第二十四話 聖ミカエル山/ヘレンの悲劇
Arthurは王冠以外のすべての統治をMordredに委ね、一路サザンプトンへと向かった。
彼の船が港に停泊している間、彼の身内は街に逗留していた。
港は船でいっぱいだった。
それらは行ったり来たりして、停泊場所にとどまり、そして縄で結ばれた。
更に、大工の槌を振るう手は忙しかった。
ここで水夫はマストに登り、帆を畳んでいた。
ここで彼らは陸への橋をかけ、そして船の備蓄を満たした。
騎士と隊長たちは、槍を携え、怖がる馬の手綱を引いて、序列に従って中へと入っていった。
彼らが泣きながら別れ、そして岸に留まる人々に手を振っている様子が、貴方にも見えただろう。
最後の一人が最後の船に乗り込んだ時、水夫は錨を上げた。そして港からガレー船を動かした。
実に勤勉に水夫たちは働いた。帆を広げ、そして速さを維持するようにした。
船が素早く沖に出るように、彼らは巻き上げ機とロープを力強く引いた。
それから彼らは、それぞれの場所にロープをしっかりと固定した。
船の安全を託されていたキャプテンは、水先案内人と舵手が注意深く彼の言葉に耳を傾ける中、慎重に進路を決定した。
彼の判断において、操舵は風下である左舷に向けられた。帆が最も風で満たされるように。
船が波に負ける事のないように、水夫たちは必要に応じて紐やはらみ綱を取り出し、あるいは帆を甲板に下ろした。
そうして、解き放ち、速度を上げた。紐をゆるめて甲板に下ろしては、ロープを引っ張って、更に強く引いて――こうして彼らは海路を進んだ。
夜が来たら、彼らは星を頼りに舵をとった。風が彼らの進路へと運んでくれそうにない時には、帆を巻き上げた。
水夫は暗闇をとても恐れ、可能な限りゆっくりと進んだ。
とても勇敢だったのは、先頭の船の建造にも携わっていた、この船の礼儀正しいキャプテンだった。彼の身体を風と波に委ね、彼のまだ見ぬ土地を探し、そして知識にない港を見つけるために、前に進んだ。
今、巨大な中身の軍隊が追い風に乗ってバルフルールへやってきた時、Arthurは眠っていた。彼は賢明に進み、そして夜になったからである。
まどろみの中でArthurはとある光景を見た。それは、なんと、熊が空中を東を向いて飛んで行くというものであった。
実に巨大で、醜い身体を持つその熊は、見るからに恐ろしげだった。
国王は、同じようにドラゴンが彼に向かい、西を向いて飛んで行くのを見た。
彼の目の輝きは、陸と海のすべてが彼の栄光の輝きによって満たされているほどであった。
双方がぶつかったとき、ドラゴンは熊に飛びかかった。そして熊も果敢に彼の敵から身を守った。
しかしドラゴンは彼の敵を足元に下し、そして地面へと打ち倒し、ほこりまみれになった彼を押しつぶした。
Arthurがしばらく眠ったとき、彼の魂は再び彼に戻ってきた。彼は目覚めて、そして夢を思い返した。
それで国王は、彼の聡明な聖職者を呼び、そして彼らと親族に、彼が見た熊とドラゴンの光景を話した。
とある聖職者が、夢とその解釈について国王に解説した。
国王が見たドラゴンは、すなわち彼自身を意味するものである。
熊として見せられたものは、遠い国からやってきた恐ろしい巨人であり、彼は倒されるであろうと。
巨人はそれとは別の形での冒険の終わりを切望している。にも関わらず、すべては国王の利益となるであろう。
しかしArthurは答えた。「私の夢の解釈はそなたとは違う。私にとっては、それは私と皇帝との間にある戦争の問題を象徴している。だが、神の御心のままにことは運ぶだろう」
その後、日が昇るまで誰も口を開かなかった。
早朝、彼らはノルマンディーのバルフルール港へとやってきた。
まもなく軍隊は船の中から出てきて、異国の地に散らばった。道を遅れてやってくるものたちを待つためである。
今、彼らが僅かな期間そこにとどまっていたとき、最近スペインからやってきたという巨人が、Hoelの姪に当たるHelenに狼藉を働いたという報せが国王のもとにもたらされた。
