お爺ちゃん賢者と久しぶりのシルです。
連載版:ゴキブリのような男のゴキブリ転生~あらゆる怪物を驚かし続けたゴキブリは最恐のゴキブリと化す~
という題で、新しい作を始めました。
良ければ覗いていってください。
「久しぶりだわね、土魔法狂」
「その言い方はやめて欲しいのお」
魔界の方は、あらかた片付いたため転移門でさっさと帰って来たそうじゃ。
向こうでリーダーを一人選出し、統治を任せているらしい。
にしても、魔物たちの心を掴むのが本当に早いの。
裏切られたら―――否、裏切られても、今の儂なら全滅させられるがの。
ま、物騒なことを考えるのは止めよう。
スキュラ含め、魔王首脳部が揃ったところで作戦会議じゃ。
既に他の者は、儂の家に集めてある。
儂の家の中、テーブルを囲んで会議が始まった。
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「して、アンデ。どこに移転すればよいのかの?」
「王宮の近くに、没した貴族の宮殿がある。そこを譲ってもらえるそうだ」
地図で示された場所は、王宮に相当近い所。
よほど位の高い貴族だったのじゃろうな。
……なんか悪いことをした気分になって来たぞ。
「ところで、スキュラ。転移門はすぐに作れるのか?例えば王都までとか」
儂も転移しようと思えば転移できるのじゃが、その方法は塵雷魔法を己の身に打ち出して吹っ飛ぶ、という方法じゃからな。
常人には耐えられまい。
しかも転移門の素材が不足しているため、作ろうと思っても作れないのじゃ。
「ああ、問題ないぞ。素材は無くても作れるからな」
おお、流石だな元魔王。
ツッコミしかできない残念な奴、と思っていたがここは評価を改めるべきかもしれんのお。
「誰が残念な奴だ!?」
ばれたか。
ていうか自覚症状はないのかの?
「では、父上と兄者とカム。早朝に村人全員を広場に集めておいてくれ。早朝に転移を行う」
最後に通達して、その場は解散になった。
****
「わーい銃だ!」
「その台詞は教育上よくないと思うのじゃが……」
久しぶりに暇が出来たので、儂はシルのところに遊びに来ていた。
正確には、連れてこられたの方が正しいがの。
あの「付いてくるよね?」という凄惨な笑顔の前に、怯えずに逆らうことはたとえ賢者でも不可能じゃ。
今でも思い出すと寒気がはしる。
「ねぇ!ねえ!」
「……お、おおどうしたシル」
考え事のせいで反応が遅れた。
「クレイはさぁ……もう私と遊んでくれなくなるの?」
「うん?」
「お母さんが言ってた。クレイ様はもう忙しくなるのよーって」
あーそういうことか。
貴族になる、という話はもう村中に広がってたりするのか。
たぶんあの父上だな。
あの人、口緩すぎるから今度拷問してでも〆ておかないと。
「ねぇ!そんなことないよね。遊ぶもんね?」
不安そうな顔で、上目遣いで聞いてくるシル。
「あ、ああ……」
引き攣った顔で答える儂。
やっぱこの子の眼が怖すぎる。
連載版:ゴキブリのような男のゴキブリ転生~あらゆる怪物を驚かし続けたゴキブリは最恐のゴキブリと化す~
という題名で新作を始めました。
良ければ覗いていってください。
今後もよろしくお願いします。