お爺ちゃん賢者の二ホン転移です。
とうとう日本へ!
……そういえば。
中年が祭壇へと消えていった姿を見届けてから、儂は思う。
そういえば、儂とともに転生装置を開発した勇者が元の世界で暴れまわってるという話をどこかで聞いたような気がする。
あれは……スキュラがこの世界に来た時だったか。
封印が解けたのはその勇者たちの仕業だとスキュラは言っていたはずだ。
確か奴らの故郷は、今中年が去っていった「二ホン」と言うところ。
「と、言っても止めに行けるわけもないしの……」
今のところ、儂の元いた世界に移動する手段はない。
魔法陣は一回で消滅したため、帰る手段がないのだ。
『仮に行ったとしても、止められるのか?特にあのリーダー格はお前に迫る勢いだったぞ』
九尾が言う。
「いや、勝算は十分にある。まずは行けるかどうかだが……」
向こうも戦力が上がったことは否めないが、儂の戦力もまた大幅に上がっている。
元賢者として負けるわけにはいかない。
そして行くだけならまだ手段がないわけでもない。
『なら、とりあえず「二ホン」にいけば何かわかるんじゃないか?出口があるかもしれないし』
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……結局、儂たちはヴァ―ジュアの一言で「二ホン」に行くことになった。
二ホンの科学文明にはとても興味があったし、儂としても非常に満足じゃ。
地球の人類は魔法が使えないとも言うが、それでは可能な研究も限られてくるだろう。
儂が行けば更なる科学の繁栄があるに違いない。
「そうと決まったら早くいくぞ」
幸い、転移手段はすぐ目の前にある。
準備もほとんど不要であるから、今すぐにでも飛べる。
だというのに……
『ちょっとタンマ』
『話しかけんな。今、小用中』
……この後大破壊が起きたのは、言うまでもない。
三秒後にはこの世界に、この地上に三人の姿はなかった。
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着地の酩酊感が失われた次の瞬間、目に飛び込んできたのは発展した世界からは程遠い、荒廃した大地だった。
「……ん?転移場所を間違えたか?」
『いや、あそこに文明があるようだ。とりあえずはあそこを見に行こう』
ここは果たして地球なのか?
という疑問が頭をよぎるが、幸いこの地は魔圧が濃い。
この魔圧ならほとんどの魔物及び敵対生物には負けないだろう。
つまり生き残るには事欠かないということだ。
『おいあれを見ろジジイ』
九尾の視線をたどっていくと、そこでは大規模な爆発が幾度となく起こっていた。
ドオォォォォン!!
「~~~!」
パッ!
「~~~……」
……遠すぎてもはや音がコントにしか見えないが、実際はかなりのグロ画像である。
地面もよく見ると大規模なクレーターが沢山あるようだ。
これは……
「文明の、破壊力か……」
有り余る科学的知識が攻撃にすべて使われている。
その事実を元賢者は悟った。
予想外の展開ですいません。
なんか段々書くのがつらくなってきた……
ということで日本に行けば何かと書きやすいので転移させました。
今後もよろしくお願いします。