第七話 マーリンの予言
当時、王にはとある部下がいた。Malgantiusと呼ばれ、彼は優れた賢さを抱えていた。
彼は、この部下を呼び寄せた。そして、すべての事柄を伝えた。彼にならば彼女の言ったようなことが起こり得るかどうかを判断できるからだ。
部下は答えた。「書物によれば、魂の秩序は、月と地球の間を巡るそうです。もしも貴方がこれらの魂の本質を求め学ぼうとするならば、彼らの本質は人間の一部であり、そして同時に、より高位な存在の一部でもあります。これらの悪魔はインキュビ(夢魔)と呼ばれています。彼の家や領域は大気のなかにありますが、しかしこの温かい世界は彼らのたまり場なのです。それは、人間にとって大きな邪悪を撒き散らす力を持ってはいません。彼らに出来ることは、悪戯や悩ませるくらいの小さな悪事だけなのです。しかし、彼らの本質は驚くほどペテンに長けているため、彼らはどのように人間を装うべきか、よく知っているのです。多くの娘は彼らの娯楽になり、この外観に騙されるのです。Merlinがその何者かに産み落とされたのは、もっともなことでしょう。そして、恐らく悪魔の生まれです」
「王よ」
突然、Merlinは叫んだ。「貴方は私をここに連れてきました。貴方がなにをしようとしているのか、そして何故私を追わせたのかを聞かせてください」
「Merlinよ」王は答えた。「お前は知るべきだ。耳を傾けよ。すべてを知るために。私は高い塔の建造をはじめた。漆喰を集め、石工は石を積み上げた。しかし、建設者が昼に仕上げた仕事は、夜の間に地面に崩れ落ち、飲み込まれてしまうのだ。私にはわからぬ。もしもお前が聞いたならば、これについて話すのだ。昼には働くための時間は多くはなく、夜には破壊の時間がある。そして私の多くの物資は、この苦難によって台無しになった。我が相談役は言った。私の塔は決して高く建つことはないであろうと。石と石灰が、そなたの血で和らげられない限り――父親を持たぬ男の血だ」
「主なる神よ」Merlinは叫んだ。「私の血が塔を結びつけるなどと、信じないでください。私は、そのような無駄口を叩いた連中は嘘つきだと考えます。私の血について、もっともらしい予言をした、嘘つきの予言者たちを私の前に連れてきてください。彼らが嘘つきであることを、私が証明してみせましょう」
王は彼の魔術師たちを呼びにやらせ、そして、Merlinの前に並ばせた。
そうした後、Merlinは彼らの一人一人をじっと見た。「先生、」彼は言った。「そして、偉大なる魔術師たちよ。今すぐ我々に言うのだ。私は貴方たちに、王の仕事がなぜ失敗し塔が建たないのか、理由を言うのだ。何故塔が地面に沈んでしまうのか、私の血が塔を持ちこたえさせると、どのような占いで断言できたのか、もしも私に示すことができないというのならば! 塔の基礎にどんな問題があって壁が地面に崩れ落ちてしまうのか、今すぐ明らかにするのだ。そして、貴方たちがそれを保証したとき、この災難をどのように解決できるのかを我々に明確に示すのだ。誰の仕事で密かに家が落ちるのか、貴方が宣言するつもりがないならば、どうして私の血が速やかに石を結びつけると信じられようか? さあ、問題点を王に指摘し、解決したと大声で叫んで見せよ」
しかし、魔術師たちは沈黙を保った。そして、Merlinに言葉を返す者はいなかった。
Merlinは彼らが当惑するのを見て、王に話しかけ、言った。「閣下、私に耳を貸してください。貴方の塔の基礎の下に、大きくて深い水たまりがあります。そして、この水が理由となって貴方の建築は地面に崩れ落ちてしまうのです。実に簡単にそれを保証できます。貴方の部下に調査を命じてください。貴方はどうして塔が飲み込まれるのかを見るでしょう。そして、真実は証明されるのです」
王は地面を掘り返すよう命じた。そして、Merlinが言ったとおりに水たまりが発見された。
「先生、そして偉大なる魔術師たちよ」Merlinは言った。「今一度、聞くのだ。貴方たちは漆喰に私の血を混ぜあわせようとした。この池になにが隠されているかを言うのだ」
しかし、すべての魔術師は沈黙を保ち、一言も喋らなかった。当然ながら、良きにつけ悪しきにつけ、彼らは答える言葉を持たなかった。
Merlinは再び王のほうへと振り返った。
彼は王の下僕を手招きして、言った。「水たまりから水を抜くために、すぐに溝を掘りなさい。水底で二つの窪んだ石と、石の中で眠る二匹のドラゴンが見つかるでしょう。これらのドラゴンのうち一匹は白く、その相方は血のように赤いでしょう」
この話に王は大いに驚愕した。そして、Merlinが命じたように溝が掘られた。
水が野原に運ばれ水位が下がったとき、彼らの足元で二匹のドラゴンが彼らに見つかった。そして、それぞれは相手より誇り高いと考えていた。
彼らは戦いを熱望し、そして彼らは互いにひどく争っていた。
なるほど、彼らの口は泡にまみれ、そして顎は炎を吹き上げていた。
王は水たまりの堤に腰掛けた。
彼は、これらのドラゴンたちが出会ったことをどのように解釈できるのかを示すよう、Merlinに猛烈に願った。
