第十一話 アレリウス王の死/ウーサー・ペンドラゴン
豪華な宴会が定められたとおりに終わると、会合は解散し、人々はそれぞれの場所へと帰っていった。
今、Vortigernの息子PassentはAureliusと彼の兄弟Utherを恐れてウェールズから、そしてブリテンから逃げていった。
彼はゲルマンの地に保護を求めた。そして、かれはそこで船を購入し、彼のために働く男を雇った。しかし、彼には大勢の仲間はいなかった。
Passentは北の地に到着し、そこで荒らしまわった。家々を焼き、土地に損害を与えた。
彼はひとつところに留まらないことをものともしなかった。北に急ぎ戦いを仕掛ける王のために、我慢することはなかった。
Passentは再び船に乗った。そして王が帰還しやってくることを恐れ、はるか遠くへと帆とオールで旅に出た。結局のところ、彼はアイルランド沿岸に錨を下ろした。
Passentはこの王国の王が演説する様子を見た。
彼は起源と現状について語り、そして、彼の必要とする苦々しいものを示した。
Passentは急ぎ王への謁見を願った。二人は密接に相談した。それは、海を渡り、ブリテンに戦争をしかけるという話だった。
この契約はPassentの父親を殺された報復と、彼の遺産についてAureliusと争うためのものだった。しかし、アイルランド王のブリテン人に対する復讐も上乗せされていた。彼らは戦いで彼を打ち倒し、彼の人々を略奪し、そして、巨人の円舞を豪腕によって奪い去ったのだ。
こうして、彼らはそれぞれの悪事のために、互いに信頼を誓い合った。
GuillomerとPassentは、揃えられる限りの多くの戦士を用意した。
彼らは船を手配し、順風満帆に海を渡り、安全にウェールズまでやってきた。
軍隊はメネヴィア市に侵入した。ウェールズ人の誉れ高いこの街は、現在では人々にセントデイビッドと呼ばれている。
おりしもAurelius王はウィンチェスターにて病に臥していた。
酷い容体が長く続いたため、彼の病気は重かった。彼が回復するか、それとも息絶えるか、医者にも分からなかった。
Passentとアイルランド王がこの地に悲しみをもたらすために、ともにウェールズに来ている。Aureliusがこの報を聞いたとき、彼は弟Utherに使いを送った。
ベッドから彼を起こすことができなかったことに、彼は計り知れなく悲しんだ。
彼はUtherに急ぎウェールズに赴き、彼らを王国から追い出すように命じた。
Utherは貴族たちに伝令を送った。そして、戦いのために騎士たちを呼び寄せた。
彼はウィンチェスターから出発した。しかし、長い旅になるため、幾つかに分かれた。そして、戦力の数を増やすために幾つかに分かれ、彼は道中、巨大な軍勢を作るのに手間取ってしまった。
ウェールズに到着するまでは、とても長い道のりだった。
彼がこの手法に時間をかけている間に、とある異教徒がAppasと名付けられた。男はサクソンの生まれでPassentの言葉で望まれた男だった。
Appasは優れた教育を受け、部分的に頭が良かった。
彼は大勢の人の中で自らの口で話した。彼は内科と外科に通じていた。しかし彼は犯罪者で、不誠実な男だった。
「Passent殿」Appasはひそかに言った。「そなたは長きに渡りAurelius王を憎んでいます。もしも私が彼を殺したら、なにが私のものになるでしょうか?」
「私がそなたに授ける快楽と富のすべてだ」Passentは答えた。「この先、私はそなたの友人として立ち上がろう。そなたの約束だけがそれを実現させ、そして王はそなたの手により死を味わうのだ」
「では、約束してください」Appasは言った。「実現した際の、私のものを約束してください」
契約が彼らの間で交わされ、Passentは千リーブルを数えださねばならなかった。いったい、いつの間にAppasが王を殺したのか。Appasは非常にずる賢く、そして実に貪欲で富に執着した。
彼は彼に宗教の習慣をもたらした。彼は彼の冠を削り、そして、彼の髪の毛がすぐ近くに落ちるように仕向けた。
まるで修道士のように彼は削った。誰の目にも修道士のように見えた。ガウンとローブによって修道士のように着飾った。
このような外観を装って、Appasは王宮への道を歩いた。
彼は嘘をついて、自分が腕の良い医者であると触れ込んだ。このようにして、彼は王のベッドへと近づいた。
彼は、自分を信用するならば、速やかに完全な健康状態にしようと約束した。
彼は脈を測り、問題点を探した。「ああ、これならば」彼は言った。「私はこの災難の原因を知っている。私は、貴方を快適にするための薬を持っている」
一体誰があこの甘美な医者を疑うことができようか? 温厚な王は、貴方たちの誰もがそれを選ぶように、苦しみが癒やされることを望んだ。
反逆を疑うことなく、彼はこの裏切り者の世話に身を委ねた。
Appasは毒入りの薬を用意し、王に手渡し、飲むように促した。
それから彼は、王に沢山の暖かな布団をかけ、安静に眠るようにと言った。
王が発熱したあと、毒は彼の身体を蝕んでいった。ああ、神よ、とても苦しい。彼の死に際して、できる事は、なにもない。
Aureliusが自身が死なねばならぬことを悟ったとき、彼は家族の前で真実を誓った。彼らが彼を愛していたように。彼らは彼の遺体をストーンヘンジへと運んだ。そして、彼が建造させた石の真ん中に彼を葬った。
