お爺ちゃん賢者は何者かを救出しました。
束の間の幸せ。
幸せな時間をぶち壊したのは、実の父親だった。
父親が発したその言葉は、間違いなく儂の心に快心の一撃を与えた。
「なあ皆!今回の戦いでもこれだけの功績を残したクレイの事だ!時期村長にしても問題はねえよなァ!」
突然の不意打ち!
「なッ!?ちょっと待て……「「「大賛成です村長様!」」」……おい……」
突如の村長任命宣言。そして即認証。
何だかんだで信頼されているのかもしれない。
少し嬉しくなった。
そして儂は同時にある一つの悲壮な覚悟を固めた。
「例え父上でもこの場では死んで頂かなければなりませぬ……フフフ……」
高笑いをしながら対物大弾銃を構える。
「止めろォォォォオ!?」
「はっはっはっはっは……!」
「「「クレイ!クレイ!クレイ!」」」
クレイコールや、父親の叫び声で、地上では大変な騒ぎが起こっていた。
そして、それを青空から眺めるものが二人いた。
「やっと見つけたわ……」
「見つけましたわね……」
二人は、揃って愉快そうな笑いを浮かべた。
****
結局、儂は村長コースで決定らしい。
もともと、それを否定していたのがカムと兄者だけだったというのだから当然の結果と言えば当然の結果だ。
「あーやってしもうたわい」
必死に頑張った結果がこれである。
儂も報われんのお。
そして、もう一つ厄介ごとが増えそうなのじゃ。
儂は、村人に囲まれながら上空の強力な魔力存在を感知した。
儂は上空に向け声を挙げつつ、魔法展開の準備をする。
「いるんじゃろう?隠蔽してないでさっさと出てこい!【魔滅結界陣】」
展開した瞬間、青いドームが空高くへと広がっていき異物の存在を間違いなく感知する。
魔法発動の後に、儂以外が発動した魔法は存在を拒まれる。
よって上空の魔力存在は、対空が出来なくなるはずじゃ。
我ながら危険な魔法だなと思いながら、上空を見上げる。
ひゅー、と凄い勢いで落下してきたのは、二人の人間だった。
「助けてくださぁーい!!」
「ふわぁぁぁあ!?」
侵入者といえど仕方がないので、最近出番がなかった翼を広げ、救出に向かう。
二人は結構距離が離れていたので、急がないと間に合わない。
まずは、後方で魔暴嵐を起こす。
スピードを付けて一人目をキャッチ!
「はうッ……」
わき腹をがっちりホールドして、次は斜め上方向に魔暴嵐!
「うわぁぁぁあ怖い怖い怖いィィィ!?」
突如として猛烈に上がるスピードにキョドる一人目。
これぐらい我慢せい。忍耐が足りんぞ。
「よっしゃ二人目!」
スピードを上げたまま、二人目の足をキャッチ。
そしてそのまま――――
錐揉み回転で急降下!
「「うわぁぁぁぁぁぁああ!?」」
……実は儂もちょっと怖いんじゃ。
だから黙っとくれ。集中が出来ん。
そのまま、翼で速度を制御、無事軟着陸に成功した。
「「クレイ!クレイ!クレイ!」」
このコールが上がったのも、仕方がないと言えよう。
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