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第三十一話 アヴァロン

 Arthurについては、ブルゴーニュで冬をすべて越して滞在し、土地に平和と安泰を与えた。

 夏が山を超えてやってきたとき、彼は決心した。そして、ローマへ行くことを。

 彼の望みはMordredによって妨げられた。その恥と下品さを、貴方はすでに聞いているだろう。

 このMordredは国王の親族だった。まさしく彼の姉の息子だった。そして彼の責任においてブリテンを持っていた。

 Arthurは彼の管理のもとに王国を与えていた。そして、彼に維持させることを約束していた。

 Mordredは彼の目に良く移ったものはどんなことでもした。そして、彼が使うために土地を掌握しようとした。

 彼はArthurの部下から名誉と忠誠を奪い、すべての城に人質を要求した。

 この大罪にも満足することなく、彼はさらに悪い凶事を引き起こした。

 キリスト教の法に背いて、彼は国王の妻を彼自身のものとしたのだ。

 彼の叔父の王妃である彼の君主の貴婦人を、彼は妻として娶り、そして彼女を彼の配偶者に仕立てたのだ。


 これらの頼りはArthurのもとへと運ばれた。

 彼は、Mordredが彼に向けた誓約を遵守することもなく、また王妃をも裏切り、彼の妻を盗み、そして彼に対し適切で無い奉仕をしていることを確信した。

 国王はHoelに軍隊の半分を与え、ブルゴーニュとフランスを彼の手に委ねた。

 彼は、平和のうちに彼が再び来るまで、土地を敵から閉鎖して維持するように彼に願った。

 彼自身については、ブリテンに戻るつもりだった。王国の忠誠を取り戻すため、そして、悪意の名誉をもって彼の妻に奉仕したMordredに対し、彼自身の復讐を果たすため。

 どんな犠牲を払ってでも、ブリテンは取り戻されなければならない。なぜなら、それは失われ、すべての安息はあっという間に餌食となったからだ。

 彼の所有する王国が台無しにされるよりも、ローマ征服の時期を延期するほうが良い。

 短い間に彼は再び来るであろう、そしてそれからローマに向かうであろう。

 これらの言葉とともにArthurはヴィッサンに向かい、彼の征服から彼に背を向けたMordredの不誠実に対し苦言を言った。海を渡る準備ができている軍艦は、ヴィッサンに停泊していたからである。


 MordredはArthurの決心を知った。

 彼がやってきても彼は気にかけなかった。なぜなら、彼の心に平穏は無かったからだ。

 彼はサクソンのCheldricに手紙を送り、彼の援助のために航海するよう願った。

 サクソン人は、あらゆる備蓄を備え、そして戦士をいっぱいに詰め込んだ700隻のガレー船とともにやってきた。

 Mordredは誓約を誓った。Cheldricがそのすべての力をもって彼を助けたならば、彼はハンバー川を越えたところからスコットランドの辺境までの土地を与えると。他にも、王がRowenaと結婚した際にVortigernの贈り物としてHengistのものとなったケント地方も。

 MordredとCheldricはじつに立派な仲間を一箇所に集めた。

 サクソン人の異教徒とキリスト教徒を数えたところ、鎖帷子の上着に身を包んだ騎手は6万人集まっていた。

 Mordredは冷静な心とともに彼の軍隊に番号を振った。

 彼は彼が、いずこかの港からやってくるArthurを追い払えるほど強いと思っていた。

 彼が彼の損失を決して投げ出さずにやってくるであろうとも。

 彼のために懺悔できる場所はなかった。そう、彼の罪は平和を差し出すことが冗談以外にならないほど険悪だった。

 Arthurは彼の部下の武具を確かめた。

 彼は、数えきれないほどの群衆の彼らを船に乗せ、そしてロムニーへと向かった。そこで彼は錨を下ろそうとした。

 Mordredと彼の所有する部下、そして彼の戦いのために誓って海を越えてやってきた人々が、彼に向かって急いだとき、Arthurと彼の人々はガレー船からほとんど出てきていなかった。

