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お爺ちゃん賢者は領主の家に転生しました。

 「おおおークレイは本が好きなのかー」


 「なんか最近本に目覚めたみたいだけど……」


 「いいじゃないか本好きで悪いことは無い!むしろ本の狂人になってくれても構わないぞ私はぁ!!」


 一番上は儂の新しい世界の父上じゃ。


 今の会話から分かるように、この父は本オタ、狂人という表現も生温い。


 儂もちょいと距離を置くぐらいの本好きな何者かじゃ。


 じゃが、本人の望み通りに、儂が本の狂人になることは無い。


 儂は土魔法の権化じゃからな!


 「本当にどうしたのかしら最近……(父親と同じ狂気を感じますわ。早急に対処しないと)」


 儂は最後の小さな囁きを赤ん坊の性能抜群の耳で拾ってやったぞい。


 それにしても狂気とは酷いじゃろう。


 せめて、異常なまでの執着心と言ってくれないかのぉ。


 

      

         ****





 儂の転生した地は、辺境の地の領主の家じゃった。


 THE辺境の地と言わんばかりの広大な田畑は、なかなかいい景色じゃ。


 しかし。


 領主のわりに貯めこんでいる食料が少ないと思うのじゃ。


 さっき倉庫を覗いてきたが、ため込んでいる食料がなんと0!


 大方、集めている税も少ないのじゃろう。


 領主の癖に貧しいのぉ。食べ物にも苦労しそうじゃ。


 武芸はそこそこ腕が立つので、村長になったらしいが……


 それもまだ完璧とは言えんの。


 この村近辺に限ればそこそこイケるじゃろうが、儂が前世で戦ってきた魔王や四天王や大怪獣とは比較にもならん。


 「クレイ。ご飯だぞ」


 もう飯の時間か。


 儂は身支度を適当に済ませてから、食卓に向かう。


 そうそう、そういえば儂の今世の名前はクレイ。

 

 土にぴったりの良い名前だと思わんかね?


 儂は気に入っておるぞ、このクレイという名を。




 「この季節はナポルの収穫の季節だからねーいっぱい食べられるよ」





 いっぱい食べられる!?


 食卓に着いた母上の言葉で、儂は興奮で気持ちが満たされる。


 ナポルというのは異世界人の言っていた「リンゴ」に似たものじゃ。


 柑橘系の爽やかな味わいが儂は好きでのぉ。


 というわけで出された日は毎日たくさん食べている、てな感じじゃ。


 老人の胃には脂っこいものは重い。


 今の季節は、春。


 暖かい陽気とナポルで、儂の気分は最高に満たされている。


 「今年は少ないわね……」

 

 「今年も、だな。いったい何があったというのだ。今年は豊作とみていたのに」


 儂たち兄弟には聞こえないようにとの配慮なのか、小さく囁くようにして喋る二人。


 おそらく、量が少ないと嘆いておるようじゃな。


 やはり気づいてないのか。愚かなものだ。


 儂は、ただでさえ少ない朝食を、つつくようにして頬張りながら思考する。


 今両親は今年の税の集まりに関して言っているようだが、それは少ないのも当然と言わざるを得ないじゃろう。


 何せこの前税収の帳簿を両親の眼を奪ってみたところ、だいぶ税をちょろまかされておるからの。


 どうやら村人は六割も税を出しておらず、豊作の時ほどそれが顕著になっておる。


 どうやらこの両親に全く計算の才能は無いということが身に沁みてわかったの。


 今度帳簿を直しとくとしよう。

 

 幸い、儂は異世界人の知識はすべて吸収、発展させておるので計算もばっちりじゃ。


 四則演算まで出来る三百九十二歳なんじゃぞぉ!


 「では、いただくとしよう」


 父上の音頭で、ささやかな朝食が始まる。


 カチャカチャと虚しい音を立てて、我が家の朝食は進んでいくのじゃった。


 ……土魔法の発展の前にこれはどうにかせねばなるまいの。


 生憎と、儂は土魔法のために仮とはいえ家族を捨てるほど無常ではないということだぞい。


 


 


 

本日二話目!

お爺ちゃん口調に間違いはありましたでしょうか。正直不安です……ww

今後もよろしくお願いします

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