お爺ちゃん賢者はギルドの内情を知りました。
これから戦争へと動き出します。
「ギルドがこのような状況に陥っている理由は……」
そう言って説明を始めた受付嬢。
簡単に説明してもらった内容によると、魔物の異常増殖が近辺で発生しまくっているらしく冒険者が多数死んでいるとのことだった。
魔物の異常増殖は主に魔圧の変化や、魔暴嵐によって発生する。
幸い、魔暴嵐は発生していないようなので魔圧の異常低下だろう、と儂はあたりを付けた。
「最近、強大な魔物が接近しているという情報は無いか?」
強大な魔物というのは、存在維持に多大な魔力を使う。
そのせいで魔圧が異常低下したのだとしたら、その魔物を駆除すればまだ間に合うはずだ。
「……ッ確かに一つ情報があります。しかしそれは機密情報なので……」
やっぱりあったらしい。
機密情報となると、国から情報提供を制限されていると考えた方が正しいだろうな。
さて、それをどうやったら提供してもらえるか……
賢者という地位を使ってキリルを脅せば問題ないとは思うが、おおかたキリルは文系の仕事を一切やってないんじゃろうと思う。
王家でキリル以外に親しいものがいるわけでもないし、脅せば目を付けられるだけだ。
やはりどうやったらそれを手に入れられるかは、受付嬢に聞いた方が早いだろうな。
「情報は、この魔物の討伐を指名依頼で受領してくださった後にお伝えします。それでもよろしいですか?」
なるほど。そういった手があるとは思いもせんかった。
指名依頼を受けたら情報は渡してやる、なかなか良くできた制度じゃ。
ただ……
指名依頼はまだ早いかもしれんな。
まだこの世界の魔物がどの程度の強さなのか良く分からないし、ずいぶん前に設計したAIを活用した機動武装すらまだ完成していないからだ。
とりあえずは機動武装を完成させてからだな。
「……というわけでまだ勘弁してほしい。依頼の期限は何時だ?」
「一週間後ですが……本当に受けていただけるんですか?」
ギルドとしては、もうほとんど諦めていた事案らしい。
報告を受けた強さの魔物を倒すことはギルド所属のSクラス冒険者では到底届かないし、倒せるとしても各国の魔王ぐらいだったからだ。
もちろん人間と敵対している魔王たちを依頼に参加させるわけにはいかないし、参加してくれない。
もうリリムに任せればいいんじゃね?と思うが、魔王はダメなんだろうか。
「とにかく、依頼は受けますよ。では」
「どうも……どうも有難うございますッ!」
受付嬢の方は涙を流して感動していた。
ぶっちゃけ意味は良く分からないが、とりあえず機動武装完成させてその魔物倒そう。
儂はギルドの前で待っていたシルに一言詫びてから、支給された豪邸に帰っていった。
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