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第五話 ボルティマー/アンブレスベリーの虐殺/サクス

 ブリテン人は集結し、ロンドンに向かった。そして、王の長男であるところのVortimerを君主として選んだ。

 王は妻に夢中で、彼女の親族に忠実だった。そして、異教徒を見捨てなかった。

 Vortimerはサクソン人に立ち向かった。そして、城壁に囲まれた街から彼らを追い出し、彼らを追い詰め、苦しめた。

 彼は巧みな指揮官だった。そして、戦いは明らかにVortimerとブリテン人よりも彼の父とサクソン人にとって痛手だった。

 軍隊は4回集まった。そして、Vortimerは4回敵を打ち倒した。

 最初の戦いは、ダレント川の堤の上で行われた。

 2回目、軍隊はアイルズフォード付近の浅瀬の上で戦った。

 この地にて、王子Vortigerとサクソン人のHorsaは、肉体と肉体で激しく戦い、欲望のままにお互いを殺した。

 他の戦いは、ケント海岸に布陣された。

 水上の戦いだったため、この3度目の戦いは激しかった。

 欲望に目の眩んだサクソン人は、ブリテン人の前からハンバーを越えてケントにまで撤退した。

 異教徒はサネット島と呼ばれている島のガレー船に逃げ込んだ。

 ブリテン人はこの要塞で彼らを攻撃した。そして一日中、船と桟橋から、弓と弩の矢で悩ませた。

 彼らは大声で喜んだ。なぜなら、異教徒たちは角に追い詰められ、剣で殺されなかったものは餓死を免れなかったからだ。

 そのため、ブリテン人はサネット島で敵を追い込んだとき、声を張り上げて叫んだ。

 サクソン人が、より悪いことが振りかかると確信したとき、生き残った彼らは王国から出て行った。彼らはVortigernに息子Vortimerへの大使を請うた。この土地から安全に出ていけるように、そして彼らに危害を加えないように。

 Vortigernは彼の仲間の内におり、この仲間から抜ける知恵を持っていなかった。サクソン人が必要とする休戦を結ぶため、彼は息子のところへと向かった。

 彼がこの取り引きをしている間に、サクソン人はガレー船に乗った。そして、帆を上げ、オールを取り、出来る限り速く海へと出て行った。

 逃げる彼らの急ぎぶりは、ブリテン人の元に彼らの妻と子供を置いていくほどで、とてつもない恐怖とともに彼らの故郷へと戻っていった。

 サクソン人が王国を放棄し、ブリテン人が平和を感じたとき、Vortimerはサクソン人に台無しにされた土地を、すべての男に再び与えた。

 Hengistとと彼の異教のために、人々が使わなくなっていた小さな教会が新たに建てられ、神の法が布告された。St.Germanusがブリテンにやってきた。ローマの伝道者St.Romanusによって送られたのだ。

 彼とともに、トロワのSt.Louisがやってきた。

 二人の立派な司教、オセールのGermanusとトロワのLouisは、君主への道を歩むため、海をこえてきたのだ。

 彼らによって十戒が再交付され、そして人々は信仰を取り戻した。

 彼らは沢山の男たちに、救済と多くの奇跡と、多くの美徳をもたらした。神は、多くの土地は彼らの命にとって甘美であることを、彼らの心の中に示された。

 神の法が元に戻り、ブリテンがキリスト教徒の国となった今こそ、裏切りと妬みによってなされた悪行に耳を傾けるのだ。

 邪悪な継母Rowenaは、彼女の夫の息子であるVortimerに毒を盛った。Hengistが王国を追われたときから、彼女は彼に憎悪を抱いていたからだ。

 彼が死の運命を悟り、すべての医者がさじを投げたとき、彼はすべての貴族を招集した。そして彼が集めた多くの財宝を彼らに届けた。

 彼が友人に願ったことを、よく聞くのだ。

「騎士よ」彼は言った。「貴方の戦士のために、多くの報酬を受け取るのだ。そして、それを隊長に与えることを渋ってはならない。もうひとつ。サクソン人に対向するために、土地を維持するのだ。私のしたことが無駄にならぬように、そして、生き残ったものどもに復讐して、彼らに恐怖を与えるために。私の屍を運んで、海岸に埋めよ。私の上にとても大きく、朽ちることのない墓を作るのだ。海を航海するすべてのものが、遠くからでも目にすることが出来るように。私が生きていようが死んでいようが、埋葬されている海岸には、彼らは近づこうとはしないだろう」

 このように話し、彼の道を終え、王は穏やかに死んだ。

 彼の屍はロンドンに運ばれた。そして彼はロンドンで横たわり、眠りについた。

 貴族たちは、彼が遺言で言っていたようには、海岸に墓を作らなかった。


 Vortimerの死後、数日前までそうであったように、ブリテン人はVortigernを王にした。

 妻の懇願により、彼は義理の父Hengistに伝令を送った。

 彼は彼が王国に戻るよう願った。ただし、ブリテン人が気に留めないよう、小さな一団のみを引き連れて。王の息子Vortimerが死んで以来、彼らは軍隊を必要としていなかったのだ。