巨人はこの悲運の女性を、聖ミカエル山として知られる高地へと連れ去ったという。この時代、まだ崖の上には教会も修道院もなかったが、しかしすべて海の波に閉ざされていた。
この土地には、あえて巨人に戦いを挑むか、あるいは彼の寝ているところに乗り込もうというものさえ、生まれが高貴であれ簡素であれ、誰一人としていなかった。
既に土地の住民は充分に一箇所に集まり、そして陸と海の双方からこの岩を巡ったが、しかし、彼らの労力はほとんど結果を出しはしなかった。
なぜなら、巨人は彼らを殺すか溺れさせるために、彼らの船を岩間から壊していたからだ。
そのため、彼らは彼の元から去っていった。なぜなら、彼の楽しみを妨げられるものは一人もいなかったからである。
王国の農夫たちは、これ以上ないほど嘆き悲しんでいた。
彼らの敵は彼らの家を台無しにして、彼らの牛を攻撃し、彼らの妻と子供を連れ去り、そして山の上の彼の砦へと戻っていったからである。
農夫たちは憤怒にまみれつつ、森に身を潜めた。
彼らは隠れた場所で惨めに死んでいった。その土地は不毛で、なぜなら植えるべきものが大地に全くなかったからである。
この恐るべき巨人は、その名をDinabucと言った。
彼が悲惨な終焉を迎えることを祈らない魂は一つもなかった。
Arthurがこの嘆かわしい報せを聞いたとき、彼は他の男を交えずに会議を開くために、執事であるKayと酌取りであるBedevereを呼んだ。
彼は彼らの彼の目的のために内密に野営地を離れ、他に誰も連れて行かないために、彼らの身を彼ら自身が守らねばならぬと告げた。
誰にも伝言を知らせなかった。なぜなら、山に乗り込んで彼と巨人とどちらが屈強な闘士であるのか、確かめるためである。
3人は拍車を惜しむことなく、夜通し馬を駆った。
夜が明ける頃、彼らは山へと続く川の浅瀬にやってきた。
山の方を見ると、彼らは遥か遠くの丘の上で火が燃えているのを見つけた。
山と対峙するすぐ近くに別の小さな丘があった。そして、丘の上には同様に石炭の炎があった。
Arthurは丘から山をじっと眺めた。
彼は巨人がどこに泊まったかと、そして二つの高所のどちらで彼を見つけられるだろうかと考えた。
彼の出立を知るものはいなかったため、彼の住居について尋ねられる者はいなかった。
ArthurはBedevereにまず一つ目の丘に、そして次にもう一方の丘に行き、巨人の消息を探るように命じた。
彼が探しものを見つけた時には、すぐに戻ってきて、良い知らせをもたらさねばならない。
Bedevereはこの探求に向かった。
彼は小さな船に乗り込み、そして近い方の山へと漕いでいった。
彼はそれ以外の方法で進むことは出来なかった。なぜなら、潮は満ち、砂は海に隠れていたからである。
Bedevereは船から身を離し、山を登り始めた。
彼はしばらくの間登り続け、そして耳を傾けた。
Bedevereは上の方から悲痛な泣き声と大きな嘆き、そして悲しげな溜息を聞いた。
騎士は、心臓の根が耐え難い恐怖によって凍りつくのを感じた。なぜなら、彼は巨人が遊んでいるところを見つけてしまったと思ったからである。
彼の胸に勇気は戻り、そして鞘から剣を抜き、彼は丘の上へと進み出た。
Bedevereは自分を臆病者だと知るくらいならば、むしろ死んだほうが騎士としてより良いと、彼自身の中で考えた。
彼は怖気づいた自分を責め、そして彼の心にこの冒険を良い形で終わらせたいと強く熱望した。
彼の望みは証明されたが、しかし空振りだった。
Bedevereが山頂を踏破したとき、そこに巨人の姿はなく、ただ炎が燃えているだけだった。そして火のすぐ近くに最近掘られたばかりの墓があった。
騎士は抜き身の剣を手にしたまま、火の近くへと進んだ。
彼は墓の近くに横たわる年老いた女を見つけた。引き裂かれた衣服と、髪は風に流され、彼女に降りかかった事件を嘆き悲しんでいた。
