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終末への旅  作者: パウエル
第1章
17/33

第17話 マルケド王国内戦

ここで第1章を終わりですが、外伝的なお話にもう一話お付き合い下さい。

 サーチェス・スタイン団長のもとにこの前の殺人事件(王都の公式記録には悪魔召喚について記載しないことが決定)の最終報告が届く。あの後、被害者の身元調査が徹底して行われた結果、いくつか分かったことがあった。まず身元だが、宰相が中心になって王宮の記録を虱潰しらみつぶしにした情報と王都裏町の聞き取りからカルディア大陸東部で暗躍する暗殺組織の可能性が高いことが分かった。


 そして、その地理的要因と被害者が残した残留物から、ラックス公爵の孫娘アナスタシア王女が標的の可能性が高いことが分かった。また、赤鬼ヴィンジャーノの記録も出てきたが、これは単なる殺害された貴族のリストだ。はっきり言って役に立たない。あれだけ大事件だったが分かったことは少ない。この報告書にしたってたったの2枚だ。


 もうこれ以上のことは分からないだろう。


 今、この事件を切っ掛けにして王宮は揺れている。マルケド王国に対する今後の対応だ。確かにこれまでの対応が中途半端だったから、公人としては悪くないと思う。


 しかしアナスタシア王女のことを考えると複雑だ。俺と彼女の間にはちょっとした縁がある。彼女の祖母と俺の母は友人同士、その縁で彼女の母親シャロンとも交流があった。シャロンは明るく気立てのいい子だった。


 ラックス公爵の三女シャロンはカルディア大陸の東部にあるマルケド王国の国王のもとへと嫁いだ、そしてアナスタシア王女が誕生した。この婚姻はアルケリア王国とマルケド王国の結びつきを強化する政略結婚の様相が特に濃かった。これは10年前からマルケド王国で始まった国を二分している内戦に関係している。


 11年前春ごろ前王が病気で亡くなり、皇太子であった現国王アレックスが王位を継いだ。アレックスは皇太子時代から評判も良く、統治は順調に進むと思われた。しかし数カ月後、王都で奇妙な噂が飛び交うようになった。アレックス国王が前王を謀殺したのではないか?


 噂に呼応するように前王の治療を担当した医者や王の身の回り世話をする侍官、女官の病死、事故死などが相次あいついだ。そして事態の鎮静化がなかなか進まなかった結果、一部貴族たちが公然と国王を批判するようになった。この状況を重く見たアレックス国王はやや高圧的に貴族たちを抑え、どうにか反乱に発展せずに事態を治めたかに見えた。


 しかし、この時を狙い澄ましたように国軍の一部が反乱を起こした。この反乱に近衛騎士の一部も加わったため王宮への侵入を許し、王族を含む大多数の死傷者を出す事態になった。ただ、アレックス国王はなんとか生き残り、この暗殺未遂事件は失敗に終わった。


 だが、何故これほどの大きな事態になったのか?


 第一の理由としては反乱の首謀者が前王の王弟と宰相の両名だったこと。元々、この二人とアレックス国王の反りは合っていなかった。前王は王としてあまり良い統治が出来ておらず、貴族たちの意見に流されることが度々たびたびあった。そしてこの貴族たちの代弁者が王弟と宰相だった。そのため、アレックス国王は即位当初から肥大化した王弟と宰相の影響力を落とそうとしており、ある意味では反乱が起きること自体は既定路線とも言えた。


 だが、アレックス国王は最初から二人を反乱予備軍として警戒はしており、二人から反乱の兆候を見つけることが出来なかった。この事態を引き起こしたのが第二の理由となる二人の人物、フーロリア王妃とカイゼル補佐官が波乱に加担していたことだ。フーロリア王妃はアレックス国王の正室であり、二人の仲もきわめて良好、カイゼル補佐官もアレックス国王が皇太子時代から重用ちょうようしていた人物であり、二人が裏切るなどアレックス国王は全くの想定外だった。