 陸にいるこれらが彼らを水中深くに押し出そうと戦っている間、船の中の男たちは彼らを岸へあげようと努力していた。

 一方から他方へと矢は飛び槍は投げられ、配置された彼らの心臓と腸と胸を貫通した。

 水夫たちは挫傷した船を動かすために力を込め、彼ら自身を傷めつけた。

 彼らは彼ら自身を守ることも出来ず、陸に上がろうと苦戦していたものは殺されたため、船から上陸することも出来なかった。

 しばしば彼らはよろけては転倒し、大声で叫んだ。そして彼らの怒りの中で、彼らは岸に上がるのを妨害したものたちを裏切り者と罵った。

 船が港で空っぽになる前に、Arthurは驚くべき損失を被った。

 数多くの隊長が彼の頭でその価値を支払った。

 そこで、彼の甥であるGawainもまた死に、そしてArthurは驚くほどの悲しみを受けた。なぜなら、その騎士は彼の心において他の誰よりも最も貴重だったからだ。

 力強い君主であり、必要に応じてとても有能だったAguiselはGawainの横で殺された。

 数多くの他のものたちも同様に殺された。彼らのために、礼儀正しい王子であるArthurは、痛い苦しみを感じた。

 Mordredが砂の上で水夫を阻止する限り、彼は彼らに沢山の損害をもたらした。

 しかし、Arthurの隊長たちが船から勝ち上がり、そして開けた土地で彼らを整列させたとき、Mordredの家族は彼らを前に持ちこたえられそうになかった。

 Mordredと彼の部下は裕福に暮らし、そして静かに寝そべってきた。

 彼らは平和によって弱っていた。

 彼らはどのように戦闘を指揮すればよいか分からなかった。避難所を探すことも、武器を振り回すこともなかった。この事実は、戦いに抱かれ育まれたArthurの軍隊にも知れ渡った。

 Arthurと彼の部下は彼らの只中で荒らしまわり、剣によって打っては殺した。

 彼らは彼らを殺し、多数によって、何百人によって、沢山を殺し、そして更に沢山の捕虜をとらえた。

 雑踏は巨大だったため、虐殺は非常に甚大だった。

 日光が衰え、そして夜が戦場を閉ざしたとき、Arthurは虐殺を中止した。そして、休んでいた戦争の猟犬を呼んだ。

 Mordredの軍隊は逃亡を続けていた。

 彼らには彼らがどこへ行けばいいか分からず、彼らを導くべき場所もなかった。そして、彼らの隣人に留意するものもいなかった。

 それぞれが自分自身のことを考えて、そして自分自身の医者だった。

 Mordredは救援を探すことを望んで、夜通しロンドンまで逃げた。

 彼は芦の上にいることを知った。なぜなら、市民は彼らが門の中に入ることを許さないだろうから。

 彼は街に背を向け、そしてテムズ川の清流を通過し、留まることなくウィンチェスターへと向かった。

 Mordredはウィンチェスターに避難を求め、そして少しの間留まり、彼の傍に彼の友人たちを招集した。

 彼は人質と抵当を市民から取った。彼らの中で平和と約束は守られるべきであり、そして彼らは権利を維持しようとした。

 Arthurは、彼がMordredに対して抱いた憎悪のために、休むことなく探した。

 巨大な悲しみはAguiselとGawainのためであり、彼の持っていたその友人たちは失われたのだ。

 彼は甥のことで激しく悲しみ、そして相応しい埋葬を捧げた。けれども、それがどの場所なのか、私に言うことは出来ない。

 年代記は沈黙している。そして、私が思うに、Gawainが横たわっている場所がどこなのか、彼を剣で殺した男の名前が誰なのか、知っているものはいないのだ。[1]

