10話 老女の祈り/魔王の誓い
ぎりっぎりで完成しました月猫ネムリです。今回も短い上に行き当たりばったりです。ちくせう
3人の勇者とその同行人たちが去った広間で、ネビリスは1人暗い鋼色の天井を見上げる。
閉じられた瞼の内によぎるのは、在りし日の、忠誠を誓いし主の笑顔。
「あぁ……我が主よ。ようやくです。ようやく、我らが待ち望んだ勇者が参りました…。御身の無念が晴らされる日も間近に迫っております。もう十分にお待ちになられているのは承知の上です。ですがどうか…もう暫しの辛抱を、お願い致します…」
そう、静かに祈るように呟くと、ネビリスは目を閉じたままに、暗天に輝く蒼い月に首を垂れた。
ーーーーーーーーー
「ーーーふぅ~っ。ようやく面倒な書類仕事も一段落したな…」
自室で1人、広い机の上に積み重ねられていた書類を片付けていたヴィルヘルムは、積まれていた書類の山が半分くらいに減った辺りで集中を解いた。
「…………」
3日以上釘付けになっていた机から立ち上がると、ヴィルヘルムは一瓶の果実酒を片手に自室を横切ってゆっくりとバルコニーに踏み出す。
「ネムノンの死兵は1人を除き十分な兵力が揃った。兵団についても数は劣ってこそすれ、質は人間共の数倍はあろう。負ける事はまず、無い。となると……懸念すべくはやはり勇者か」
透明な杯に薄桃色の果実酒を注ぐと、ヴィルヘルムはそれを啄みながら今後の懸案事項を列挙して、今後、最も障害になる存在を自身に再認識させる。
「最悪の場合は我が出張る必要がある、が…。後はネムノンの言う特製の死兵が勇者の切り札に成り得るかどうかだな」
一気に杯に注がれた果実酒を煽り飲み、ヴィルヘルムは腑の奥底から滲み出たような感情のこもった声で、天蓋に座す紅い月に誓約を吠えた。
「覚悟せよ、人類…っ。貴様らがどう動こうと、我らは積年の恩讐を以て貴様らに雪辱を果たす…っ!」
約束された戦いまで、残された時間は、少ない
次こそ本格的なバトルを書きたいっ!けど上手く書ける自信がなぁ~い!