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第1章 54話 「司教 双子座のエルク」

31日

戦争開始まで残り1:30:00



アデン大教国 司教序列第5席 エルク

彼は今、森の中で槍を手にする敵兵と戦っている


奇襲部隊が奇襲されるとはとんだお笑い草だ

たった3人の敵に部下を少なくとも5人は殺される失態

この上万が一、奴等を取り逃がし奇襲に失敗すれば

出世の道は永久に閉ざされてしまう

必ず奴等は仕留める必要がある


……だが焦りは禁物だ

あの槍兵

まだ童の様な背丈の癖に中々どうして手強い

奇襲で2人を殺した所は見えていなかったが

少なくとも私の法術を避け、逃走させた部下を殺した時の動きは熟練の戦士のそれだ


しかも、どう持ち直したというのか

私の聖法術「ハルシネーション」の幻覚から自力で覚醒する離れ業を見せた


アレの幻覚は掛かった者に恐怖を植えつける

幻覚の耐性か、強靭な精神力で精神を侵食をされる前に弾く事が出来なければ、後は自力での覚醒は不可能な術



……奴の様子は他でも無い私が伺っていたのだ

あの槍兵は間違い無く幻覚を見ていた

術は掛かっていた筈


仲間がいれば幻覚状態からの覚醒も可能ではあるが……


いや、それしか考えられない

何処からか仲間の気つけをもらったのだろう

……厄介な事だ



今、あの槍兵は森に姿をくらましている


どうも、あの敵兵共はこの2m先すら見えぬ闇の中でも目が利くらしい

闇に乗じて機先を制すつもりだろう


……流石にこの森は我らにとって不利がすぎる

勝負を急がなければ部下の全滅さえありうる


次に敵が攻撃に移る時

その時が千載一遇の好機だ

全力を持って仕留めさせて頂く


エルクは左手に魔力を留め静かにその時を待った




1分程度、そうして機を待ち続けていただろうか

まさか、奴め逃げたのか?と疑問が彼の頭をよぎり始めた頃合い


突如、背後に気配を感じて振り返る

視界に槍の穂先が煌めいた


来たな


振り向きざま間一髪、剣で目の前に伸びていた槍の穂先を左方に弾く

しかし、弾いたと思ったのも束の間、槍の穂先が奇妙に揺らぎ、紙一重で避けた筈の左肩に噛み付いた

「ぐぁっ!!」

左肩がやられた!

やはりこの槍兵侮れん!

いつの間にこの距離まで接近されたというのか

更に妙な槍術も使用してきた


……しかし!

肩を代償にはしたがあの槍兵の姿をしっかりと捕捉した!

もう逃がさんぞ!


槍兵は傷が浅いと見たのか後ろ跳びで距離を再び離した

だが、まだ見えている

左手に用意していた聖法術を痛む肩を無理に上げて解き放つ

逃してなるものか!

「ジェミニズフェイト」

言うが早いか光の刻印が飛翔し、槍兵のローブに印が付く


槍兵は自身の胸で光を放つ印をチラリと見てからまた森に姿を消した



フフフフ

自然と笑みが零れる


森の中に隠れられれば奴の居場所は確かに俺には分からん

が、こいつはもう貴様の位置を知っている


素早く剣を鞘に納め、空いた右手を上げる

魔力を収束させると次第に右腕全体が森の闇を切り裂く様に光を放ち始めた


まさか、一兵卒如きにこの法術を使わされる事になるとはな

笑みを作っていた歯を噛み締める

とんだ誤差だ


いや違う、侮るなエルク

首を振って自分の思考を振り払う

あの槍兵はできる、全力を尽くすに相応しい相手


もし今、あの槍兵1人と凡庸な槍兵10人

どちらが倒すのが楽かと問われれば間違い無く後者と答える

それ程危険な存在だ

出し惜しみはしない

私がここで完全に消滅させる!


今や右腕全体をはちきれんばかりに光が覆い

周囲に光の筋を撒き散らしていた


さぁ片割れと再会の時だ、迸れ!

”アトラクテッドジェミニズ!”


右腕を渦巻く光が一瞬膨張し

双子の兄妹に会える歓喜を叫ぶかの様に高音の産声を響かせると

一瞬の間に森の中に飛び込んでいった

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