 Arthurがこれらの相応しい儀式を執り行っているとき、彼は彼自身を激怒で打ちのめしており、どんな手段でMordredを破壊できるか、そのことしか考えなかった。

 [1]伝説によれば、Gawainの墓はペンブルックシャーにあると言われている。


 彼はウインチェスターまで裏切り者の後を追い、彼が通ったすべての地域で彼の家臣に呼びかけた。

 Arthurは街の近くにやってきて、そして彼の軍隊は壁の外に陣を張った。

 Mordredは素早く彼を包囲した軍隊を見つめた。

 戦いは避けられず、彼は戦うであろう。なぜなら、軍隊は彼が捕えられるまで腰を上げないだろうから。

 彼は、Arthurが彼を掴んだ途端に、彼が死人以外の何者でもなくなることを良く知っていた。

 Mordredは彼の隊長を一箇所に集め、そして急ぎ武具に身を包むように命じた。

 彼は仲間の中で彼らを整列させ、そして追跡者に戦いを仕掛けるため、門を通って出て行った。

 彼はすぐに、軍隊が彼に会いに走ってくるのを防ぐ障壁から出てきた。

 争いは非常に重大だった。数多くが打たれ、そして数多くが投げ出された。

 それは、Mordredの悪しき冒険を証明しただけだった。なぜなら、彼の部下は彼らの敵に対して踏みとどまることが出来なかったからだ。

 Mordredは安全の望みはたったひとつのみだと確信した。なぜなら、彼の罪は許されるものを越え、そして多くのものが国王を恐れていたからだ。

 彼は内密に身内と親しい友人、そしてArthurに最も深い憎悪を抱いているこれらのものを集めた。

 これらとともに彼は、持ちこたえることが出来る残りのものたちを置いて、脇道をサザンプトンへと逃げた。

 港で彼は水先案内人と水夫を探した。

 そこで彼は、贈り物と美しい約束によって、彼の叔父から逃げられるかも知れない沖合へとまっすぐ出るよう説得した。

 順風とともに水夫は彼をコーンウォールへと運んだ。

 Mordredは非常に彼の命を危惧しており、そして立ち去れたことをとても喜んだ。


 Arthurは厳重にウィンチェスターを包囲した。

 ついに彼は街と市民を手にした。

 宮廷で最も愛された貴族であるUrian、その息子のYvainに、Arthurはスコットランドを遺産として与えた。

 Yvainはこの贈り物に敬意を払った。

 元々はAguiselが領土として獲得した王国だった。しかし、彼は死に、息子も娘も去ってしまい、Yvainの前には現れなかった。

 このYvainは実に信心深い騎士で、立派で、そして極端に勇敢だった。

 非常に甘美なのは、彼の受けた数々の賞賛であった。


 Arthurの妻である王妃は、Mordredがイングランドで行った戦争について聞き、知った。

 同様に、彼女はMordredが国王の前から逃げ出したことを知った。なぜなら、彼は彼を前に持ちこたえられず、そして、あえて戦場に踏みとどまることもしないだろうから。

 王妃は戸惑いと悲しみの中で、ヨークに逗留していた。

 彼女は心に彼女の罪を呼び起こした。そして、Mordredのために彼女の名は不愉快なものとなったことを思い出した。

 彼女は主人に恥をかかせ、そして彼女は愛を彼女の夫の姉の息子へと置いてしまったのだ。

 さらに、彼女は既に結婚していたというのに、彼女は正義を無視してMordredと結婚していた。そして、彼女は地上と地獄で非難を受けねばならない。

 Arthurの王妃の目から見て、これは生きているよりも死んだほうがより良かった。

 極端に重いのは、思案にふける女性だった。

 王妃はカーリアンに逃げた。

 そこで彼女は修道女のための女子修道院に入り、そしてベールを手に取った。

 彼女のすべての生活の日々は、この修道院に隠された。

 この美しい女声は二度と見られることも聞かれることもなかった。彼女は二度と男たちによって知られることも探し出されることもなかった。

 彼女は、彼女の罪による激しい悲しみと、そして、彼女が引き起こした罪のために、そのようにした。


 Mordredは彼の死守によってコーンウォールを保っていたが、しかし、残った王国は忠誠を取り戻していた。

 彼は海と陸を兵士たちとともに彼の旗のために歩きまわった。

 サクソン人とデンマーク人、アイルランドの人々とノルウェー人、サラセン人と異教徒、Arthurと彼の束縛を憎むすべてのものそれぞれに、Mordredは援助を懇願した。

