お爺ちゃん賢者は銃の性能実験のために海に向かいました。
性能実験は次話です。
引き金やら安全装置などはすぐに作れた。
引き金の構造は少し迷ったがの。
なにせ火薬を使わんからどうやって動力を引っ張ってこようか、これが悩みどころじゃった。
結局は魔石を砕いて作った魔硝粉で、引き金をトリガーとして動力を作り、最終ピストンの大魔石までを繋ぐことにした。
それが何かと良さそうなのでな。
電力を使っても良かったのじゃが。
しかし、一番迷ったのはやはり銃の種類であろう。
連射性能を重視するか。
単発の威力を重視するか。
身軽さを重視するか。
様々なメリットを有する種類が多々あり、大いに迷った。
迷った結果……
「【対物大弾銃】 と【非実体弾銃:魔煉光線銃】の二つを作ろうかの」
対物大弾銃の利点は、弾丸の質量が大きい事によって弾道の直進性が高くなること。
魔力光線銃の利点は、弾を魔力を込めることによって一瞬で作り出せること。
両方の利点が欲しくて、二つ作ることにした。
二つあってどうやって持つのか、という課題もあるだろう。
それは既に解決している。
「【土魔掌】うむ、問題無いようじゃな」
土の魔力で腕を錬成する。
ま、正確に言えば腕というよりはか細い光線のような物じゃが、持てることに変わりはない。
……そして、二つの銃は完成する。
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……出来たら速攻で実証実験。
それが儂の鉄則じゃ。
儂の作るものは大抵、大国規模で影響を及ぼすため実証実験を行わないとうっかり世界を滅ぼしかねん。
「これ撃つのー?なんかつよそー」
さっきから腕に纏わりついている小動物。
儂以外の男にはこれは止めといた方が良いと思う、むしろ儂にもやらないでという忠告をしたにも関わらず、だ。
おそらく無自覚に違いない。
危ないのぉ。将来が思いやられる。
…閑話休題。
さっき威力、っていうか込める魔力をミジンコ未満に設定して撃ってみたら山が三つ吹き飛んだ。
流石にヤベェ威力パネェと思ったため、今土の魔力で錬成した翼で海に向かっている。
自慢ではないが、儂の作り出す翼はかなり見た目が精巧な作りで、キメ細かい翼の模様がしっかりと入っている。
それというのも、大怪鳥を近づくだけで撃ち落として家に帰って丁寧に研究してそれを模倣したからじゃ。
決して翼を一つ一つ毟り取ってじっくり見たり、毒で細胞破壊してみて強度を試したり、薬によって鳥を生かした状態でそれらの実験を全て行ったりしたわけではないぞ(汗)
あくまで正常な人間の価値観を出ない領域で実験をやった??と思うのじゃ(嘘)
……そうこうしている内に、っていうかものの数分で、海はもう目前へと迫っていた。
もちろんシルは……
「うわーたかーい!クレイくん高いよぉー!!!」
背中にしがみついてキャーキャーやっておる。
この娘には元気という名のおぞましい何かがあるんではないんじゃろうな。
儂とは別ベクトルの狂気を感じるぞ。
小説家になろう勝手にランニングのタグも押していただけたらありがたいです。
今後もよろしくお願いします。