第18話 異変
今日から2章ですが、今日の話はあまりにも短い。
なので、明日も投稿します。
静かな森の中、その中でも最も神聖な場所とされる場所。
そこに一本の古木がある。
大きさも太さも周りの木々に比べれば一回りも二回りも劣っている古木。しかし、周りの木々とは違った佇まいを見せている。一見するとこの古木は枯れているように見えるが枯れている訳ではない。しかし、中天に昇った太陽が燦々とふりそそぐなかでも葉をつけることはないだろう。
この古木はこの森の命そのもの。
故に、この古木には人は疎か動物たちさえ近付こうとはしない。この古木の秘密を知らない彼でさえ、この古木の偉大さを肌で感じることができる。この古木の傍にいるのは、この森と伴に生きる精霊たちだけ。
しかしそんな場所に今、善からぬ想いを抱いた男が現れた。
「立ち去りなさい。」
「……。」
古木の傍に一体の精霊がゆっくりと顕現する。精霊は無粋な闖入者を詰問するが、それに答えるつもりはないようだ。
「ここは大地と伴に生きる我等の住み家、あなたが何の目的で訪れたかは知れませんがあなたの望むようなモノはここにはありません。」
「……。」
全く答えようとしない態度を見て、古木の周りには顕現していない精霊たちが集まってくる。
「我等は争いを望みませんが、致し方ありません。」
「……。」
精霊たちは魔力を高め、戦闘態勢へと移行していく。そこで男はようやく口を開いた……。
「貴様らは俺たちの糧だ。精々、悪あがきをするんだな。」
男は冷然とした眼で精霊を見据え、剣を抜き放ち戦いが開始された。
この日、普段は鳥の鳴き声さえほとんど聞こえない静かな森の奥において、幾度か大きな音がするのを近隣の村に住む木こりたちは聞くことになった。
そしてここはナニーニャの森と呼ばれていた……。




