表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/63

第1章 17話 「幌馬車」

幌馬車に揺られて何時間経っただろうか


街が視界から消えてからというもの

ずーっと変わり映えしない草原が広がっている


更にこの幌馬車、物凄く揺れるのだ

寝る事すら許してくれない

車を発明した人はきっとこの揺れが大嫌いだったのだろう

今なら気持ちが良く分かる


……はぁ、それにしても退屈だ

何か時間を潰すものはないのか



そう思ってからまた暫く時間が経った頃


不意に奇妙な音が聞こえてきた


アヒルの声の様な音だ、何の音だ?


幌の奥に座ってた俺は音の出所を探る為

幌の後部に移動しようと立ち上がったが

「長峰!立つな!撃たれるぞ!」

と木村に叫ばれた


撃たれるって何?と疑問には思ったが

木村の言う通り座り直すと

その直後、頭の上を何かが通り過ぎて木の板に当たった


木の板を見てみると深く矢が刺さっている


矢!?矢が何で……


後方に座っていた木村と野間は幌の外から身を隠す様に伏せている

まさか!?今この馬車が襲われてるのか!?


「おい!おっさん!

緑色のバケモンが汚ねぇ犬に乗って

矢を射って来てんぞ!」

俺の考えを裏付ける様に

野間が鬼軍曹に向かって怒鳴る


「分かっとるわ!

……おい!そこのクソ虫!ココを代われ!」


鬼軍曹は溝尾に言った様だ

溝尾が助けを求める様に俺を見てくる


俺は溝尾に向かって頷いて親指を上げた

俺だって馬車なんて扱った事無い


溝尾は泣きそうな顔をしていたが

恐る恐る操縦席に向かって行った


「手綱を持っていればそれで良い!

ワシはあの無作法な輩の歓迎をせねばならん

……くれぐれも手綱を離すでないぞ」

鬼軍曹の声が馬車の前で聞こえたと思ったら

勢い良く幌に現れた

手には弓を持っている


矢が飛んで来るので幌から顔だけ出して

馬車の後ろを覗いてみると


犬?……いや狼か

かなり大きい狼が3匹、馬車に向かって走って来ている

そして矢を射って来たのはその上の生き物だ

型こそ人型だが緑色の肌にクシャクシャの顔

明らかに人間ではない


多分だがあの生き物はゴブリンだろう

この世界に来て魔物と初めて出会った瞬間だった


幌の中は溝尾に変わってから

縦に横に大きく揺れる様になっていて

俺も木村も野間も姿勢を低くして幌を囲む

木板にしがみついている

そうでもしなければピンボールの様に

幌の中を転がり回る羽目になるからだ


しかし鬼軍曹はまるで何でもないとでも

言う様に直立不動を貫いて弓を引いている

「貴様らクソ虫共とは足腰が違うわ」

そんな事を言われそうだ


「フン!」

鬼軍曹が矢を放つ


矢は高速で飛翔するとゴブリンの頭に吸い込まれた

「ッシャァ!ヒット!」

木村が歓喜の声を上げる


矢を受けたゴブリンが狼の上からフラリと落ちる

主人を落っことした狼はキョロキョロと辺りを見回してから嬉しそうに明後日の方向に駆けていった


狼はどうやらゴブリンに懐いてる訳では無さそうだ


その様子を見た残りの2匹のゴブリンが

アヒルの声でやりとりをすると

狼が速度を上げた

無理矢理突っ込んで来るつもりだろう


応じる様に鬼軍曹が背中にある矢筒から

矢を2本取り出して引き絞る


次の瞬間、2匹のゴブリンの眉間にそれぞれ

矢が深々と刺さっていた


ピューと木村が口笛を吹く

鬼軍曹はあっという間にゴブリン3匹を仕留めてしまった


「フン!相手にならんな」


恐ろしい精度と目にも留まらぬ早業

……この人は怒らせない方がいいなと思った


「クソ虫共!今のを見ていたな!

次からは今と同じく射るのだぞ!」

軍曹は弓と矢筒を幌に残して操縦席に戻っていった


無理に決まってる

……ゴブリンが来ない事を祈ろう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