表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/63

第1章 38話 「1150枚」

28日

戦争開始まで残り83:00:00



「さて、後はそこのチビだけだな

こっちはくたびれてんだ、早く注文してくれ

何が欲しい?」


「あ、は、はい

えーっと…… そうですね……」


まだ決めていなかったのだろう

溝尾は暫く考えていた


「……迷ってんなら武器がオススメだ

おまえさんみたいな非力な奴でも扱える武器だって置いてあるぞ」


「はい、お待たせしてすいません

武器も迷いましたけど

やっぱり僕は盾を選ぶ事にします」


溝尾の注文を受けると

店主はポリポリと鼻を掻き始めた


片目だけ開けて溝尾に声を掛ける


「……盾ねぇ ……まぁお客の注文だ

盾を用意しろと言われりゃ用意してやるが」


何だか溝尾の時は歯切れが悪い様だ


「ただ盾は特に需要が無いんでな、在庫が少ない

正味な話、あんたに合う盾が見つかるかどうか自信が無いって事よ

ハズレを引いても文句を言わねぇって

言うなら選んでやるが…… どうするチビ?」


「大丈夫です

文句なんて言いません、盾をお願いします」


「ハッ、こいつも見掛けによらず強情だな

わーったよ盾を持って来てやる」


そう言うと店主は俺達同様、溝尾を観察して

隣の部屋に入っていった


店主は今回時間が掛かっているみたいだ

先程溝尾に言ってた通りならば

在庫が少なくて探しているのかも知れない



折角だからと溝尾に話しかけた

「溝尾さ、聞いてもいい?」


「うん、何? 何でも聞いて」


「いや大した事じゃないけど

なんで盾を選んだのかなって」


「えーっとね……

ちょっと説明しにくいんだけど

……ほら前に部屋でみんなに話したでしょ?

僕は誰かを殺すとか出来ないって」


「うん、最終試練の前の夜でしょ?」


「そうそう、僕はそれが例え獣でも魔物でも

同じ様に、殺したり怪我させたりとか

したくないんだよね」


「それで盾って事?」


「……盾で僕がどこまで身を守れるのか

自信なんか全然無いんだけど

なんて言うか、一種の自己表明みたいな」


「溝尾らしいな」



そこで店主がカーテンをくぐって出て来た


手には確かに盾を持っている

今回はちゃんとした盾に見える

キワモノの類では無さそうだ


「……無いと思ったんだけどな

奥にこいつが眠ってやがった、ほれ受け取りな」


店主が溝尾に盾を投げる

俺は咄嗟に先生を見たが

先生は笑顔で頷き返しただけだった

やはりまともな盾なんだろう


投げられた盾は溝尾が受け止めきれず

ガランガランと床に落ちて音を出し

慌てて溝尾が拾う


木村が溝尾の盾に興味深そうに近づいて来た

俺も木村に倣って近づいてみる



「……どうかな?」


「銀色だな」

「模様が彫られてるね」

見ればわかる事を木村も俺も喋っている


ある意味当然だ

俺も木村も盾の善し悪しなんて

さっぱり分からないのだから


盾は円型で小盾の部類じゃないかと思った

警察が良く使うジェラルミン製の盾よりかは

全然小さい

しかし、それでも

半径が指の先から二の腕の半分位はあるのだが


俺が模様だと思った物は盾全体に彫られており

盾を上から覗くと六芒星が現れた

六芒星の中心には小さな青い宝石が六つ

六角形を作る様に埋め込まれている


この盾はただの金属製の盾って訳では無さそうだ

何らかの効果が付随している様に思える


それにしても綺麗な盾だ

地金の銀と宝石の青のコントラストが光を放ち

見る者を魅了する

所々に傷があるがこれも歴戦の証という事だろう



先生と店主はそれから2人でやりとりをしていた様だが、その内2人がこちらに顔を向けた


「さぁ、今日はもう店仕舞いだ

さっさと帰った帰った」


「皆さん、次は街の武具屋に行きますよ

用意して下さい」


俺達は店主に軽く会釈してから店を出た



来た時に登った階段を降りていく


木村は虫の鎧を着けた自分の姿をを確認しようとしたのだろう

全身鏡の前に立っていた

しかし何が見えたのか突然顔を青くして勢い良く階段を降りると、外に向かって走っていってしまった


俺も降りがけに鏡を覗いてみるが


……その鏡は別段変わった所は無く

階段が映ってるだけだ




道中、野間は機嫌を直したらしく

木村と喋りながら歩いていた


俺の横には盾を担いだ溝尾が並んでいる

盾は相当重かったみたいで

息を切らしながら歩を進めていた

……ガンバレ!溝尾!後1時間で街だ!


そういえば……


ふと気になっていた事を前を歩く先生へ尋ねる

「先生?俺達の装備って幾ら位かかったんですか?」


先生はこちらをちょっと振り返り

「……そうですね、まぁ此れくらいですよ」

と指を一本立てた


指一本……

金貨10枚か?

いやいや普通にそれじゃ買えないよな

とすると… まさか金貨100枚か!?


先生はクックッと笑うと

「大切に使って下さいね」と残し前を向いた



彼のポケットから風に乗って人知れず落ちる控え

その簡易的な紙に記された最後の一文は……


R: G1150ー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