こうして王は死んで埋葬された。しかし、裏切り者Appasは脱出した。生命とともに、逃げ去った。
Utherは軍隊とともにウェールズへと入った。そして、アイルランド人がまだメネヴィアに留まっているのを発見した。
そのとき星が出現し、それは多くのことを伝えていた。
後に彗星と呼ばれる星である。そして聖職者によれば、これは王が死に、この世から去ったことを意味していた。
この星は驚くほど明るく輝き、そして太陽よりも眩しい光を投げかけていた。
この光の終端はドラゴンの頭になっていた。そして、ドラゴンの力強い顎から、二本の光線が放たれた。
光線のひとつはフランスにまで伸び、フランスの聖ベルナルド山から伸びてきた光とひとつになった。
もう一方の光線はアイルランドに向かい、七つの光に分かれた。
七つの光線のそれぞれは、水上でも地上でも明るく輝いた。
すべてのものはこの星を理由として、大いに動いた。
Utherはこれがなにを意味するかについて不思議に思い、驚くほど悩んだ。
彼は、このサインとその解釈を読み解いて聞かせるよう、Merlinに願った。
Merlinは言葉を出さなかった。
悲しみが彼の心臓を掴んで離さず、彼は激しく泣き崩れた。
言葉が彼の口に戻ってきたとき、彼は多くの言葉を持って嘆き悲しみ、何度もため息を付いた。
「おお、神よ」彼は言った。「今日、悲しみと災難と悲痛とが、ブリテンに降りかかりました。この王国は偉大な指導者を失いました。王は……この地を悪意と屈辱から解放し、異教徒から戦利品を奪いとった、我らの力強い闘士は、死にました」
Utherが、彼の兄弟にして正しき君主がその道のりを終えたことを宣言したとき、彼はとても重々しく、そしてとても落ち込んでいた。
しかし、Merlinはできるかぎり彼を慰めた。
「Uther殿」彼は言った。「決して倒れることのなきよう。死から戻ったものは居ないゆえに。やっかいな戦闘の終わりをもたらしましょう。そなたの敵に闘いを挑むのです。明日、Passentとアイルランド王が打ち倒されるのが見えるでしょう。明日は果敢に戦ってください。そなたは勝たねばなりません。そして、ブリテン王として戴冠するのです。サインの解釈に耳を傾けてください。光線の終端にいるドラゴンは、そなた自身を示しています。力強く、堅牢な騎士です。ふたつの光線のうちのひとつは、そなたから生まれるであろう息子を示しています。彼は権力ある王子となるでしょう。フランスの国境を越え、フランスを征服します。相方から別れたもう一方の光線は、スコットランドの女王となる娘を示しています。彼女は、多くの公正な遺産を彼女の君主に捧げるでしょう。そして力強い闘士は陸と海の両方において、それを証明するのです」
UtherはMerlinの助言に耳を傾けていた。
彼は夜には人々を休ませ、そして朝になったら戦闘のために武装させた。
彼は攻撃によって都市を陥落させようと考えていた。しかし、壁に迫ってくる彼らを見たアイルランド人は、甲冑を身につけ、仲間の内に身を置いた。そして、門の外へと雪崩れ出てきた。
アイルランド人は勇敢に戦った。しかし、あっという間に混乱状態に陥った。なぜなら、その日のうちにPassentと彼の友人であるアイルランド王がブリテン人に倒されてしまったからだ。
戦場から逃げ出した者達は、海へと逃げた。しかし、Utherは迅速に追撃し、彼らが死ぬまで蹂躙した。
彼らの船は激しく浸水して、帆もオールも海に投げ出されていた。Utherがこれ以上損害を与えるまでもなかった。
Utherが自らの仕事を良い形で終わらせたのち、彼は華やかな騎士道精神とともに、ウィンチェスターへと向かった。
道中、出会った伝令が王が死んだことと、どのように死んだのかと伝えた。
彼は、彼が隊長や貴族たちにそう要求していたように、Aureliusを巨人の円舞の中で安らかに眠れるように司教が安置したと告げた。
この便りを受けたAureliusは、もはや拍車をかけることを惜しまずウィンチェスターへと急いだ。
人々は激しく泣き叫びながら、彼を到着前に出迎えた。
「Uther閣下、」市民達は叫んだ。「貧しきものたちに施しをした彼は死んでしまいました。そして彼の身内もいなくなりました。私たちは我々自身を守り、そなたを救う手立てを持っておりません。正当な後継者として、この冠を取ってください。公正なる閣下、我ら下々のものは、そなたの崇拝と繁栄の他に、なにも望んでおりません」
Utherは彼らの言葉にとても喜んだ。
彼は利益の在処と、王がこれ以上前進できないことをはっきりと見た。
人々が望むのにしたがい、彼は急いだ。
彼は王冠を取り、王になった。人々を愛し、王国の名誉を守護した。
王となるべき堅牢な騎士であり、かつ、後の王の父となることを示すドラゴンを忘れぬために、Utherは貴族たちと相談し、二体の黄金の竜を作った。
これらのうちひとつは、彼が戦いに赴く前に、彼が生まれる原因となったものだ。
もうひとつは、司教の教会に安置するためにウィンチェスターに送られた。
これを理由として、彼はこの後永遠にUther Pendragonと呼ばれることとなる。
Pendragonとは、ブリテン人の口による名前である。しかしローマにおいてはドラゴンの長と呼ばれた。




