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第1章 52話 「戦火の足音」

31日

戦争開始まで残り3:00:00



2班は森で鍛えた脚のお陰もあり、夕陽が差す頃には戦場へ付き、軍曹の元へ挨拶に向かった


溝尾が軍曹の軍の後方で補給を担当する為

そこで別れる事になり

その後、俺と木村と野間は兼ねてから予定していた森を見つけ今はその時を待っている



もう戦争開始の時は迫っていて流石に暗い

……があの森はもっと暗かった


自軍と敵軍の松明の明かりがチラホラ遠くに見える

空も晴れ月も出ている

この程度の暗さならば俺達は問題無く敵の姿が見える


茂みの中から右手の敵兵達を注視すれば

もう数え切れない程の信者達が城の前に見えた


「流石に多いな……」

木村も目を細めて敵を見ていた


「ここまで来たら腹を決めるしかねーだろ」

野間が木村に答える


「しっかし、あの大軍に突っ込むとか正気の沙汰じゃねーよ

どいつが考えたんだろーなぁ?」


何故か野間の視線を感じる

ちょっと待て、俺のせいなのか?


部屋でも皆この奇襲作戦は大きな危険が伴うと言ってはいたのだが

いざ2,500の敵を目の前にしてみるとこれはもう殆ど自殺行為に近い


作戦を考え直すべきだろうか?


「2人ともどうする?

やっぱりコレはちょっと無謀すぎるとは思う、奇襲やめとく?」


2人に提案してみる


「うーん、確かに無謀かも知んないけど…

それならどう軍曹の軍を援護する?って話になるよな」

木村の言う通りだ


「そうだね、何かいい案ある?」


「いや、正気さっぱり、のまっちは?」


野間は難しい顔を作りながら頭を掻いている


「……どっちにしろ、まともにぶつかっても

1,000対2,500で数の不利はあるからな」


それも野間の言う通りだ

そもそも数で押せるなら先生は俺達に遊軍なんて任せなかったのだろう


「俺達、やっぱり遊軍として独立して動くべきなのかもね」


「……先生もとんでもねー役任せてくれたぜ

もしかしたら、オレらのこの奇襲もあの人の予定通りなのかもな」


そう、なのかも知れない

カール先生の考えている事は読めない

しかし、もしそうだとするなら……



「だとしたら、奇襲作戦で正解って事だな」


木村が俺の思考を代弁してくれた


「……ハッ!最悪の正解だな」


野間が嫌味を口にしたが

やはり俺達は奇襲作戦を決行する事になった


もう、決まったものは仕方がない

後は神経を集中して飛び出すタイミングを待つだけ


開戦まで後2時間程度だろうか


俺達が出るタイミングは軍曹の軍とアルマダ軍が交戦した後

アルマダ軍中腹よりやや軍曹軍寄りの所へ突っ込み混乱を引き起こす

俺達には非常に危険が伴うが、上手くいけばかなり軍曹に有利な状況を作れるはずだ


何とか敵の包囲を切り抜けた後は軍曹軍に合流して共闘する

その時になっても、まだ俺達が戦闘続行可能ならばの話だが




作戦が決定して1時間経った頃だろうか

俺達は隠れながら敵の動向を観察していた


敵兵はここを注視する様な動きは見えない

俺達はバレてはいない




………?


今、何か聴こえた気が


……気のせいか?


木村と野間を見てみるが2人に変化は無い


緊張で少し神経過敏になっているのかも知れないな

そう思いながらも耳に意識を集中してみる



、、


!?

やはり気のせいでは無い

森の右手側から音が聴こえる


木村と野間も音を拾った様だ

首を傾げている

俺は2人に小声で話しかけた


(何か音が聴こえないか?)


(ああ、何の音だ?アレ)


(まだ分からない、もう少し聴いてみよう)


再び耳に集中する



ザッザッザッザッ


……足音?

音が大きくなっている

こちらに近づいてきている。


(足音だ、何の足音かは分からない)


(魔物にオレたちの匂いを嗅ぎ付きられたのかも知れねー

……種類によっては厄介だぞ、どうする?)


(いや……)


木村が俺と野間を手で制する


(良く聞いてみろ)



ザッザッザッザッ

足音がまた大きくなっている

明らかに近づいて来ている


ん?今の音……


スゥーー、……

フゥ〜〜ー………


深呼吸して心音を小さく、より小さく……

耳に全神経を集中させる


ザッザッザッザッザッザッ……

カチャカチャ


!?

やはり聞こえる、アレは金属音!?

って事は!


木村が人差し指を口の前に立てる


野間はまだ分かっていない様子だ


もしあの音が敵兵の小隊だとすれば、これ以上声を出して万が一にも気取られる訳にはいかない


て・き、と口の形を動かし野間に伝えた


野間は理解した様子で眼光を鋭く変化させて

音源を睨んだ


音は既に俺達から50m程の距離にまで近づいて来ている


アレが敵の小隊だとして、それをどうする?

あまり時間の猶予は無い

素早く考えろ


敵の目的は?

何故、森を通る?


……決まっている。

俺達と同じ目的を持った小隊

即ち奇襲部隊


ならば逃す訳にはいかない、始末しなければ


木村と野間と視線を交わす

強い眼差しが交差した

どうやら2人も同じ結論に至った様だ


ふいに木村が親指を上げ、首の前を横切らせた


成る程、自然と口角が上がった


森で馴染みの合図だ

獲物を発見した時、更に声を上げる事が許されない時の為作り上げたサインの一つ

意味は「狩るぞ」


木村は更に続けて3本の指を上げた


意味は「三方包囲」


俺と野間は頷き、同時に全員が行動を開始する


三方包囲の陣は敵を中心にして

それぞれ右斜め後方、左斜め後方、真正面に配置する布陣

森で最も良く使った陣だ

配置と敵との距離、仕留める方法は頭に叩き込まれている


俺が左斜め後方、野間が右斜め後方

木村が真正面

木村が敵の注意を引きつけ俺と野間が一気に攻撃するのだ


駆けて直ぐ獣道を横切った、共に駆けてきた野間と目を合わせ二手に別れる


敵はこの道を通る筈だ

俺は道の直ぐ側の茂みに突っ込み身を隠して配置につく


音はここから距離約30m、先程と変わらぬリズムを保ち行進している

こちらの動向に気づいた気配は無い


後はパンサーを握りじっとその時を待つのみ

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