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終末への旅  作者: パウエル
第2章
25/33

第24話 弟子と魔法③

 アリスと狩りに行った翌朝、俺たちは次の農村に向かって出発した。


 昨日は色々一杯一杯だったアリスも大分復調してきたみたいで、結構元気に見える。昨日のような重い話は何度も繰り返す類いの話でもないので、しばらくは放置しておこう。本来、あの手の話しはサラがその内してくれたはずなので、俺がやったことは単なるお節介なんだろう。それにこれからはアリスも自分で色々と考えるだろうし。


 さて、次の村は少々離れた場所なので駆け足で馬を走らせる。南東・・方向に走らせること半刻(1時間)ほどで、目的の農村に到着した。この村は一カ月前に“豊穣デーメーテール”を終えており、俺たちが着いたときにはちょうど小麦の種まきをしているところで、大人たちが総出で農作業を行っていた。俺が通ると村人たちは農作業の手を止めて挨拶してくるが、俺は一言二言返すだけで留まることなく農村へと向かった。農作業をあまり見たことのないアリスがもう少し見ていたそうな雰囲気を発していたが、特に何も言ってはこなかったので無視した。


 しかし“豊穣デーメーテール”による農地改良が済んでいるのになぜこの村に来たのかというと、その理由となる少年が農村の入り口で俺のことを待っていた。


「クルス先生、おはようございます。」

「ジニー、元気にしてた?」

「はい!」


 この元気一杯に返事をしてくれた男の子の名前はジニー。歳は俺の一つ下の8歳、栗色の短髪のくせ毛、リスを連想させるクリッとした目と顔、そして俺よりも少し小さめの身体の男の子。純朴そうでどこにでも居そうな男の子だが、実はちょっと特別な才能を持っており、俺はこの子の先生として魔法を教えている。


 そう、この農村に来た目的はこのジニーに魔法を教えることだ。


 一カ月前に農地改良を行ったときにジニーの才能に俺と地の精霊パルが気付いた。ジニーはある意味において俺を上回る魔法の才能を秘めているので、この才能をこのまま農村で埋もれさせておくのは非常に勿体無い。そこで俺がジニーに魔法を教えることになった。


 これにはこの村の村長やジニーの両親も仰天して、俺に教わるなんてとんでもないと恐縮するあまり断ろうとしていたが上手く丸め込んだ。取り敢えず両親には日々の魔法訓練の時間を確保するようにお願いし、一月ひとつきに1、2度に頻度で俺が直接に教えに行くことを了解してもらった。


 そして、その村長と両親たちが村の反対側から俺たちの方に急いで向かってくる。多分反対側の畑で農作業しているところに俺が来たと聞きつけて慌てているだろう。俺たちは馬から下りて、彼らが来るのを待っていると。


「クルス様、ようこそおいで下さいました。」

「お邪魔します、村長さん。」


 春の陽気、農作業、そして今まで走っていたので村長の禿げ頭にはなかなかの汗が滴っている。


「早速、ジニーに魔法を教えに来ました。」

「はい、よろしくお願い致します。」

「それで馬の世話だけ、お願いできますか?」

「はい、承りましたが……そちらのお嬢さんは?」


 村長は前回いなかったアリスの方を向いて質問してくる。アリスは幼いのに人目を惹く気品を持っているので、村長もただの付添いではないと勘ぐったのだろう。


「こちらは僕の姉です。」

「アリス・ヴァンフォールです、よろしくお願いします。」

「これはこれは、領主様のご令嬢でございましたか。この村の村長をやっているドロと申します。」

「姉はただの付添いですから特に気になさらずに。これからジニーの魔法を教えますので皆さんは農作業に戻ってください。あと今日も一泊させて頂きたいのですがよろしいですか?」

「はい、本当によろしくお願い致します。ジニー、じっかり勉強するんだぞ。」

「分かってるよ、村長。」


 ジニーの両親に改めて「息子をよろしくお願いします。」と言われたあと俺、アリス、リリさんはジニーと一緒に農村の片隅にある小さめの広場に向かった。ノックスさんは農作業を見て回るということで別行動。この広場は収穫された小麦の中の税として納められる分を一時的に置いておくため場所であり、普段はほとんど利用されていないので訓練する場所としてちょうどいい。


 広場の中央に着いて、早速訓練を行おうと振り返ってジニーに声を掛けよう……。と思ったがジニーは“ぽやー”とした表情でアリスに見惚れていた。アリスも俺と同じように振り返り、ジニーとアリスの目が合うことでようやくジニーの意識が覚醒した。


 面倒臭いめんどくさーと思ったが、いちいち構ってられん!