同様に、Helenに降りかかった巨大な苦しみを悲しみを、多くの激しい鳴き声とともに嘆き悲しんでいた。
この哀れな女が山の上にBedevereを見つけたとき、「ああ、惨めな男よ」彼女は叫んだ。「そなたは名をなんという。そして、どんな酷い運命がそなたをここへ導いたのだ! 巨人は彼の棲み家でそなたを見つけるであろう。まさしくこの日、そなたの命は恥辱と悲しみ、苦痛の中で終わるのだ。そなたの道を逃げるのだ、みすぼらしい惨めなものよ。彼がそなたを見つける前に。そなた自身を憐れむのだ。誰が彼の怒りによってそなた自身をここへ届けたにせよ、自ら死を求めてはならぬ」
「良き婦人よ」Bedevere卿はすぐさま答えた。「泣くのはやめて、私の問に答えてください。貴方は誰なのか、そして、どうしてそれらの涙を流しているのかを私に教えてください。どんな理由で貴方はこの島にとどまって、そして墓の横で屈んでいるのですか? あなたの冒険を、私に明確に答えてください」
「立派な貴族さま」年老いた女性は答えた。「私は見捨てられた、そして最も不幸な女です。私は私の胸で育てた、この王国の公爵Hoelの姪であるHelenという名の娘のために、嘆き悲しんでいるのです。彼女の遺体はこの墓に横たわっています。それは大切にするために私に与えられたのです。ああ、なぜなら彼女は私の膝の上にいたのですから! ああ、なぜなら彼女は私の胸で大切にされたのですから! ある悪魔が彼女を略奪して去ったのです。私とともに。私たちは彼と棲み家を共にすることを強いられました。巨人は娘とともにことをなしました。しかし、彼女は巨人に耐えるには、歳が幼かったのです。極端に若い娘に対し、一方の彼については、その骨も肉も肥満で重く、彼女の負担は彼女の忍耐を超えていたのです。このために、魂は彼女の身体から去って行きました。ああ、惨めなのは私です。私は生き残ってしまい、そして彼女は、私の喜びにして私の愛情は、私の甘美にして私の楽しみは、この巨人によって穢され殺されてしまいました。彼女の遺体を地面に埋めないで、どうして私がここを離れることが出来ましょう」
「それで、どうしてまだこの丘にとどまっているのですか」Bedevere卿は尋ねた。「Helenは既に死んでしまっているというのに?」
「理由を聞きますか」年老いた女性は言った。「ならば隠すこともないでしょう。そなたが優しく礼儀正しい男であることは、一目見てわかりますから。Helenが恥辱と悲しみのうちに逝ってしまったとき、巨人は、私が彼の楽しみに耐えられる限り、ここに留まるようにと制約したのです。彼は、私が娘が痛みと苦しみのうちに死んでしまうのを見たために心臓が高ぶっているにも関わらず、ことをなしたのです。力尽くで私をこのねぐらに留め、力尽くで私をもてあそぶのです。貴方には、私が自由意志においてこの山にとどまっているとは考えられないでしょう。しかし、私は主の御心に従います。神が私を死なせるのであれば、ほどなく私は巨人に殺されることでしょう。私は歳を経て、同じように私は強く、頑強で、そして、弱々しかったHelenと違い、私は目的においてゆるがないのであれば、話は別ですが。私が死にかけて、もうほとんど僅かしか耐えられないにせよ。ことによったら、まさに今日が私の最後かも知れない。友よ、そなたが誰にあるにせよ、これ以上ここに留まってはいけません。貴方にそれが出来る間に逃げるのです。なぜなら、彼の習慣によれば、火の煙が山頂に見え、悪魔はいつでも登る準備ができているからです。彼の網に捕らえられないでください。出発して、この涙と悲しみの老女を捨て置いて下さい。なぜなら、私は貴方の命の心配をしませんから。Helenと彼女の愛がほこりにまみれて台無しにされてしまった以上は」
Bedevereがこの冒険を聞いたとき、彼は哀れみでいっぱいになった。
心のすべてをもって、彼は可能な限り穏やかに女性を慰めた。
彼は一時彼女を離れ、そして急ぎ丘を降り、国王のもとへと一直線に向かった。