Merlinは、これらの事柄がなにを示すのか、貴方がしばしば聞いたように、王に話した。
これらのドラゴンは王の到来を予言している。それは、今はまだ王国にはおらず、彼らは力を蓄えている。
私はこれ以上は言わない。なぜなら、私はMerlinの予言の解釈を恐れているからだ。私はこれらの解釈に自身を持つことができない。
出来事の結果が私を嘘で塗り固めさせるから、私の唇をおしゃべりから遠ざけたほうが良いだろう。
王はMerlinを大いに賞賛し、そして彼こそ真の予言者であると尊敬した。
彼は自分がいつ、どんな意味をもって死ぬのかを若者に尋ねた。
なぜなら、この王は驚くほど死を恐れていたからだ。
「ご注意を」Merlinは言った。「Constantineの息子たちに注意しなさい。彼らによって、貴方は死を味わうことになります。すでに彼らは気高い勇気とともにアルモリカを出発しており、今は海の上にいます。明日、14隻のガレー船による艦隊がやってくることで、それは証明されるでしょう。貴方は彼らに邪悪な行いをしました。彼らも貴方に邪悪な行いをすることで、彼らの恨みを晴らそうとしています。呪われし日、貴方は彼らの兄を裏切り、死に至らしめました。呪われし日、貴方は王冠を戴きました。呪われし日、貴方は自ら招いた損失に対し、サクソン人の異教徒に助けを請いました。今や貴方は双方から矢を射られる人物です。そして、貴方が盾を構えるべきは右側なのか、それとも左側なのか、私にはわかりません。一方の道では、サクソン人が貴方に損害をもたらすために、軍隊を進めています。もう一方からは、正当な後継者がやってきます。貴方の手から王国を、頭から王冠をむしり取るために。そして、彼らの兄弟の血の対価を支払わせるために。もしも、貴方がまだ逃げようとするのなら、急ぎなさい。兄弟は素早く接近しつつあります。彼らのうち、Aureliusが最初に王になるでしょう。しかし、最初に毒によって死ぬでしょう。彼の兄弟Uther Pendragonが王座につきます。彼は穏便に王国を手に入れます。しかし彼もまた、彼の時間を迎える前に、彼の友人の醸造酒が原因で病気になり、そして死にます。そして彼の息子、コーンウォールのArthur。戦いにおいては荒れ狂う猪のごとく、汚い裏切り者を完全に滅ぼします。そして、そなたの親族をこの土地から滅亡させるでしょう。まことに勇敢な騎士にして、礼儀正しいもの。彼はそうなります。そして、すべての彼の敵は彼の足元にひれ伏すことでしょう」
Merlinは話し終わるとVortigernの元を離れ、己の道へと去っていった。
翌日、もはやとどまることなく、兄弟の海軍はトトネスに到着した。そこには、武具に身を固めた騎士による、巨大な軍勢があった。
ブリテン人は一致団結し、そして軍勢に加わった。
彼らは避難していた隠れ家から出てきたのだ。そのとき、Hengistは山と谷で彼らを攻撃していた。その後、彼らは重い罪を犯して領主を殺し、彼らの城を破壊した。
大議会を開いたブリテン人は、Aureliusを彼らの王と定め、敬意を示した。
この知らせはウェールズのVortigernのもとに届き、彼は家の防備を固める準備をした。
彼はジェナース(注)と呼ばれる強靭な城へと避難した。そこで戦いに備え、最も勇敢な部下を配置した。
この塔は、その地方の人にワイ川と呼ばれる美しい水流の堤にあった。
一部の人々の証言によれば、これは、ハーギン地方のドロアック山の上にそびえていたという。
Vortigernは砦に武具と器械を、食料と隊長とともに、大量に備蓄した。
きっと彼の敵から守ってくれると信じて、彼は塔を思いつく限りのすべてで飾り立てた。
土地の領主は兄弟に加わり、Vortigern王の捜索を行った。そして、ついに彼らは彼がいる城の前に整列した。
彼らは器械によって石を投げ、そしてそれは門の周辺を襲った。それを受けた彼らは酷く苦しめられ、そのため、彼らは彼を計り知れぬほど憎んだ。
彼が彼らの兄Constantを、そしてその前に父親Constantineを謀略と裏切りの末に殺し、すべての人が真実を知ったときから、兄弟たちにはVortigernを激しく憎む多くの理由があった。
グロスター伯EldofはAureliusに敬意を示し、彼の軍隊に加わった。
彼はウェールズの土地について、よく知っていた。
「Eldof」Aureliusは言った。「我が父に大切にされた恩と信頼を、忘れてはいまいな? そして、我ら兄弟がそなたに与えた親愛を覚えているであろうことは、言うまでもあるまい! これらの双方ともが、かつての日々、愛と尊敬とともに、喜んでそなたに名誉を与えた。彼らはこの暴君によって、汚い方法で殺された。誓いを交わした詐欺師によって。ナイフを持った親玉によって。生き延びた我々は、同じ轍を踏んで死なないよう、動かねばならない。死んでいった者に思いを馳せよ。そして、元凶であるVortigernに激しく復讐するのだ」
(注:ヘレフォード周辺にある)