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先輩と後輩で話をしよう。  作者: 干詩イモ
第一章 先輩と後輩で出会おう。
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4. 先輩(仮)と午後の仕事

「中山くん、ちょっといいかい?」


 昼休みを終えて午後のチャイムがなり終えた直後、

課長は口元で左手をメガフォンのようにそえてそう言う。

 ん、これは...。

僕はあわててデスクを離れ、課長がいる立ち机の方に向かった。


「今、抱えている急ぎの仕事とかある?」

「えっと、い、急ぎの仕事はないです!」


 やばい。

 いつものことだが課長の前だと、緊張して上手く話せない。

先入観からかなにかオーラというか、圧というかそのようなものが働き、

邪魔をしているかのように感じる。

 というか、ただのビビりなだけかぁ。


「それじゃさ、悪いんだけどちょっと頼みごとがあるんだ。

 今ね××製品の動作不良がユーザーの方で多発していて、

 まっ動作不良っていうのは具体的にいうと...」

  

 その後に製品の「具体的な不良部分」と「今、置かれている状況」について課長が説明をする。

 ふむふむ、つまりこういうことである。

 その不良の原因はどこにあるのかを現在わからないが、

その原因の報告と改善方法をお客に提示をしなければいけない状況にあるということである。


「そこで、今これを藤くんが担当してくれているんだけど、

 彼はほかにも仕事を抱えていてね、ちょっと手が回らなくなっているんだ。

 そこで、中山くんには彼の手伝いをしてもらいたい。

 詳しくは藤くんに聞けばわかるから。よろしくね。」


 そういうと、課長はデスクへとすばやく戻っていった。

 実は新製品の立ち上げの時、このようなことが起こってしまうことが前にもあった。

 このようなことが起こらないように設計の段階で何度も製造部門などと会議をしているようだが、

系列品でなく構造が違う新製品だとこれまで積み上げてきたノウハウでも分からないような

思いもよらないところで問題が起こることがあるらしい。

 あと、海外の工場の製造現場とコミュニケ―ションが上手く取れていないとかも原因だとか。

...正直よく知らないのが本音だが。

 人の命に関わる部分でそのようなことは言い訳は言えないわけで、

今回はそのような部分ではないからこのぐらいで済んでいるが、

本来あってはいけないことである。

それを考えると、「うちの会社大丈夫か」という思いがよぎる。

 まぁ、これも直接やっていない傍観者の自分だから言えることで、

実際に設計者から見れば「じゃ、お前やってみろよ」というわけで、

つまりは製品設計の難しさを想像するのである。


 そんないい加減な妄想は時間の無駄だなと思い、僕は藤先輩がいる実験室へ向かった。

藤先輩に課長から依頼された旨を言うと、

「自分の仕事は大丈夫なの?手伝ってくれるのはありがたいけど」と言われたが、

「急ぎはないんで大丈夫です」と答え、作業内容を教えてもらい、それに取りかかった。


「来週から成瀬くんだっけ、新人入ってくるね~。

 ついに、中山くんも先輩だね。」

「そうですね。正直、不安しかないですけど。」

「なにを言ってるんだよぉ。これまでいろいろやってきたでしょうに」

「そうですね。

 困ってたら、なるべく教えられるようにしたいとは思ってるんですが。

 ただやってきていないこともすごく多くて。

 あと、教えるとなると大丈夫かなってとこも」

「そんなこと言ってると、あっという間に後輩くんに抜かれちゃうよ。

 頑張ってよぉ。」


 部内では年齢が一番近い先輩である藤先輩とはわりと自然体で気楽にいつも話している。

いつも困っているときやアドバイスをくれる優しい先輩であり、

年長者からも一目置かれている存在である。

 わりと僕のことをからかってきたりとかもよくする人なのだが。

その時の先輩のセリフが軽い感じでは言ってない気がして、少し戦慄する。

僕も藤さんのような良い先輩になれるのだろうか...んーどうだろう。


「中山くん。今日はこれでいいよ。あと俺やっとくから」


そんなことを考えていたら、定時が過ぎていた。

すみません、またも遅れてしまいました。

今回も1分キツイかもと思います(毎度のことながらすみません)。

よろしく、お願いいたします。

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