 この暗殺未遂事件後、失敗に終わった反乱貴族たちは王国北東部に拠点を移し、王弟がマルケド帝国の建国を発表した。王弟はアレックス国王が前王を弑逆した主張して、これを正すためにアレックス国王を討つと宣言した。これに呼応するように国内の4割にも及ぶ有力貴族が加担し、国力に関しては反乱貴族側が上回る事態になった。こうして、マルケド王国は国を二分する内戦に突入することになった。


 アレックス国王は先の国王暗殺未遂事件によって人的・資金的にもかなりのダメージを負ってしまった。また、王宮の多数の文官と武官が反乱側に加担したため、統治にも支障をきたす事態。また資金面では反乱貴族側がかなり有利な状況であり、当初からアレックス国王は反乱貴族側に対して劣勢に立たされていた。


 反乱貴族側も半年もあれば、アレックス国王を討てると見込んでいたが2年経っても一進一退を繰り返していた。この理由としてはアレックス国王に味方したオズワルト元帥の存在が大きかった。


 オズワルト元帥は反乱の当初からアレックス国王に味方した数少ない有力貴族だった。先々代の王の時代から仕えていた重臣で、長く国を守ってきたことからも国民の人気も悪くなかった。王弟も宰相もすでに70歳近かったこの老将を過小評価していたため暗殺未遂事件が失敗したと言われている。このオズワルト元帥が反乱軍に猛攻をなし、時には積極的に殲滅戦を行って、地力で劣っていたマルケド王国を見事に支えた。


 そして、この2年の月日はアレックス国王に味方した。この時間を使って国内体制を盤石なものとして固め、さらに強力な援軍を呼び込むことに成功した。それがアルケリア王国のことだった。


 アルケリア王国はマルケド王国への介入の機会を伺っていた。そもそもマルケド王国はアルケリア王国の初代国王バルパネスが分離した9ヶ国の内の一つであり、アルケリア王国としてはこれ以上9ヶ国の一つが欠ける事態は避けたいという思いがあった。


 しかし、内戦の当初はアレックス国王に対する信頼が揺らいでおり、アルケリア王国は意見をまとめることが出来なかった。ところが2年が経ち、アレックス国王の見事な立て直しと反乱貴族側の不愉快な振る舞いが目立つようになり、アルケリア王国はアレックス国王に援軍を送ることを決定した。


 ただ、アルケリア王国とマルケド王国は遠く離れた場所にあるため多数の軍隊を送ることは不可能だった。そこで近衛騎士や王宮魔法師の中から小数を選抜して送り出した。また、資金や物資おいてもマルケド王国を援助した。


 だが、それ以上に大きな役割を果たしたのがアルケリア王国のラックス公爵の三女シャロンの存在だった。アルケリア王国はシャロンをアレックス国王の妃として送り出した。これはアレックス国王こそ正当な王とアルケリア王国が認めた証でもあり、マルケド王国の国内、反乱貴族側、そして周辺国に大きな衝撃を与えた。


 これで内乱を終結すると誰もが考えたが、横槍が入ってしまった。


 それがパルパディン帝国。アルケリア王国とマルケド王国の間にある国で、建国80年足らずの新興国家だ。パルパディン帝国は建国当初から周辺国を飲み込んで成長してきた国家であり、アルケリア王国とも度々小競り合いを起こしてきた。そのパルパディン帝国が反乱貴族側を支援する動きを見せ始めた。否、正確には反乱貴族側への大規模支援を隠さなくなったと言える。


 パルパディン帝国のこうした動きはこれまでも他国で見られた。反乱側に加担して内戦終結後、属国にしたり、併合したりといった行動は常套手段。その時も反乱貴族側を支援という名目で、その矛先がアルケリア王国にも向くことになった。7年前のガルルーク王国がアルケリア王国に侵攻してきた近年稀にみる大会戦も、パルパディン帝国の支援があった可能性が高い。


