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第1章 50話 「指南は少年に何を想う」

行軍中の馬上でブレアはふと周囲を見渡す



いつの間にか、兵法指南などと大層な役職についていたが

こんな俺にも周りに信頼できる部下が出来たのだな


ブレアの右前に、棍を手にして1番隊小隊長のポルコが堂々と歩いている


ポルコは俺が兵法指南に任命されてから初めて指南を請け負った時の教え子の1人だ

最初は剣を教えていたのだが、コレが1月経っても全く成長しなかった

周りの教え子達がグングン上手くなっていく中、ポルコは一度も練習試合に勝てなかった事を覚えている


色々試したのだが、どうにも行き詰ってしまい

腐れ縁のガルグリフの奴に相談してみると

「貴様は頭でっかちだからな、一度酒でも呑んで腹を割ってみれば良いのだ!」

とあいつらしい答えが返ってきた


ガルグリフは妙に人付き合いが上手い

部下にも良く慕われている

あいつより俺の方がずっと部下を気にしている自信があるのだが、

こればかりは生まれ持った才能なのだろう

愚痴を言っても仕方がない


正直、他に方法も無かった為、実際酒場に連れていくと成る程ヒントがあった

「相手の剣が伸びてくるみたいに感じるんです。

それが怖くて、身体が固まってしまうんです。」

ポルコは情けないですと酒を煽ったが

俺には、剣が伸びてくる様に見えるのはポルコが持つ特有の危機察知能力の様に感じられた


試しに剣では無く盾を持たせて試合をさせてみると仲間の剣線を全て防いで見せたのだ


その後、今では盾から棍に持ち替え一線級で活躍している


その時の他の教え子達は異動したり、退役したり、または亡くなってしまい

今では結局ポルコだけになってしまったのだが


苦心して指導した部下は何故かいつまでも

側にいてくれる

これも指導して初めて分かった傾向の一つだった


ポルコだけでは無い

二番隊小隊長マーカス、四番隊小隊長グスタフ

ここに付いてきている約半数の小隊長は俺が苦心して育てた教え子達だった



そして先日、また新しい教え子が俺の元に来てくれた


最初、大臣から現人の指導を頼まれた時はどうなるものかと思ったが

実際会ってみると多少の知識の差異はあったものの、紛れもなく人間の子達だった


しかしこの子達は大臣の言った様に確かに普通では無かった


才能というものが違うのだろう

俺が教えた剣技を驚異的な速度で吸収していったのだ

あの油断ならない妖魔からも法術を覚えた様であっという間にエルムサルトの戦士になった者まで現れた

ここに現れて、たった2ヶ月で戦士の称号を持つ者が6人だ

戦時前という特殊な状況を鑑みても異例中の異例なのは間違いない



ブレアがチラリと背後に付いてきている1班を覗く


特に月柳と春馬という子の才覚は素晴らしい


月柳は強力な攻撃風法術に、速度を底上げするウイング、更に難易度の高い受け流しまでマスターしつつある

まるで昔の俺を見ている様だ


春馬は独特な感性を持っていて、それを自身の力に昇華する才能を持っている

創造性と現実性、本来、相反するこの2つのバランスをあの若さで既に上手く舵取りしている

将来、どんな技を生み出すのか楽しみな逸材だ


俺の様に自分の力に驕らないといいのだが……



いや、その心配は無いか

最終試練で仲間をかばう為に掟を破ろうとしたこいつ等だ

あの行為自体は褒められた物では無いが、あの位仲間思いの方がいい

仲間が近くにいれば道を外す事は無いのだから


意識していなかったがブレアの頬は少し緩んでいた


ポルコが不思議そうにブレアの顔を見ている


おっと、いかんいかん

開戦が迫っているのに気を緩めるなどと

兵法指南に相応しくない

と表情を引き締め直す



……そういえばあの雷属性保持者と思われる長峰といった子は遠巻きに見る事しか出来なかったな


ガルグリフの元で訓練しただけあり最終試練では良い槍筋をしていたが、欲を言えば剣も教えてみたい……


まぁ、戦争に勝てばその機会も得られるだろう


ブレアはそう考えると此度の戦に於ける戦術に思考を切り替え、この道の先にある筈のアデンに目を向けた

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