえらい高級ホテルやぞ」
南部フェリスタホテル、和と洋を一つに合わせた斬新なホテルである、部屋は20階まであり、10階から上は旅館の様な座敷の部屋になっている。
フロントに入ると最初に目に付くほどにキラキラと凄い存在感を放つシャンデリアだった。
学生の合宿でこんな高級ホテルを用意する何て、この合宿全体でどれだけのお金が動いたのだろう少し陰陽道の考え方に身震いする程このホテルは僕達には場違い感があった。
「明」
遊馬が何故か僕に近づきひそひそ声で話かける。
「ここのホテル露天風呂があるらしいぞ! ホテルなのに珍しいよなー」
「……あぁ、そうだね」
「これはあれだな、定番回ってやつだろ!」
遊馬何を言っているんだろう……それに、こんなに生き生きした遊馬を始めて見た気がする。
「えーっとな君らの部屋は12階と13階に2人部屋を用意しとるから、部屋決めは君らに丸投げしてええ?」
1クラス5人のチームなのに1部屋2人か……。
「黒子はイリヤと同じ部屋ではないとダメだ、でないとイリヤが心配で夜も寝ることは出来ぬ!」
「……はぁ、そういう事らしいから私は土御門さんに申し訳ないけど、奏と同じ部屋にするよ」
もう、慣れたのか諦めたのか黒子さんと同じ部屋になるリスクを分かっていて……。
「まぁ必然的に僕と遊馬が同じ部屋になるね」
「宇多姫別に俺と一緒の部屋でもいいぜー」
「それは死んでも嫌です」
「ははっ……軽い冗談だったんだけど、こんなに傷つくとは思ってなかったよー」
「さて、土御門さんのルームメイトどうしましょうか」
「宇多でいいですよ」
「えっ……?」
「あんまり苗字で呼ばれるの好きじゃないから、宇多でいいです。
あの宗方 遊馬さえ下の名前で読んでますし、許して無いのにあだ名で呼んでいるんですよ、注意するのが面倒でそのままにしてますが」
「本当に俺の扱い方酷くない? あの……ってなに! それに俺だけフルネームで呼ぶのやめてくれない?」
「分かったよ宇多って呼ぶ事にするよ」
「イリヤが呼ぶなら私、黒子も宇多と呼ばせて頂きます」
「あっ……無視ですか」
少し遊馬が可哀想になってきた。
すると「宇多ちゃんー」っと遠くから1人の少女が走ってくる。
宇多と同じぐらいの身長でクセ毛でほんわかとした女の子であったが、身長が同じくらいなのにここまで成長に違いがあるなんて残酷だな……何を言いたいか多分分かってもらえるだろう。
例えるなら宇多は、まな板……その子はメロンと言った所だろうか。
「茉由! 貴方も関東高にいたのですね、全然気づかなかったです……」
「学校広いから仕方なよね、でもね私もね最近気づいたの!
その時ね嬉しかったよーまた一緒に学校に通えるんだーって」
「茉由……もしかして志木 茉由?」
「うん、そうだよー」
「イリヤさん茉由さんの事知ってるのか?」
「逆に伏見君は知らないのか……? 志木 茉由は昨年度中学生にして鬼を浄化した数73体それも1人でだ」
「あー俺も思い出した、ニュースで名家の子では無いのに天才とか言われてた確か……符術魔法が使えるんだよな」
「うぅそんな事皆んなの前で言われると恥ずかしぃですぅ〜」
本当にこの世の中は見た目だけで人を判断してはいけないな……。
でも困ったなその天才、志木 茉由がここにいるって事は僕達はこの天才を倒さないといけないって事か……。
「あっそうだ、宇多ちゃんルームメイト決まった?」
「いや、まだですよ」
「じゃあ私と同じ部屋になろー、宇多ちゃんといっぱい話したい事があるの〜」
でもこの人がいたお陰で宇多が1人じゃなくなって良かったと思えた。
そして僕達の話し声を聞きもう1人こちらに近づいて来た。
「あれ〜、もしかして宇多ぁ?」
「……兄さん」
「あははっ! 本当に宇多だ、急にいなくなったから死んだと思ってだけど生きてたのかー良かった良かった」
……なんだろう。
「何か用ですか」
「そうだなぁ」
身長180ある大柄の体格で宇多の肩を掴み顔を近づける。
「お前、調子乗ってんじゃねーぞ。
お前みたいな才能がない奴は帰れよ、いるだけで目障りなんだよ」
「お前いきなりなんだ!」
「ああ、誰だてめぇ」
……この感情は。
「貴様イリヤにてめぇだと、今からその口黙らせてやろうか」
……でもそれはどうでもいい。
「まぁまぁ皆んな落ち着いてー」
「そうだよ、皆んな落ち着いて。
だけど宇海君今のは酷いよ、宇多ちゃんの気持ち少しは考えてよ」
今はどうも感情だけで体が動いている。
「存在意味がねぇ奴に——ッ」
伏見の振りかぶった渾身の拳が宇海の頬を突く。
「てん……めぇも誰だよ! なにしやがる」
「挨拶なしで初対面の人を殴った事はいけない事ですね、だけど謝る気は無いです。
僕は貴方が嫌いだ、宣言します貴方みたいに弱い人間はどうやっても僕達には勝てませんよ」
「てめぇら下等人種が俺に勝てるわけねぇだろうが……そうだなぁ賭けをしよう
てめぇらが勝ったら俺は二度と宇多には近づかねぇ、俺が勝ったらそこの女子3人一晩俺の奴隷って事で決まりな」
「お前! 何を言ってるのか分かってるのか」
「ああっ! 絶対勝てるんだろう、じゃあいいじゃねぇか」
「ちょっと宇海君、俺じゃなくて俺達って言ってよ。
それにずるいじゃないか僕にもその賭け混ざっていい? 僕はね宇多ちゃんがいいなぁ〜」
「柏、そうだなぁ悪かったな!
じゃあ柏は何を賭ける?」
「ん〜、そうだな皆んなが今まで見たことの無いものを見せてあげるよ」
「なんだそれ、まぁいっかじゃあプログラムによると5日目に俺らが当たるらしいからまたその時にな」
「ごめん宇多、皆んな……僕のせいで変な事になって」
「良いんです、私は逆に感謝しています」
「私もなんかあいつ殴られるの見てスッキリしたし」
「イリヤも黒子と同じ事を思っていたのか、やはり気持ちが通じ合っているのだな」
「いやーこれは頑張らないといけないなー。
皆んながあんな奴に汚されるなんて、うら……許せないしなー」
「なんか私も賭けの対象になってましたね、っという事で皆さんファイトですぅ〜」
皆んな有り難う……。
——「そう言えば柏さっきの見たことの無い事って何?」
「えーやっぱり気になってたんだー。
そうだねぇ科学の進歩かな?」
「全然意味がわかんねぇ」
「まっ後々分かるよ! 宇海君が勝つことが出来たらね〜」
「……? なんか矛盾してね」
「そうだね、あははは!」
「柏いつにも増しておかしくなってんぞ」
少年は笑う……笑い嗤う。




