第10話 ようやく職業が決まった!
今回の話しで皆さんの推測は当たっていたのか…
「いえ。スキルには恵まれませんでしたが、私を含めてここに居るものは鍛えれば状態異常の回復スキルを取得可能です。」
「状態異常の回復スキル!それは、真か?」
「はい。少し時間は頂きますが、3人を鍛えながらスキルを取得させることは可能です。もし、出来なかったとしても私のレベルが上がれば状態異常の回復は可能です。」
「それは、とても助かるのじゃ~。今は、エルフの泉が枯渇してきておって回復させるのにも時間がかかっておったのじゃ。」
エルフの里では、基本的にモンスターを討伐していたりしている時などに状態異常になってしまうとエルフの泉の水を飲みながら少しずつ回復させていくのが一般的であったのだが…最近、泉のようすがおかしくなり、みるみるうちに泉の水が少なくなってきてしまっていた。とりあえず、里の外から状態異常を回復するスキル持ちのものを連れてこようにも、多くのものが状態異常となっていたためこれ以上里の守りを減らすわけにもいかず転生者か泉の回復を待つしかなかった。
「それならば、私がこの3人を鍛えている間に私たちの仮の住まい兼施術所を作って頂けませんか?」
「今の話しは聞いておったか?すぐに人員を集めて取り掛かってくれなのじゃ~!」
「「「はっ!」」」
先ほど竜たちを連れてきていた若いエルフたちが返事をすると大急ぎで外に出ていった。急に大きな声を上げたエルフが走って外に出たので、それを見ていた真たちは吃驚したのもそうだが、竜がエルフと会話が出来ていそうなことにそろそろ説明が欲しいと我慢が出来なくなった愛梨が竜を問いただしていた。
「竜先輩!どうして急に日本語以外の言葉を話し始めたと思ったら、エルフとの会話が成立してるんですか!」
「これは、エルフと話さなければと考えていたら、いつの間にかスキルが取れたんだよ。」
「兄貴~。簡単に言うけど俺たちだってエルフに囲まれてた時とか会話が出来るなりたいって思ったけどスキルを取得出来たりなんかしなかったぜ?」
真たちがスキルを取得できないのも無理はない。取得に必要なSPが足りないし、まだ真たちは取得の条件を満たしてもいない。今後、生活していくためには異世界言語を理解出来るのは必須条件となるため竜が率先してレベル上げとスキル取得の条件について話し始めた。
「スキルが取れないのは、スキルを取るための条件が満たされてないんじゃないか?」
「竜先輩と私たちで何か違いってありましたっけ?」
「そうだな~。もしかしたら、日本での国家資格を取得していることも関係しているのかもしれないな~。エルフの言葉が話せるようになってどんなスキルかを確認してみたら【問診】って表示されている。」
「「問診?」」
「兄貴~。問診ってあの患者さんから情報を得るためにするあの問診?」
「たぶんそうじゃないかな~。一応、そのままの漢字を使われてるみたいだし、話しをするって意味では問診で異世界の言語が理解できるのもわかる気がするしさ。」
「ただ、もし国家資格を取得することが取得条件だったら、俺たちは問診のスキルは取れないって感じにならないか?」
「それもそうだけど、さっきエルフとの会話をしている時にそれぞれの種族毎に5人以上との話しをすることが必要みたいなんだよ。それに、直接患者さんとの会話をしている数もかなり違うから、経験値って意味で少し俺の方がスキルが取りやすくなっているのかもしれないね。だから、真たちも多くの患者さんと関わっていけば取得可能になるかもしれないよ。」
「そうかもしれないね。」
真は納得をしているが、他の女性陣はなんとなく竜の雰囲気が普段と違うことに違和感を覚えていた。ただ、この場で聞いても良いものかなんとなく直感がダメだと言っている気がしてあの愛梨でさえも様子をみているようだ。そんなことを知ってか知らずか竜が真たちに先ほどのエルフとの会話の内容を話し始めた。
「それで、真たち3人はまずは経験値をもっと積んでおいた方が良いと思う。しかも、とりあえず衣食住は確保しないと死んでしまっては何にもならないからな。エルフの族長たちとの会話で、私たちの仕事をもらっておいた。」
「仕事?俺らってついさっきこっちに急に来させられて間髪入れずに仕事が決まったの!」
「それで、竜先輩私たちにエルフがやらせたい仕事ってなんですか?」
「今まで、みんな勉強してきたろ!マッサージの仕事だよ。」
「「「異世界でマッサージ?」」」
真たちは、とりあえずこの異世界で生きていく為の仕事が決まった。いつ帰れるかもわからないまま、竜が率先して真たちを導いてくれている。竜にとっての2回目の異世界生活を満喫するために…
竜が2回目の異世界生活となるも、前回とは勝手が違うようです。同じ部分もあるので一応真たちには少しの間生活基盤が出来るまでの協力をしていきます。少しの間だけね…ごほごほ