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第1章 21話 「悪犬、木猿、森豹」

イノシシを仕留めた日の夜


ボタン鍋の事をちょろっと言ってみたら

「食う事だけは一丁前だな! この卑しい豚めが!!」

と言われたが

晩飯に何処から持って来たのか鍋が用意され

本当に何処から持って来たのか取り皿まで

出て来て、普通にボタン鍋を堪能出来た


鍋の中には野菜も入っていたが

なるほど森のワイルドな味がした


軍曹曰く

「食える草はそこら中に生えているが、

食えない草もそこら中に生えている


……勘違いするなよ!?

今言ったのは”俺ならば食える草”だ

クソ虫共の軟弱な胃袋ではこの森の9割が

食えない草になるわ!

無駄な抵抗はやめる事だな!

ハーッハッハッハ!!」

と高笑いされた


何だかんだ丁寧に教えてくれたり

ボタン鍋を用意してくれたり

俺達が食べられる1割の草を用意してくれる等

軍曹は口は悪いが、実はすごくイイ人だった


因みに今日、木村と野間は

何も捕まえられ無かったらしく

刻限の「空が赤くなり始めた頃」になると


木村は「いや〜 逃げられてばっかりでじぇんじぇんダメだったわ〜 テヘペロ」

とあっさり戻って来た

槍は案の定折れて捨てたらしい


野間はというと

やはり何も収穫が無かったらしいが

意地になり刻限を過ぎても狩りを続行した為

軍曹が「あのバカ!」と森に入って1時間後

大きなタンコブを作って軍曹に引っ張られて来た


野間は軍曹に注意されても

シラネ!と聞く耳を持たなかったが

「リーダーのルールを守れない奴に喰わせる飯は無い! そんな奴はクソ虫にすら劣る!」

と言われ

相当腹が減ってた所に

メシ抜きは幾ら何でもキツかったのだろう

ボソッと

「スンマセンシタ……」と折れた


勿論、溝尾含めて皆で鍋をつつき

満腹になると

疲れてたせいもあり、直ぐに寝息を立てた






深夜を回った頃だろう


物音でふいに目が覚める



グルルルルルル!!

ウォン!ウォン!ウォン!!


……犬の声?


今日の声は随分近い気がする

横を見ると、軍曹が槍を構えて臨戦態勢を取っていた


軍曹は俺に気付くと

「じっとしていろ、刺激するな」

とだけ声を掛けた


良く見ると

初めて会った時に見た「光の玉」が俺達の中心で俺達を守る様に光りを放っている



野犬の群に襲われた事に気付くと体が震えた


目を閉じ、軍曹がどうにか撃退する事を祈るそれしかできない自分が情けなかった




暫くすると

野犬の声が遠くになった



軍曹から「もう大丈夫だ、安心して寝ろ」と声を掛けられ

野犬が去った事を知った








次の日の朝

軍曹の質問に答えるとゲンコツが飛んで来た


「バカモン!

そんな近くで解体して

内臓をそのままにして来たのか!?

それでは肉食獣に近くに来てくれと言って様なモノだ!! 戯けが!」


解体した不要な部位は土に埋める事

もし埋められぬ様なら

解体はベースキャンプから片道1時間は離れた風下で行なう事とキツく言われた


なるほど、それであの野犬か

やはり森は恐ろしい


何か自分の落ち度があっても森は攻めたりしない

その代わりその代償はキッチリ払う事になる

時には自分の命で



軍曹はそれから俺達を集め

この森に住む手を出してはいけない獣、魔物を教えた


まず昨夜襲ってきた

「マッドドッグ」

危険度F〜E+


夜行性で群れて行動する

単体では滅多に人を襲うことの無い魔物だが

群の規模によっては好戦的になり

積極的に人を襲う場合もある

命の危機に瀕すると仲間を呼ぶ習性があり

無闇に手を出すのは推進しない


尚、一回り体躯が大きい個体が産まれた場合

成長してボスとなる可能性が高い

ボスマッドドッグが存在すると

群は大規模に膨らみ、統制を持ち始める

結果、危険度E+まで上がった例が複数、確認されている



「ウッドパブーン」

危険度E


基本的に樹上で一生を終える類人猿

腹を空かせると

森に住む小さな動物や

時には人が連れてる子供や猟犬までも

自分より体躯の小さい生き物なら例外無く

樹の上から急襲し巣に持ち帰り捕食する


あまり群は作らず、殆ど単独行動か

作っても2〜3匹程度の小規模な群

成熟した大人はほぼ狙われた例が無いが

傷付いたウッドパブーンは木の虚に入り生物を待ち構え

近づいた生き物を襲う狡猾な習性が確認されている為

木の虚に近付く際は注意が必要である



「エルムサルトパンサー」

危険度E+


美しい黒い体表を持つエルムサルト地方の森奥地にのみ生息する小型の豹

擬態、無音行動、足跡を消す習性等

隠れる事に長けていて発見は非常に困難

繁殖力が弱い為にこの様な能力を身に付けたと考えられている


その隠密性は捕食の時にも発揮され

成人でも、無防備な状態でパンサーの牙を受けると非常に危険

縄張り意識も高く

特に近くに子が居る巣がある場合

雌は自分より大型の敵にも襲い掛かる場合がある

繁殖期で無ければ、3人以上の人間の群を襲った記録は無く

森の奥地に入る場合、繁殖期を避け、3人以上の隊を作り入る事が推奨されている

尚、近年絶滅が危惧されている



この三種の生物は見つけても狩ろうと思うな

それぞれ、厄介、危険、希少だからだ

と付け加えると


「まぁ、貴様らクソ虫にとってはどいつも狩れる様な奴等では無いんだがな!

ハーッハッハッハ!!」

と締めた

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