 ガルルーク王国とパルパディン帝国は南北で国境を接しており、元々仲の良い隣国ではなかった。しかし、あの大会戦時のガルルーク王国の兵力は隣国に対する備えを軽視していると言わざるを得ない程だった。おそらく両国で密約があったのではないかとアルケリア王国は疑っている。


 実際、当時のアルケリア王国はガルルーク王国よりもパルパディン帝国を警戒しており、その結果が初戦の敗北に繋がったとも言える。こういう状況のためアルケリア王国はマルケド王国への支援が中途半端になり、結果的に内戦の早期終結を困難なものにしてしまった。


 こうして内戦は現在に至る10年の月日を費やしても終結の見えない泥沼の様相を呈している。


 その中で起きてしまったのが一年半ほど前の悲劇、王妃シャロンの暗殺だ。暗殺されたときの状況は正確に伝えられていないが毒殺だったらしい。このことに激怒したラックス公爵が孫娘のアナスタシア王女をマルケド王国から連れ戻した。


 普通では起こりえない対応だが、王妃の暗殺を許してしまったアレックス国王も強い後押しによってラックス公爵の娘を嫁がせたアルケリア王国側も反発することは出来なかった。


 そして今回のアルケリア王国でのアナスタシア王女暗殺未遂事件。マルケド王国の王位継承は長子優先だが珍しいことにこの長子の中には女性も含まれており、マルケド王国の長い歴史の中には幾人か女王が誕生している。10年前の国王暗殺未遂事件によって王族が尽く殺されており、今のところ王位を継承できるのはアナスタシア王女ともう一人の腹違いの弟だけだ。


 今後もアナスタシア王女が反乱貴族側に狙われる可能性は十分にある。


 これはマルケド王国の内戦が終結とは程遠い状況であることを示しているとしか思えない。最近の報告ではオズワルト元帥の体調も芳しくないらしく、アルケリア王国から送り出した騎士団の損耗も激しくなっていると聞く。


 アナスタシア王女暗殺未遂事件を切っ掛けに、アルケリア王国も大きく動くかもしれないと考え、サーチェス団長は憂鬱そうにため息を吐いた。


「だが、俺に出来ることなんて何一つない……」


 報告書を魔法で燃やしながら、その灯りを虚しく見つめて憂鬱になっていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 アナスタシア王女と出会った3日後。


 俺、アリス、ナターシャの三人は近衛騎士団の練兵場に辿り着いた。今日はサラの親友の近衛騎士に会うためのお出掛け。ナターシャが守衛に事情を説明しているようだが、他の騎士たちは俺とアリスを物珍しそうに見ている。子供がくるのが珍しいのだろう。


 そして、俺たちは一人の騎士に案内されて練兵場の中にある広い稽古場へと入っていく。ここでは剣や槍などを使って近衛騎士たちが模擬戦をする場所みたいだ。そして、この場所に来てから面白い事態に遭遇するようになった。


 稽古場の中に入っても、俺たちに対して奇妙なモノを見るような視線を感じるが、時々変な反応をする騎士が出始めた。その騎士たちは持っている槍を落としたり、俺たちから隠れたりと奇妙な行動をとる。この騎士たちの特徴として年齢がボリスと同年代ぐらい、更に全員の視線はアリスの顔を向けられていた。


 どうやらアリスを見て、サラのことを連想しているらしい。


 この騎士たちの視線には畏怖やら怯えを感じる。当然アリスもこの視線に気付いているが、何故そんな視線を浴びせられるか分からないので困惑している。だが俺には分かる、きっとあの騎士たちはサラにこってり搾られていたのだろう。だって、みんなすーごい顔してる。そう考えるとかなり可笑しかった。


