2話 ネムノンの頼み
連日投稿七日目です。短いです
「バカな……っ、お前が、陛下に謁見を申し込みたい、だと……っ!?明日は大星墜としでも降るのかっ!?」
愕然とした表情で思考をそのまま口に出したベリトに、ネムノンは微妙に表情を歪める。
「失礼、な……。いくら俺が…世俗、に興味がな、くても…。お忙しい、陛下に…許可くらい、は、とる……さ」
ネムノンの途切れ途切れの訴えに、ベリトは座りが悪そうな表情で弁解する。
「しかしだなぁ、向こうの世界でも穴底に引きこもっていて、こっちでもこんな暗い部屋に籠もりっきりなお前がそんな事を言うと…うん、まぁなんと言うか……不気味?だ。ーーーそれに第一、何の要件で謁見を申し込むつもりだ?お前も分かっている事だが、陛下は今凄まじく忙しいんだぞ?陛下のお時間を削くだけの価値はあるのか?」
申し訳なさそうな表情を一瞬で忠臣の表情に変えて問い詰めるベリトに、ネムノンはただ小さな首肯を返した。それで十分だった。
「分かった……。お前がそこまで拘る事だ。陛下には報告はしておく。但し、あくまで陛下のご予定が最優先なのは肝に命じてくれ」
「十分、だ…。あぁ…後、頼めるのなら……以前に、陛下より下さ…れ、た、御命令に…関係、している、と……伝えて、欲し、い…」
「?よく意味がわからないが…了解した。必ず伝える」
首を怪訝そうに捻りながら、それでもベリトは不審な旧友の言を了承する。
その後ろ姿を見送ると、ネムノンは昨今一番の興味の対象が眠る円筒に細い指を這わせる。
「頼むぞーーーベリ、ト。迫る、人間共との、戦のーーーー為、にも......」
魔王が目覚めてから早50年。約束された戦乱の足音は、確実に近づいている......。
区切りが良いので今日中にもう一話、投稿したいです。次回は勇者サイドの話を予定しています