お爺ちゃん賢者は貴族を脅迫しました。
脅迫ですね。
「痛たたたた……」
そういって倒れた馬車から出てきたのは、立派な衣装に身を包んだ……
「いきなり何をするんだい?」
久しぶりに遭遇する、貴族という存在だった。
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「まあ、別にいいよ。故意にぶつかったわけじゃなさそうだしね」
そういって柔らかに笑う、この地の領主フィンセント。
なんとなく……若いな。
貴族界に慣れきっていない雰囲気じゃ。
隣では、ぶつかったと思われるスキュラが必死に謝っている。
「すいません領主……わざとぶつかった訳ではないんだ……」
「だから許すって。その代わりと言っては何なんだけど……キミ、こっち来てくれる?」
そういって指名されたのは儂。
ん?儂?
「いいからこっち来てってば」
そのまま手を引っ張られて、倉庫の影に連れ込まれる。
護衛も何もいないけど、本当にコイツ貴族として大丈夫か?
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「それで話なんだけど……彼女を僕の妾にくれないかな?どうやら君は恋人のようじゃないか」
あー。そういうことか。
話ってそういうことか。
「あー……何と言うか、辞めた方が良いぞ。あいつ凶暴だから。」
「凶暴?何のことだい?」
あいつあれでも魔王だからな。容姿はいくら良くても、一晩で殺されては敵わん。
それと儂はあいつの恋人になった気はない。
「それにどうトチ狂ったか知らんけど、儂はあいつの恋人でもなんでもないぞ」
「嘘を吐かないでよ。僕と話している時もしょっちゅう彼女、君に目線向けてたよ?」
……こいつどんだけ嫉妬深いんだよ。
そんなとこ誰も見てないじゃろう。
「ま、あなたがその気なのなら……」
「余りこちらを舐めない方がよろしいですぞ?」
ブワッッ!
と一陣の風が吹いた。
瞬時に魔力を練り上げ実体化させ、剣と化し首、喉、腹、あらゆるところに切っ先を向ける。
剣先が六つに分かれる【六岐竜頭】の応用だ。
そして周囲に高濃度の魔暴嵐を多数起動させ、逃げ場を失わせる。
さらに儂の胴体の近くには、銃が二本先をフィンセントに向けた状態で磁波浮遊させる。
塵雷魔法【原核歔欷】【原生簒奪】を発動させ、爆発の段階でフィンセントの前で綺麗に止める。
脅しはこれで終わりじゃ。
「あ、あなたは……何者……?」
出会い直後の飄々とした様子から一変、冷や汗をだらだらと流しながらフィンセントが声を絞り出す。
いまだに震えが止まっていない。
液体が地面に流れ出ていることから察するに、失禁まで犯したのじゃろう。
もうなんか可哀そうになってきたので、全部を一纏めにパンッツと消してやった。
散々ビビっておるようじゃし、もう脅しはいらんじゃろ。
予想外の脅迫。
貴族はお爺ちゃんにとっては虫けら同然です。
今後もよろしくお願いします。