「ジニー、始めるよ。」

「よろしくお願いします。」


 俺の号令でようやくジニーの意識も多少は訓練モードに入ったと思ったが、アリスからの横槍が入ってしまった。


「ジニー、自己紹介がまだだったわね。私はアリス、クルスのお姉さんよ。」

「は、はじ、まして、ジニーと言いまず。」

「よろしくね、私もクルスから魔法を教わっているから云わば私はあなたの姉弟子ね、仲良くしましょう。」

「っよろしく、おねげします。」


 声を掛けて貰えると思っていなかったのかジニーは顔を赤くしてガチガチに緊張している。本当に面倒臭いめんどくさー!! さっさと始めよ。俺は少し強めの口調でジニーに声を掛ける。


「ジニー、訓練の成果を見してもらうぞ。まず、瞑想だ。」

「はい!」


 そう言うとジニーは地面に胡坐を組んで座って瞑想を始める。瞑想を始めるとジニーの身体の周り漂っていた垂れ流しの魔力が落ち着いていった。身体から自然へと垂れ流される魔力が僅かになり、水が穏やかに揺蕩たゆたうように魔力が身体に纏わりついていった。まだ揺れ幅が小さいとは言えないが、一カ月そこそこでこの状態に持ってこられたのはジニーの天賦の才によるところが大きい。


 さて、ジニーの訓練として俺が行っているのは魔力操作。アリスは身をもって知っているが俺の訓練の中心はひたすら魔力操作。そして魔力操作の第一段階が自分の魔力を知覚すること。これに関してはジニーも既にクリアーできているので、次の第二段階。それが垂れ流しの魔力をコントロールすること、これは解放(パージ)の基本中の基本と言われている技能であり、非魔法師と魔法師を区別するための判断材料とされている。


 ジニーは意識を自分に集中すれことで自分の魔力をコントロール出来ているが、これを無意識にできるようになってようやく二流の魔法師。この域に達するのには1、2年の歳月が必要だがジニーなら半年でいけるだろう。


 ジニーがこの一カ月、真面目に訓練していた成果を確認できたので次の指示を出す。


「ジニー、そのまま魔力を抑えて。」

「はい。」


 小さく返事をすると、ジニーの身体に纏っていた魔力がだんだん少なくなっていた。まだ魔力を完全に身体の内側に留めることは出来ていなかったが、前回に比べればかなり進歩している。身体に纏っている魔力とは正確に言うと充填(チャージ)を行った後の魔力エネルギー、つまりこの技能は無意識に行っている充填(チャージ)を完全に止めることを意味している。


 実は充填(チャージ)を完全に止めることはかなり難しい技能。分かりやすく言うと、人にとっては呼吸を止めるのと同じことと言われている。つまり息を潜めることはできるが、息を完全に止めるのは人にとって命に関わりこと。ただ、呼吸と違って充填(チャージ)を完全に止めても死ぬことはないし、苦しい訳でもない。


 この技能を魔法師で習得している人は稀だが、隠密行動には非常に役に立つ。一流の魔法師でもこの技能を習得しているのは半分程度、魔力を抑えることは出来ても完全に隠すのはまた違った才能が必要と言われている。この技能の習得は3年前からアリスにも行っているが非常に苦戦しており、俺の目指す水準まであと二歩といったところ。そしてジニーの力はアリスの水準に迫るところ。


「そのまましばらく維持して。」

「はい。」


 ジニーの顔つきが窮屈そうにしているのを眺めながら1限(10分)程経過してから一旦休憩にする。するとここまで黙って訓練を見ていたアリスが驚いた顔つきで俺の方を向いてきた。


