お爺ちゃん賢者の対ボスⅠです。
予定より大幅に遅れて申し訳ありません。
「……で、お前ならどうする?」
少し話してみた結果、敵対すべき人物ではないということが理解できた。
立ち居振る舞い、いつでも剣を振えるようなその姿勢はどことなく強者の雰囲気を漂わせていたし、かなり年季のある戦闘経験豊富な人間だというのは会話にて分かった。
とりあえず一人では時間がかかって仕方がないので一先ずは手を組もう。
そんな意図を込めて発した一言だ。
「……そうだな」
一瞬驚いた顔を浮かべるが、すぐに無表情へと顔を戻す。
なんだコイツ暗殺者の訓練でも受けて来たのか?
相当厄介な性格してるな。
「そうだな、まずは奴らの頭を挫く。殲滅はそれからだ」
性格は兎も角、コイツの状況判断は正しい。
人生経験は儂の方が圧倒的に上だが、戦闘経験では儂に並び得るほどの勢いだ。
よほど過酷な生活をしてきたのだろう。
無口になるのはその所為もあったのかもしれない。
「しかし、魔物は他の命令に従うということは稀だ。集団の頭を叩いて効果が無かった場合どうする?」
「いや、ないな。命令というよりは洗脳だ。何らかの術者が強制的に命令に従わせているようだから、先に頭を叩いて術者とのリンクを切る」
……ッなるほど。
この様子じゃ戦闘経験では儂ですら越されるのか?
異常だ。
コイツも儂と同じの転生者なのだろうか。
「早くいくぞ。流石に頭の位置は分かるだろう?」
「了解だ」
儂の翼とは対照的な流れるような漆黒の翼を広げ、先頭を走っていく。
移動中、コイツが何者なのかを考えていた。
転生者という線もあるが、他の存在である可能性も大きい。
どちらにせよ、この世界の人間ではありえないことは必定だ。
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「……あそこの谷の奥だ。形状は竜」
「分かった」
谷の入り口に降り立つ。
下を見下ろすが、暗闇が視覚を遮るのみで底は見えない。
目を凝らすと、段々と赤や青の点が上がってくるのが分かる。
「早速お出迎えのようじゃな」
「全く丁寧なことだ」
叫び声を上げてようやく谷の入り口まで辿り着いた、という風体の若竜を手刀で袈裟切りに一閃する。
衝撃波を生み出した手刀は斬れ味を上げて若竜の血肉を裂く。
数秒遅れて竜のフォルムは綺麗に両断され、地に落ちる。
「……戦闘は流石だな」
「おおかた、儂の正体を知っておるの?」
「さあ、どうだろうな」
ずばっと聞いてみたが、曖昧な返答で返される。
まあ、答えは知っている。
もうお前は転生者で間違いない。
投稿予定は随時活動報告にて行っております。
それを見て参考にしていただけると嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。




