お爺ちゃん賢者は兄にコケにされて悔しくなりました。
今日はこれで終わりかも……です。
税収の改革はとりあえず信用を得てからじゃな。
じゃないと村人が付いてこん。
儂が村長にでもならん限りはな。
……ということで、今日も農作業が待っている。
儂は面倒な仕事が嫌いなので、早速、土人形を作成し、代わりに仕事させる。
生まれたときから両親に隠れてこそこそして、魔力を常に放出し続けたのでもう既に魔力に関しては賢者の時代の五十分の一までは取り戻している。
分かりやすく言えば、前世の世界の魔王の総魔力の二倍ぐらいじゃの。
なので、今作ったゴーレムも二百体ぐらい作れれば魔王を圧倒できるレベルの戦闘人形じゃな。
おそらくこの村近辺では相手になるものなぞおらんのではないかな。
「クレイずるいぞお前。土魔法が少し使えるかと言って調子に乗りやがって」
兄が不平を言う。
この兄は確かに平民としては優秀なのじゃが……
「少し待て、兄よ。自分にある才能を最大限に生かすのは悪いことなのか?」
この兄は火属性に適性がある。
よって風呂沸かしの時とかは兄も自分の力を普通に使っているのじゃが……
まあそれも火の火力を少し強くするぐらいじゃけどな!
話もならんわww
「違う!しっかりと農作業で筋力を養うんだ。お前は筋力が無いからな。そら、そのゴーレムを俺によこせ」
「では兄者は筋力があると?」
「ああもちろん。ステータスを見ただろうが」
確かに偽のステータス上ではお主が勝っとるかもしれんが……
儂と筋力で同じ土俵に立つにはざっと魔王の二百数十倍の筋力が必要になるぞい。
まさに一昨日きやがれ!って言うてやりたい気分じゃ。
「いやじゃ。ゴーレムは儂のモノ」
とりあえず反論してみる。
「なんだと!?俺に逆らう気か!」
「そうじゃ」
予想通りの答えが返ってきた。
その次は恐らく……
「おりゃああああ!!!」
儂を持っていた鍬で殴りつける兄者。
おっと。常人じゃ死んでおるぞこの攻撃。
まあ、儂も毎日筋力を養っているとはいえ、まだまだ賢者時代に追いついてない部分が多い。
防御力もそのうちの一つだ。
それでも素人の鈍器の振り下ろしぐらいで1mmでも傷付くことはないんじゃよ。
第一踏み込みが甘すぎる。
そんなんじゃ自称筋力バカの筋力すら働かんではないか。
「兄者。武器を振り下ろすときの姿勢はこうしてだな……」
「もういい!……防御の化け物め……」
「兄者!」
「「二人ともやめなさい!!」」
仲良く両親の叱責が飛ぶ。
「はーい」
素直に謝っとこうではないか。
「……」
「全く。今のは完全にラルクが悪いですよ。せっかくクレイが教えてくれようとしたのに……本で学んだの?あの技術は?」
「うむ」
そういうことにしとこう。
賢者とか言ったら面倒臭いではないか。
「……」
兄者は時々私を暗く淀んだ目で見ていることがある……気がする。
気のせいじゃろうな。
きっと。
評価等お願いします!
ああ……このサイトでの活動を始めてからはや半年。
早いものですな……
ということで、今後もよろしくお願いします!