「話しには聞いていたけど、凄いわね。これで魔法を習い始めて一カ月なんて。」

「なかなかのモノでしょ?」

「うん、なんかあっという間に抜かれそうだわ。」


 そしてアリスはジニーに笑顔を向けて、地面にしゃがむ。


「ジニー、あなた凄いわね。きっと凄い魔法師になれるわよ。」

「あ、ありがとうございます。」


 自分に向けられた賞賛にジニーはもう一杯一杯になっている。あー、これは惚れたな。アリスに笑顔を向けられて正気を保っていられる男はなかなかいない。愛想笑いですら貴族の子弟どもを虜にするのに、賞賛の思いが込められた笑顔にこの純朴な少年が勝てるわけない。まったく罪な女の子。


 しばらくジニーとアリスが魔法についてあれこれ相談しているが、それを打ち切って次の訓練に移行する。


「ジニー、再開するよ。次は魔力感知だ。」

「はい。」


 ジニーは再び瞑想に入り、魔力感知を行っていく。魔力感知は魔法師にとって最も大事な技能と言っても差し支えないほど重要な技能。基本的に人は魔力を見ることができないが、魔法を感じることは出来る。初心者はまず自分の身体から出てくる魔力を感知し、次に触れているモノの魔力を感知する。そして、最終段階として離れたモノの魔力を感知する。


 この感覚は人の触覚に似ている。これは離れたモノの魔力を感知するプロセスからそう考えられている。魔力感知とは自分の魔力を充填(チャージ)で魔力エネルギーに変え、解放(パージ)で身体の外側に伸ばして自然の魔力と混ざり合わせることによって、魔力同士の触れ合いを人は感じている。


 魔力感知の優劣は、感知距離、感知範囲(前方、後方、放射状、半球状など)で決まる。つまり半球状で全方位に遠くまで感知できる魔法師が優秀と言われているが、他にも重要な要素がある。それは感知圧と感知領域で決まる。


 まず感知圧だが、これは魔力感知が直感的に魔力の腕を用いて別の魔力に触ることを意味している。したがって、魔力感知を身に付いた魔法師ならば自分を触ってくる魔力を感知することが出来る。感知圧とは魔力感知を行ったときにどれだけ小さな接触で相手に接触するか、つまり相手に感知され難い魔力感知を行えるかということになる。


 そしてもう一つの要素が感知領域。これは通常の魔法師は魔力感知を空気の魔力を介して感知しているが、他にも方法は存在する。例えば大地を媒介にしたり、水を媒介にして感知網を作ることが出来る。この能力は遷移と密接に関係しており、得意魔法と同属性の感知方法が得意と言われている。


 そしてジニーの魔力感知はお世辞に言ってもお粗末な水準だ。ジニーは魔力の3本の腕を前方(15m程)に伸ばしている。まずこの腕の動きがうねうねしており、目標に対して真直ぐに向けられていない。これは初心者がよく躓くところで、2本以上の腕を操る感覚がいまいち理解できていないんだ。


 だが、この技能は経験によるところが大きいので気長にやるしかない。実はさっきからジニーの腕前に触発されてアリスも魔力感知を行っている。アリスは12本の腕を自分から放射状に伸ばして、その状態でこの広場をゆっくりと歩いている。距離的にもまずまずの水準(30m)でアリスのような近接戦闘を得意とする剣士には十分と言える。


 今、俺がアリスに出している課題はこの12本の腕の相対位置を維持しながら近接戦闘を行うことだ。動き回りながら魔力感知を行うことはかなり難しいが、この技能はアリスの剣士としての実力を一段上げるモノ。そのことはアリスもよく分かっているので、真面目に取り組んでくれる。


 俺はそんな2人の訓練を3限(30分)ほど見守ってから終わりにした。


「魔力感知はまだ上手くいかないか?」

「……はい。なかなか慣れません。」

「そんなに落ち込むな。この訓練は時間が掛かるから、毎日真面目に取り組むんだよ。」


 俺に上達したところを見せられなかった所為か、ジニーはしゅんとして態度を取る。それを見てフォローしたがあんまり効果はなかった。すると……。


「ジニー、そんなに落ち込まないの。コツが掴めるまでは仕方ないわ。私も3本の腕を自在に操れるまで半年以上かかったもの。大丈夫、ちゃんと訓練を続ければ上手くなるわ。」