 そんな珍道中を繰り広げながら待っていると、一人の女性が俺たち前に現れた。。


「こんな所までわざわざ来て頂いて本当にすまない、ナターシャさん。」

「いいえ、お忙しいようですね、テリーナさん。」

「ちょっと厄介なことが起きましてね。まぁ、それでも大分落ち着いてきたところですよ。ところで、そちらの二人が?」

「はい、お嬢様、お坊ちゃま、ご挨拶を」

「お初にお目にかかります、テリーナさん。私はアリス・ヴァンフォールと申します。」

「同じくクルス・ヴァンフォールと申します。お会いできて光栄です、テリーナさん」

「初めまして、テリーナ・カタルシアです。今日は会えるのを楽しみにしていたよ。」


 俺たちの目の前にいる女性が近衛騎士テリーナ・カタルシア、サラにとって戦友あるいは親友と呼べる人だ。年齢はサラよりも二つ年長と聞いていたが、大分若そうにみえる。サラと同じくらいの長身で、髪も落ち着いた感じの金髪で、鎧からドレスに着替えれば深窓の令嬢といった雰囲気だ。だが、ボリスにもサラにも言われたが見た目と中身は大分違うらしい。


「ナターシャさん、本日はありがとうございます。」

「いいえ、サラ奥様からも“よろしく”と言伝を預かっておりました。」

「サラも妊娠が分かって一安心でしょう、手紙を書いたので後で届けてください。」

「はい、承りました。」


 二人の挨拶から結構気安い関係なんだなと感じた。そして、挨拶が済むとテリーナの興味は一気に俺たちの方に移った。


「二人ともいい顔をしているわね、どうやら意気込みは十分みたいだね」

「はい!」


 アリスが元気よく返事をしているが、俺はそんなことない。


「ちょっと話でもと思ったけど、先にこっちからにしようか。」


 アリスとテリーナさんが木剣を持って、中央の稽古場に向かっていく。そしてその周りを囲むように暇そうな近衛騎士たちが集まった。少なくとも30人はいるだろう。“それでいいのか近衛騎士、働け!!”とも思ったが、“あのサラの娘”というインパクトが勝ったらしい。


「来なさい。」

「はい!」


 その言葉を合図に戦いが始まる。アリスは一足でテリーナさんに詰め寄り、正面から切り掛かる。テリーナは防御できているが僅かに後退する。しかし、アリスが距離を空けさせないように連続で切り掛かる。終始、テリーナさんが押され気味な様子とアリスの予想以上な腕前に観戦している騎士たちから感嘆の声が漏れる。


 だが、テリーナさんには余裕が見られる。あれは防御しながらアリスの技を観察しているんだろう、もちろんアリスにも分かっている。アリスの攻撃は苛烈な連撃と小刻み移動によってテリーナさんを追い込もうとしているが上手くいかない。テリーナさんは要所要所でアリスの斬撃を妙な方向に逸らしている。その防御法によってアリスの身体が意図しない方向に流れ、攻撃を途切れさせている。


 そんな展開がしばらく続いた後、唐突にテリーナさんが反撃に移った。かなり強引に突進してきたので、アリスは剣を防ぐことは出来た。しかし、その突進の力を正面から受けてしまったので、後ろに吹っ飛ばされてしまった。このチャンスを活かしてテリーナさんが攻める……かと思ったら、彼女はニコニコしながらアリスのことを見ている。


「その歳でそれだけ動けるとは大したもんだ。」

「……(はぁーはぁー)」

「サラの鍛え方がいいのか、それとも才能かな?」


 なんかテリーナさんの喋り方とか雰囲気がさっきと全然違うんですけど。なにあれ?


「それじゃ、ご褒美を上げるね。」


 そう言うとテリーナさんの殺気が一気に増した。そして、アリスが一瞬で後ろに吹っ飛ばされて観客の中に突っ込んでいた。とんでもない突きの五連撃だ。さっきまで彼女がいた場所に彼女の右足の跡がくっきりと残っている。そして、テリーナさんは途中で折れてしたまった木剣を興味深そうに見ている。


