お爺ちゃん賢者は勇者と交渉しました。
今日は三話投稿と思われます。
謎の飛行物体案件は、救出劇で幕を閉じ村人は各々の家へ帰っていった。
飛行物体二人は、漏れなく儂の家にご招待した。
「「はい!どうもこんにちは!」」
いやお前ら誰だよ……
どうもこんにちはとか舐めてんじゃねえぞ……
……という数々の突っ込みを必死でこらえる。
儂って忍耐力素晴らしいと思うんじゃ。
「で?私たちが誰だか知っていますか?」
「知るか。そして帰れ」
「嫌ですッ!」
……おっと思わずツッコミが。
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この二人はこの世界の勇者(自称)らしい。
の割に弱すぎる気がしないでもないが……
かつての勇者たちならば、【魔滅結界陣】が発動された瞬間にそれを上回る出力で【術式抵抗】を発動するぐらいのことは出来たのじゃが。
ま、儂の術式に抵抗できたことは無いのじゃがな!
「なんかこの爺さん口調ムカつくね……エリス」
「激しく同意……リリス」
その会話がムカつくな……儂。
……というノリは止めて。
「なんか要件があるんじゃろう?儂のテリトリーに入って来たということは」
「ああ……そのことなんだけど」
やはり要件があるようで間違いない。
そうでもなければ国家最高戦力がこんな超のつくド田舎くんだりまで来るはずがない。
まさか儂が賢者であることがばれたか?と思うも、次の言葉でその心配は杞憂に終わる。
「あなたが、魔王の居住地【魔煉獄】を吹き飛ばした犯人なのよね?」
そういうことか。
とりあえず胸を撫でおろす儂だった。
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「……と、いうことでその犯人は儂で間違いない」
状況を簡潔に説明し、結論を述べる。
あくまで丁寧に説明したつもりじゃったが……
「ふざけんじゃないわよ!?」
「性能実験で魔王が吹き飛んだ!?その危険物を出しなさい!」
二人は案の定、怒り狂った。
それも仕方がないかもしれんのぉ。
国を守る戦力として、危険人物は放っておけない。
昔、儂もそんな立場じゃったから気持ちはわかる。
「これこれ荒れるんじゃない。せっかくの綺麗な顔が台無しですぞ」
とりあえず誤魔化す。
銃はまだ世には出したくない。
「「……ッツ誉めればいいってもんじゃない!」」
「すまん……」
見事なハモリ!
この二人、馬鹿っぽいわりになかなか頭がキレるな。
儂のごまかし大作戦を完全に見切って回避するとは。
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「うー……」
渋々、対物大弾銃を二人に差し出す。
受け取った二人は驚いたような顔をして、あちこち舐めまわすように眺める。
時々角度を変えては、ふおーとかこれは!?とか言っている。
本当に知らないんじゃのう。
前世では当たり前のように存在した技術を使っているのだから、この世界の文明レベルはまだ前世の世界より劣っていると思わざるを得ない。
発展には、儂も貢献しなくてはの。
……そして、すべてを眺め終わったのか、コトリと銃を置いて真っすぐ儂を見る。
ぶっちゃけお前ら何も見てないよな、と儂は思う。
そんな短時間で、儂の数百年にわたる拘りを理解できるはずもない。
その程度の覚悟で何を言おうと……
「「王国専属の技工士になってください!」」
「だが断る」
儂は断るぞ。
読んでくださり有難うございます。
余談ですが、とうとうこの作品が僕の書いた作品の中で一位に躍り出ました!
今後もしっかり連載続けていこうと思います。
応援よろしくお願いします。