「そうなんですか?」

「そうよ。っていうかクルスの魔法の腕前は天才だからクルスを基準するのが間違っているのよ。大丈夫だから頑張りましょ!」

「ありがとうございます。」


 始めて出来た弟弟子が嬉しいのかアリスの気遣いが半端ない。そしてアリスの励ましに対してジニーは感動している。もう絶対手遅れだ。もう知らん。


「さて、もうお昼ご飯の時間までそんなに時間もないから、取り敢えずこれで最後にしよう。」


 俺は地の魔法で広場の中にコの字状の土壁を作る。この土壁の大きさは小さな家ほどあり、結構頑丈に作った。そして腕輪型魔道具を外して、ジニーに渡す。


「この腕輪を着けて、“火よファイヤ”の魔法を唱えて。この訓練の目的は魔法を使ったときの感覚を養うことと魔力をたくさん使って体力を使ってもらうよ。」

「はい、分かりました。」


 ジニーは土壁の中心に向かって“炎よファイヤ”の魔法を唱え始めた。この魔道具に刻まれた“炎よファイヤ”の魔法陣は他の魔法陣と比べて3倍近い魔力を消費するように改造してある。したがって8歳の子供なら2,3発も撃てばぶっ倒れかねない魔力消費量だが、ジニーの表情には余裕が窺える。


 まぁ、これは当然のこと。


 なんたってジニーは100年に一人いるかいないかと云われている“精霊の子”なのだから。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 “精霊の子”とは文字通り、精霊ように魔法を発動できる人のことを指す。


 つまり“精霊の子”の力を理解するには精霊の力を理解することが一番の早道になる。


 精霊の魔法はいくつかの特徴がある。最もよく知られている特徴として精霊の魔法は自らの魔力で“火”を生み出すことの他に、自然界にある“火”を操ることが出来る。後者の能力は言葉にすると簡単だが、その困難さは言葉では言い表せられない。


 まず自然界にある“火”と言ってもこれは単一なモノではない。この理由は“火”に内包されている魔力の“質”と言われるものが異なるからだ。極端な話、火打ち石で着いた火で薪を燃やして出来た“火”と油を注いで大きくした“火”は微妙に違う。この違いは人の感覚では到底理解できない領域だが、精霊いわく“微妙だが明確な別物”らしい。しかし、この違いは人にとっても精霊にとっても問題になることはない(たが学術的には興味深い話)。


 そして、自然界にある“火”の中には魔法師が生み出した“火”も当然含まれる。ところが魔法師が生み出した“火”には、生み出した魔法師の魔力の“質”が“火”に付随されている。つまり俺の“火よファイヤ”とアリスの“火よファイヤ”で生み出された“火”は根本的に違うモノになる。この“質”の違いは精霊曰くかなり違うらしい。


 さて、精霊の能力が自然界にある“火”を操ることと説明したが、この仕組みが非常に面白い。それは“火”に付随する魔力の“質”を自分の魔力の“質”に変化させることで、自分が生み出した魔法と同じように操るのだ。つまり魔法師が生み出した“火”を自分のモノにするというとんでもない能力を精霊たちは持っている。


 勿論、この能力は無敵の力というわけではない。魔力の“質”を変化させることを精霊たちは“ピュシス”と呼んでいる。このピュシスによって人が生み出した“火”を操ることは精霊たちにとってもなかなか困難な行為だ。


 しかし例外もある。それが精霊たちにとって契約者の存在だ。精霊たちは契約者が生み出した“火”については容易に操ることが出来る。例えば俺が風の精霊ソロに向かって“風弾エアブレット”を向けても、ほぼ確実に途中で魔法の制御を奪われる。これは精霊との契約によってお互いのピュシスが非常に円滑化されるのだが、人がこの恩恵を受けることはまれだ。これは魔力の“質”を理解することが人にとって非常に困難な感覚だからだ。精霊と契約した一流の魔法師が生涯かけて辿り着く境地とまで言われている。


 一方で、魔法を介さず生み出された“火”の魔力と火の精霊の魔力は非常によく似ている。これはどちらも自然界から生み出された魔力だからと言われており、精霊はその魔力に意思が宿った存在ということになっている。したがって魔法を介さず生み出された“火”を操ることは精霊にとっては簡単なことであった。


