お爺ちゃん賢者は王都で新生活を始めました。
王都編スタートです!
翌日の早朝。
転移門は既に完成し、広場に集められた村人たちが転移の瞬間を今か今かと待ち構えている。
これも兄者と父上の迅速な対応のおかげだ。
あの二人はこれからも頼りになるだろう。
「整列終わったぞ息子よ」
「有難うございますじゃ父上」
父上の悪癖はいつもへらへらしていることじゃ。
それがまた村人からの人気と辛抱を集めているのじゃがのう。
儂もああなるべきなのじゃろうか(焦り)
「スキュラ。転移門を開いてくれ」
簡単に指示を出す。
転移門というのは、実際には門のような形ではなく半球状のドームだ。
事前に地面に書いてあった魔力線に沿って淡い水色の半球が象られていく。
それを見て、周囲からは感嘆の声が溢れる。
「行くぞ、いざ王都へ!」
『【球状集団転移】!!』
バチッという音と迸る青い閃光とともに、転移が始まった
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集団転移と言っても、厳密には途中の異空間で集団は分離される。
こんなこと普通は不可能なのじゃが、スキュラと儂の魔力コントロールで強引に魔力の理を捻じ曲げている状態だ。
何故、分離させられるかというとそれは居住空間の違うからである。
儂やスキュラは公爵相当の宮殿に住まうことができるが、原則そのほかの村人は立ち入ることは出来ない。
急遽村人が付いてくることになったため、王都近くの山を全部買い占めそこに村を作って住んでもらうことにしたのじゃ。
金は、即席の神具を作って売り払って貯めた。
こんな儂について来てくれたのじゃから、せめて儂が生活の場を用意せんとな。
……さて、そろそろ転移が終了しそうじゃ。
目の前の大理石の屋敷が目に入ったところで、意識は暗転した。
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この文明レベルで良く用意できたな、と思うほどの技術力がこの屋敷には集められておる。
大理石でできた壁もそうじゃし、伸びすぎず絶対に枯れない庭の草木などもじゃ。
貴族の趣が存分に表現されたこの屋敷は、些か儂には不向きだ。
儂は派手でなくても良いし、研究室と薬品が数百種類さえあれば満足なのじゃ。
「どうぞお入りくださいませご主人様」
メイドと思われる女が広大な庭を迷わないように案内してくれた。
ここで異世界人の男なら「生メイドだッツ!?」となるのじゃろうが(前世での目撃者)
儂はたいして驚きもしない。
この世界では当たり前の制度だからだ。
内装はそこまで凝っていなくて、むしろ意外なほどに質素な感じじゃった。
研究室が無かったのがネックだが。
こうして、王都での新しい生活が始まった。
話が強引すぎやしないか心配です。
まあ、まだ素人もいい所の駄作者なので変だな~と思ったら遠慮なく告発してください(僕に)
酷い言葉でもいいです。
厳しく言われた方が、なんか注意点が分かりやすいので……
これからもどうぞよろしくお願いします。