お爺ちゃん賢者と異常な二人。
最近ストーリーの展開などに困るようになってきました。
アドバイスなどあればぜひください。
お待ちしております。
赤黒く脈動する剣が、瞬く間に竜の首を斬り落としていく。
剣は接合部を焼き尽くしながら斬り進んでいき、再生すら許さない。
『Deeeeeeeer……』
悲しそうな叫びの中に、満足感を微かに称えて竜の遺体は消滅していった。
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「……で、どうしてこんなことになってるんじゃ?」
『ちょっと何言ってるか分からない』
「理解しろよ!?」
目の前には大柄の若者が立っていた。
上半身がほぼ露出しているせいか、その筋骨隆々の肉体が谷底でも眩く光っている。
にも関わらず、このファンキーな口調がこの男の印象を台無しにしていた。
「ところであの中年は何処に行ったんだ?」
『あの中年なら俺の棺の前で小用でも足していたはずだぞ』
「なんてことやってくれてるんだあの中年!?」
良い年して何やってんだよあの中年!?
あんな価値ある封印と遺産の前で放尿なんかするんじゃない!?
『まあまあ良いではないか。俺も散々やったぞ』
「お前もか!?」
余りにも番狂わせな二人の登場に、お爺ちゃん賢者は頭を悩ませるのであった。
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儂が竜を切り倒した後、どこかに中年は消えていた。
さして気にするまでもないかと竜の遺体を跡形もなく消し去ろうとする。
魔物の遺体はしっかり焼き尽くさないと不死生物になってしまうからだ。
「しかし、随分と恨みが凝縮されたような魔物だったのう……」
できればその恨みも取り除いてやればよかった。
そんなことを思いつつ、遺体に手をかざす。
「さらばじゃ」
さして苦手でもない焔系統の魔弾を打ち出す。
しかしそれは遺体を焼き尽くすという役目を果たさず、音を立てて弾かれてしまう。
「どうした?」
一瞬強い力が走ったかと思うと、目の前には筋骨隆々の若者が立っていた。
「……あれ?俺、どうしたんだ?」
それが神風龍ヴァージュアとの出会いだった。
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中年男野外にて小便、という報を聞いてからそれを止めるべく仙気まで発生させて洞窟までダッシュした。
努力もむなしく、男は既に出し切った後の満足感を顔に称えていた。
「死ねェェェェッツ!?」
……この後洞窟に大破壊が起きたのは、言うまでもない。
しかし、洞窟の奥の祭壇だけは破壊されなかった。
聞くとそれは地球への転移装置なのだそうだ。
おっさんはやはり地球からの転移者らしく、帰るために邪魔だったこの竜を誰かに倒してほしかったそうだ。
『俺は何者かと戦ってから記憶が無いもんな。そのためなのかもしんない』
簡単に転移は出来ないようになってる、ということだ。
暫くして、おっさんは別れを告げた。
「俺も帰らなくてはならない。もはやこの世界で二年を過ごした。その埋め合わせが…」
『最後まで格好つけんなこの駄男』
「なんでぇッ!?最後ぐらいいいんじゃないの!?」
『どうでもいいから早く帰れ』
「……泣くよ?俺泣くよ?」
さっきからの酷いセリフは九尾だ。
恐らく儂の体内からこいつの言動や行動を見ていたのだろう。
「いろいろと物申したいが、じゃあな」
その表情にありったけの憎悪を込めて、中年は去っていった。
今後もよろしくお願いします。