お爺ちゃん賢者は銃を作ろうとしました。
とうとう発明が始まります。
展開が早すぎないか心配です。
結局あの後、兄には逃げられてしもうたわい。
分家の人間が何を企んでいるのかは知らんが……
ちなみにあの男は分家の人間、名をカムという。
そして会話の雰囲気から察するに、あれは何かの陰謀じゃ。
となると分家の反抗という線も考えられるが、だとしたら担ぎ出すのは儂じゃろう。
兄者が本家を継ぐはずじゃからな。
この時、賢者は両親がすでにクレイに家を継がせることを決意していることを知らなかった。
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今日は新しい武器を作ろうと思う。
多分じゃが、魔物が弱いのはここぐらいじゃからの。
都会や奥地に行けば、まだ賢者の時代の力を百分の一すら取り戻していない儂なら敗北すらありうる。
まして、全盛期の儂と同等の力を持った賢者などが来ると確実に負けるじゃろう。
儂は危険なのは嫌なので、転移数週間前に教えてもらった武器を実用化してみようと思う。
よって今回の事に踏み切ったのじゃ。
前世では時間が無くて再現できなかったものが異世界の武器にはある。
これらを装備すれば、全盛期以上の力を手に入れることができると儂は確信している。
「父上、母上。暫く家を空けることになりますじゃ」
今から開発しようと思うものは、威力がキチガイじゃ。
うっかり周辺で発動させようものなら、半径13㎞圏内は一瞬にして荒野と化してしまう。
だから離れた場所でやろう、そう思ったわけじゃ。
「また研究?頑張ってねー」
「田畑の区画整理は俺がやっておくからなー」
両親は優しく送り出してくれるようじゃ。
ちなみに、田畑の区画整理は儂が提案したこと。
その方が植えやすいし、分かりやすいからの。
父上は曲がりなりにも村長だからそれだけの権力はあるようじゃ。
これで年貢の計算間違いにも気づいてくれればいいがのう。
「じゃ、行ってきますじゃ」
儂は今まで溜めてきた極小の魔石数万個と、少しの水分を持って数㎞先の野山へと向かった。
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「ねーねーそれ何ー?」
「うるさいのぉ……少しは静かにできんのか」
「私も使いたい!」
……このお騒がせなモンスターは幼馴染のシルじゃ。
儂はこの騒がしさを魔石のない魔物ではないかと疑っておる。
最近の儂の第二の恐怖じゃ。
今は、魔石の合成を行っておる。
これは比較的簡単な作業で、単に魔石同士をがんってぶつければ良いのじゃ。
勝手に融和部が溶け合ってくっ付くからの。
何せ極小の魔石では何もできない。少し大きくせねばならんということで今合成を行っておる。
ここらへんではいくら探してもなかなか魔石が大きい魔物がおらん。
こうして何年も経たないと、何もできないわけじゃ。
「こらこら、魔石を触ってはいかん」
「うーークレイのケチ!」
やはりモンスター並じゃのうこの我が儘さは。
魔石を埋め込んでも平気で生活しそうじゃ。
今日は様々な銃を作ろうと思う。
銃とは火薬や様々な気体の圧力を用いて、弾丸と呼ばれる小型の飛翔体を高速で発射する物のことをいうそうじゃ。
なんとなく概念は理解したが、小型の飛翔体というのを何にしようか迷っておる。
まあ、そこらへんは後から理解すればいいからの。
まずは銃身から作っていくのじゃ。
ふわー展開が早すぎないかが心配です。
次話でヒロイン的な存在を出します。
初めて物語の中に恋愛要素を極々小で本当に少しだけ入れるので、あまりそういう要素には期待しないでください。
僕はもっぱらコメディ系なので。