お爺ちゃん賢者は対物大弾銃を解禁しました。
今日はこれで終わり?
初撃である火球が頬を僅かに掠め、背後で爆散する。
余りの速さに弱体化の定義を疑い始めた儂だが、次の攻撃で思考まで遮られる。
魔王スキュラの固有能力の開放だ。
『【六岐竜頭】』
『私の得意攻撃よ。気を付けてね☆』
『☆じゃねえッ!?分かっとるわい!』
魔王の背後に纏わりつく六つの竜頭が回転し始め、ブレスを吐き出しながら時間差攻撃を仕掛けてくる。
最初の竜頭が迫る。
「……ッ錬成!【土龍碧】」
目の前に、青い胎動を纏った土龍の意匠が施された壁が聳え立つ。
土属性最強の防御魔法だが、さほど時間もかけず破られるだろう。
そう予測を付けていた儂は、対物大弾銃と、非実体弾銃:魔煉光線銃を魔力で構成した磁波で同時展開する。
搭載したAIにも指示を出し、連射の準備を壁の内側で整える。
『見ない武器ね。異世界人にでも習ったの?』
『ああ。とんでもない威力だ。』
ここら辺は世間話の類だ。
なんだかんだで、コイツとは二百年近く争ったのでそれなりに仲はいいのじゃ。
『さて、そろそろあなたのお得意地属性防御魔法が破られるわよ。』
『ああ、そろそろじゃな』
よく見れば、生成した壁にも段々傷が入り始めている。
もう崩されるのではないか、いやもう崩れる。
そう確信したところで対物大弾銃の的中確率円環を展開する。
魔煉光線銃のほうは魔力装填が一瞬で済むから、的中確率円環の収縮率も低く、合わせやすい。
しかも展開から発射が早すぎるから、まだ展開すべきタイミングではない。
そうこうしている内に、壁は脆くなっていき、磁波を使って持っている両方の銃は青い粒子を周囲より取り込み、放出の時を待っている。
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やがて、壁が壊れた。
強固な破ったのは、最初に儂へと攻撃を始めた【一龍】だった。
壁を破った【一龍】は本体であるスキュラへと戻り、儂をそのまま殲滅しようと【二龍】が迫りくる。
少しタイミングが悪かったのう。厄介じゃ。
壁が破られたタイミングは、的中確率円環が最大限に収縮したタイミングであり撃ちだすまで一番時間がかかる。
この【二龍】だけは自分でガードしなければなるまい。
もういっそのこと焼き切ってしまえ、と多量の魔力を込め魔法を打ち出す。
『【原核歔欷】』
今度は赤い粒子の塊が即座に作り出され、撃ちだされる。
今回は少し急いで撃ちだしたので威力は控えめだ。
にも関わらず、粒子の波は竜頭を簡単に貫通し本体へまで至る。
『痛いッ!?……なんか賢者時代よりさらに強くなってない?』
操られても、痛覚だけは継承しているようじゃ。
そして、的中確率円環が収縮率の拡大限界まで広がった。
『吹き飛ばす!【魔力装填】』
収縮率の動作を止め、魔力装填を開始した。
明日は投稿できなさそうです。
今後もよろしくお願いします。