 これが精霊の魔法に関する特徴のひとつ。余談だが俺が三年前に用意した腕輪型魔道具は自分で生み出した“火”、精霊が生み出す“火”、魔法を介さず生み出された“火”を自在に操ることが出来る。が、まだまだ研究あるいは修業の余地がある。


 一つ目に関しては問題ない。問題は二つ目と三つ目の項目で、ピュシスをどれだけスムーズに行えるかに掛かっている。砲台としての魔法師ならば詠唱中の長い時間(数十秒から数分)の間にピュシスを終えればいいが、俺の戦闘スタイルでは刹那(1秒以下)の時間に実行したい。


 ピュシスの能力は自分の魔力へと変える速度、対象となる魔力の規模、どれだけ自分の魔力と異なる魔力を変化させることが出来るかの許容力、この三つの技量で分かる。そして高位精霊の力を百とすると下位精霊が七十で俺の力が四十程度で、この現状に満足することが俺には出来ない。そしてピュシスの技量と関係するのが“精霊の子”の存在だ。


 そう“精霊の子”が何故のそのように言われているか。


 それは“精霊の子”のピュシスの能力が異常に高いからだ。俺の感覚的には八十~九十程度で、とんでもない力を発揮する。しかも“精霊の子”は魔法に関する潜在的な能力の高さから高位精霊もしく上位精霊と契約している可能性が高い……というかこれは俺の実体験に基づく。俺はこれまでに三人の“精霊の子”と出会った。二人は敵として、一人は味方というか弟子として。どいつもこいつも厄介な奴らだったが、敵にしたときに厄介さは筆舌に尽くしがたい。


 俺は弟子と精霊のピュシスを参考にして作ってあの魔道具を完成させたが、“精霊の子”の実力を考えると魔法力の向上は俺にとっても課題だ。


 そして精霊にはピュシスの他にもうひとつ厄介な能力を持っているが、これについては別の機会でいいだろう。



 俺は“炎よファイヤ” を撃ちまくっているジニーの訓練を止めて、全員で昼食に移った。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 同日、ヴァンフォール領にあるナニーニャの森に隣接する街の代官宅では街の有力者たちが難しい顔を突き合わせていた。


「もう9日になるのか。」

「こんなことは俺の爺さんの時代にもあったなんて聞いたことがない。」

「そうだな、原因がまったく分からん。」

「だが、良くないことなのはハッキリしている。」

「でもどうする……。」


 この部屋に集まっている有力者たちはこの街が始まって以来の異常事態に対して頭を抱えていた。


「やはり、領都に行って事情を説明して、領主様のお力を借りるしかないだろう。」


 代官のこの一言に街民たちはお互いの顔を見合わせる。やはりそれしかないか。


「大丈夫だ、心配するな。領主様は話の分かる人だからきっとこの街を助けて下さる。」

「そうですね。」

「ボロスト準男爵、領都には誰が行くんですか?」

「……儂しかおらんだろう。」

「すみません、代官。」

「これも役目だ。留守を頼んだぞ。」


 この返事を受けて残された街民たちはほっとした気持ちが僅かに表情に表れたが、それを見てボロスト準男爵は逆に憂鬱になった。領主様と言えど、この問題は容易に解決できるとは思えない。


 我々は精霊様のことを敬っているが、精霊様のことをほとんど何も知らない……。


 そのことがこの異常事態に対して何も対策を打ち出せない自分たちの無知さを示しているように感じる。


なんとか書き上がりました。そして個人的に立て込んでいた状況も改善されたので投稿ペースを戻します。次回は11日の21:00の更新です。

あといつの間にか話数が変わっていると思います。動乱への序章を以前は18話にしておりましたが、これを外伝としました。何故こんなことをしたかというとキーワードに「戦記」を登録していますが、ちっともクルス達は戦争していません。そしてこの状況は当分変わりそうにありません。予想としては3,40話進まないと戦争になりません。

そこで、当初の構想と違いますが戦争している彼等に焦点を当てて外伝的な話をちょこちょこ入れていこうと思います。外伝の時間軸は本編とリンクしてますので気にしないでください。

それではよろしくお願いします。

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