 彼は彼らが意図するであろうすべてを約束し、そして彼に可能なすべてを与えた。あたかも厳しい窮地に追いやられた男のように。

 Mordredに復讐を果たせなかったために、Arthurは激怒とともに胸を痛めていた。

 裏切り者が彼の土地に留まっている限り、彼は平穏もなく、休みもしなかった。

 ArthurはコーンウォールにおけるMordredの力を知った。そしてこれは彼にとって嘆かわしいことだった。

 彼の斥候がもたらした頼りによれば、Mordredは罠を広げ、そしてそこでは国王は次第に厳しくなっていくとのことだった。

 その後Arthurは彼の部下をハンバー側沿岸に送った。

 Arthurは彼自身と力強い軍隊を集めた。それは砂粒のような群衆だった。

 これとともに、彼はMordredをどこで見つけられるかを知るために探した。

 彼は殺して、そして裏切り者にと彼の偽誓にも同様に終わらせようとしていた。

 Mordredは戦いから尻込みすることを望んではいなかった。

 彼はすべてを投じて賭けることを望んだ。そう、投げることは死を意味するが――むしろ土地から土地へと悩んで回るよりは。

 戦いはカメル川の上でコーンウォールの入り口を見下ろして布陣された。

 苦い憎悪は二つの軍隊を一箇所に引き寄せた。彼らがお互いに痛い損害を与えようと争うように。

 彼らの悪意は驚くほど巨大だった。そして、殺人は極端にひどかった。

 私には誰にとってより良い舞台であったかは言えない。

 私は、この日、誰が負けたのかも、誰が勝ったのかも知らない。

 打ち倒したものも、打ち倒されたものも、誰一人として名前を知ることは出来ない。

 すべては忘れ去られ、勝者は彼と一緒に死んだ。

 数えきれない人々がそれぞれの側で殺された。戦場は死体がばら撒かれ、そして死んだ男たちの血で真っ赤に染まった。

 Arthurが数多くの遠くの土地から集め養った勇敢で美しい若者たちが、ここで死んだ。

 世界の全てで賞賛を広められた円卓の騎士も、ここで同様に。

 ここで、雑踏の中でMordredもまた殺された。彼の人々による巨大な部隊とともに。そして、彼自身と同じ日、Arthurの軍隊の華も破壊された。最良にして最も屈強な男だった。

 年代記が語る真実のように、Arthur自身はその身体に致命傷を負った。

 彼は彼の痛みのために、アヴァロンを探し求め、彼をそこに運ばせた。

 彼はまだアヴァロンにいて、ブリテン人は彼を待っているのだ。なぜなら、彼らが言い、そして見なすように、彼は蘇り、彼の向かったいずこから帰ってくるだろうから。

 この本の著者であるWace師には、彼の終焉の題材に、予言者Merlinが語った以上のことを、これ以上付け加えることは出来ない。

 MerlinがArthurについて語ったところによれば――私が正しく解釈していれば――彼の終焉は曖昧さによって隠されるべきだという。

 かの予言者は本当にそう言ったのだ。

 人々は今でも疑っていて、そして――私がそう納得させられたように――永遠に疑い続けるであろう。彼が生きているのか、死んでいるのかについて。

 Arthurは彼の望みの中でアヴァロンに運ばれるべきだと命じた。それは降誕より642年目のことであった。

 最も痛い悲しみは、彼が子供を持たぬ男であったことである。

 Cadorの息子にしてコーンウォール伯、そして彼に近い親族であるConstantineに、Arthurは王国を委ね、国王が彼の所有地に戻ってくるまでの間、これを維持するようにと彼に命じた。

 伯爵はこの土地を維持するために受け取った。

 彼は命令通りこれを維持した。しかし、にもかかわらず、Arthurは決して帰ってこなかった。


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