第1章 1話 「ようこそ!」
……っつ!
頭が痛い
意識が朦朧としている
まるで3日間丸々眠り続けていた様なそんな極度の目眩だ
二回息を整えて目を開いた
暗い
なんだここ…
地面から淡い光が滲み出てる
なんだコレ…
頭を抑えながら肘を地面につき上体を起こしてみる
身体も相当重い
やはり長い時間眠っていた様だ
…いや気を失っていたのか?
辺りを見回すと恐ろしい光景が広がっていた
恐らく同じ青谷島中の制服を着てると思われる人間が一様に倒れている
思考が止まった
状況が飲み込めない
……一度落ち着こう
目を強く瞑りゆっくり目を開けてみる
何も変わっていない
やはりクラスメイトが床に寝ている
………
チラリと横を見ると木村の顔があった
「おい!起きろ!木村!木村!」
半ば半狂乱の中、一縷の望みを託し揺すってみる
もし…
と最悪の事態が頭をよぎるがその予感は幸い外れた
「……ん? んん」
「木村! ……はぁ良かった
もしかしたら死んでるんじゃないかって」
「え? 死んでるって……」
言いかけて木村は言葉を止めた
周りの異常性が直ぐに目に入った
「……な んだ コレ」
「分からない 俺もさっき起きたばっかりで」
「キャアァァァ!!」
後ろから悲鳴が上がる
女子の誰かが目が覚めたのだろう
その声をきっかけに続々と倒れていた者が目を覚まし始めた
「え?何コレ…」
「…オイおまえ何か知ってる?」
「!? 私のカバンどこ!?」
「ここ何処!!?」
聞き馴染みのある声ばかりだ
どうやらここに倒れていたのは全て2年1組のクラスメイトらしい
皆極度の混乱状態にある
当然だ、俺だって混乱している
混乱状態の中 時間にして10分程度だろうか
いや、もっと短かったかも知れない
ちょうど暗さと理不尽さに耐え切れず
ヤンキーグループの野間と門倉が揉め出した頃、少し高い場所から光が差し込んだ
扉が開いたらしい
暗い中 動く事が出来なかったクラスメイトが一斉に無言になり扉を見つめた
足音が部屋に反響する
誰かここに向かって来る
間も無く扉に1人の人間が現れた
その人間は甲冑を身に纏っており
身長は180cm以上あろうと思われた
(……騎士?)
思考する間も無く
その甲冑が低い声を放った
「ふむ、やはりこのままでは暗いか!」
「サンズ!」
そう言ったかと思うと甲冑の左手上に強烈な光の玉が現れた
暗さに慣れてしまってた為に直視できない
思わず目を手で覆った
5秒程間を置き
甲冑が喋った
「バルハラッドへようこそ!!我々は貴様らを歓迎する!!」