「手加減したとは言え、あれに反応出来るんだ……。本当にすごいわね。」


 その言葉に反応したのか、気絶したと思っていたアリスがヨロヨロとテリーナの方に歩いてくる。


「ぐっ、……う、うっ。」

「無理しちゃだめよ、ラース、手当をしてあげて。」


 ラースと呼ばれた兵士がアリスに駆け寄って魔道具を使った治療を始める。癒しの中位魔法で、かなり腕も良さそうだ。治療を受けているアリスは腰を下ろして、苦悶の表情が段々と薄れていく


「まさか反撃されるとはねー。あたしの腕も鈍ったかしら?」

「あの“突き”がテリーナさんの得意技だって知っていましたから。」

「なるほど、でも初見で反撃してきたのはすごいわよ、アリスちゃん」


 そう、あの高速の五連撃にアリスは対応していた。1,2発目を弾き、3発目を躱して、4発目の攻撃に合わせて武器攻撃、5発目を躱し切れずに喰らってしまった。ここしばらくのアリスは真面まともな稽古をしていなかったはずだが、間違いなくこれまでの最高の動きをしていた。


 それにしても近衛騎士のレベルはこんなに上がっているのか。この前戦った神殿騎士よりも身体強化の練度はテリーナさんの方が遥かに上。もしテリーナさんが俺を追撃していれば本当にヤバかった。サラが近衛騎士の地力を底上げしたとは聞いていたが予想以上だ。


 俺の思考が別のところに行っているうちに、新たな闖入者が登場する。


「おいこら、何の騒ぎだ!俺も混ぜろーー。」


 大きな声を上げながら騎士たちを掻き分けて一人の騎士が現れる。鍛え拭かれた体つきと粗暴な雰囲気を併せ持つ騎士。


「おっ、テリーナか。何や…て……んだ?」

「あっ、サーチェス団長。」

「……お前、いくら婚期を逃したからってそれを子供に八つ当たりはまずいだろっと、あっぶねーなー。」

「くたばれ。」


 腰を落として息を整えているアリスを見てから、サーチェスという騎士はかなり失礼な事を言って、その返礼としてテリーナは木剣をサーチェスの顔面目掛けて投擲した。相当な魔力が込められていたので、サーチェスの小手で木剣を上に飛ばした際になかなかいい音がした。そして、テリーナからは殺気がダダ漏れ。


「本当に物騒な女だな、で何してんだ?」

「はぁー、ちょっとサラの子供に稽古つけていたところですよ。」

「あーん、サラ、……サラの子供か!!おーー、確かに似てるな。何でこんな所にいるんだ?」

「私が招待したからです。」

「お前、そんな面白そうなこと内緒にするなよ。お嬢ちゃん、名前は?」


 二人のやり取りに頭がついていかなかったのか、アリスは大分狼狽えながら答えた。


「ア、アリス、アリス・ヴァンフォールと言います。」

「そうか、俺はサーチェス・スタイン。一応、第2騎士団の団長で、サラの元上司だ。よろしくな。」

「は、はい。よろしくお願いします。」


 アリスの初々しい反応がサーチェスには殊更気に入ったようで、顎髭あごひげを撫でながらアリスに近づいていく。が


「おっ、サラと違って可愛いな。」

「サラは始めから美人で、可愛い子でした。汚い顔をアリスちゃんに近づけないでください。」


 テリーナはアリスを抱えてからサーチェスとの距離を離すように動く。


「なんだよ、ケチケチするなよ。俺も混ぜてくれよ。」

「稽古をしてあげるなら文句は言いませんが、団長が余計なことを言った所為でサラが近衛騎士団を壊滅させる、なんて事態にならないように気をつけてください。」

「……怖いこと言うなよ。」


とサーチェス団長が心底嫌そうな顔していた。その後はサーチェス団長を含めて幾人かの近衛騎士にアリスが稽古をつけてもらって、アリスにとっては充実した一日を過ごせたことだろう。俺はその乱痴気騒ぎをナターシャと一緒に眺めて、帰る直前までサラの息子だとばれなかった。




 こうして一ヵ月間に渡る王都での生活が終わることになった。



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