お爺ちゃん賢者の知人が復活しました。
復活じゃーw
「クソッ!今の力じゃまだ……」
敵わん。
それを儂は誰よりも自覚していた。
賢者時代の力と今の自分の力にはまだ大きな隔たりが存在する。
今戦えば、負けることは必定であり、生き残れるかも怪しい所じゃ。
そして今か今かと攻撃を完全に受け流せる体制で待ち構えていたところ。
『久しぶりだわね、土魔法狂』
戦場に似合わない、艶やかな声が耳を打った。
もはや、カムと兄者は飲み込まれ、周囲の魔物も完全に鎖で制圧した。
村人も別の鎖に仕込んだchの【転移】で生存者を次々と村の郊外へと転移させている。
よってこの場は、儂とかつての魔王軍主力が存在するのみとなる。
しかし、この声は空間の大気の振動で伝わってくるものではない。
何というか、魔力で伝わってくるような振動だ。
……そしてこの声は。
『あなたの予想通り、かつての魔王のスキュラよ』
やはり、か……
これは問わずにはおれぬ。
『しかし、討伐したのに何故生存しているのじゃ?厳重に封印まで施したはずじゃが』
そうだ。
これが腑に落ちない。
あの封印の構造を知っているのは、実際に封印を創った儂と、それを施した勇者たちのみじゃ。
つまり解除できるのもその五人のみ、儂は解除した覚えはない。
つまり――ッツ!?
『予想通りよ。勇者が反乱を起こし、世界に混乱が起きている。あなたが勇者の最後の防波堤となっていたようね。あなたがいなくなった途端、人が変わったように勇者は暴れ出したわ』
マジか……
あの純真そうな勇者たちが。
あんな努力をして世界を駆けあがった彼らが。スズキ達が。
『まぁそこは仕方があるまい。問題は儂がお前を倒せるか、という事じゃ』
魔王たちは、封印を、世界を滅ぼそうとしている勇者たちに破られた瞬間にこの世界に転移させられてきたらしい。
永きにわたる封印で力を削がれていた魔王たちは、あっさりと捕まったのだとか。
今、スキュラは自由意思で体を動かせない。
つまり倒さなければいけないのじゃ。
『まあ、そこのところは心配しなくて大丈夫よ。私を操る術者は腕が幼稚だし、私が高レベルの【術式抵抗】をしているから、私の戦闘能力は限りなく低いわよ』
そんなこと言われてものぅ……
お前の「限りなく」はイマイチ信用が出来んのよな。
【γΩα】
頭になぜか聞き覚えのある言葉が響き渡る
『……っとそろそろ術者が戦闘を始めるらしいわ。なんとか倒してね★』
『ふざっけんな!?』
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