 Hengistは喜んで船に乗り込んだ。しかし、彼は鎧に身を包んだ30万人の男を運んだ。

 英国人の脅威に対向するために、以前と同じことにならぬよう、彼は準備をした。

 Hengistが強力な軍勢を王国に引き入れたことを聞いた国王は、心底震え上がり、言葉を失った。

 ブリテン人は大きな怒りをもって集結し、戦いに参加し、異教徒を王国から追い出すことを約束し合った。

 Hengistはずる賢く、そして悪の心を持っていた。

 彼は王に嘘の伝言を送り、彼らが友人同士で語り合えるよう、休戦と愛の日を設けるように願った。

 平和――永遠に続く平和――はすべての望みよりも優先され、彼は平和を愛し、そして彼は涙のうちに彼女を探した。

 戦争ほど彼の望みより遠いものはなかった。そして彼は、武器に頼って残るよりも、むしろ王国から追放されることを望んだ。

 踏み留まり、余所者を彼らの元いた場所へ追い返すことを選んだのは、ブリテン人だった。

 ブリテン人は愛の日を設け、そして異教徒と他のひとつの約定を交わした。しかし、嘘つきの誓約を誰が信じるであろうか? 会合をせねばならぬ時刻が定められた。

 王はHengistに、ほんのわずかな仲間しか連れてきてはいけないと伝令を送った。Hengistは喜んでそれを約束した。

 更に、男たちが言葉から暴力へと移ることを恐れ、会合の場に武器を持ち込んではならないと命じた。

 二つの集団は、ソールズベリー大平原のアンブレスベリー修道院付近で相対した。

 5月1日のことだった。

 Hengistは彼の同胞に、各々服の下に鋭い両刃のナイフを忍ばせておくよう、密かに警告した。

 彼は彼らに会合の席に座り、耳を傾けるように命じた。しかし、彼が「Nimad covre seax」(「ナイフを抜け」という意味である。ブリテン人はこれを理解できなかった)と叫んだら、彼らはダガーを取り、それぞれ隣人を亡き者にするのだ。

 今、会合ははじまった。そして、裸に近いブリテン人と不誠実な異教徒の男たちは入り乱れた。Hengistは大声で叫んだ。「Nimad covre seax!」

 彼の言葉を聞いたサクソン人は、ナイフを服の下から引き抜いた。そして、彼らは隣りに座っていた男たちを殺害した。

 Hengistは、王のすぐ近くに座っていた。

 彼は素早くマントに王を包み込んだ。この殺人が彼を素通りしていくように。

 しかし、ナイフを持ったものたちは、服とマントを貫通して、胸とはらわたを貫いた。王国で最も勇敢で裕福な領主が460人集まっている場所で、王が背か腹を上にして横たわるまで。

 彼らは石ころの他に身を守るものを持っていなかったが、それでも何人かは勝ち残り、生き延びて脱出した。


 グロスター伯のEldofは、巨大な棍棒が横たわっているのを見て右手に持った。しかし、誰が会合の場にそれを持ち込んだのか、気にするものはほとんどいなかった。

 彼は、この強力な棍棒をふるい勇敢に身を守った。彼が優に60人と10人の異教徒を殺すまで、殴り、打ち倒した。

 彼は強い闘士だった。そして裕福だった。

 彼は投げつけられるナイフによって身体を傷付けられて逃げたのではなかった。彼は押し通り、その身に傷ひとつ負うことなく道を切り開いたのだ。

 彼が馬に乗り、実に力強く素早く、そして速やかにグロスターへと駆り、すぐに街と食料を溜め込んだ塔へと立てこもり、彼は勝ち残った。

 一方、Vortigernは――。サクソン人は彼と貴族たちを倒した。しかしHengistは両者の間に立ちふさががり、叫んだ。「王を傷つけるな。なんの益もないが、しかし私は彼の手から多くの利益を得た。そして彼は私のために尽力したのだ。私は、娘の夫がこのような死に様を晒すことにどれほど苦しむだろうか! むしろ我々は人質として彼を囚えよう。そして、彼の街や城塞を解放し、手に入れるのだ。彼の命と引き換えに」

 この言葉によって、彼らは王を殺さなかった。しかし、速やかに鉄の鎖で拘束した。彼らは王が彼らの言うとおりに誓うまでの長い間、王を拘束した。

 身代金として、そして囚われの身から開放されるために、Vortigernはサセックスおよびエセックスを授けた。そしてHengistにはかつて与えたケントと伯爵の地位の他に、ミドルセックスを与えた。[1]

 この裏切りを忘れぬため、以来英語ではナイフをseaxを呼んだ。しかし、世界は動くと名前は変化するものだ。そして人々はかつての意味を思い出せなくなるのだ。

 当初、この単語は裏切りを非難するために使われた。

 seaxの逸話が忘れ去られたあと、人々は彼らの祖先が受けた屈辱を特に思い出すこともなく、単にナイフの呼称として語るようになった。


[1]話の構成上、小説版ではエピソードを前後させています。

 終盤のVortigernに関する一連の記述については、小説版では第六話にて収録されます。

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