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ピンクの季節に恋をして  作者: Suta
ピンクの季節に恋をして
4/16

夏休み

この物語は、平凡な高校生の主人公が、学校のアイドルと少しずつ距離を縮めていく日常を描いたものです。

誰もが経験する初恋のドキドキや、心がふわりと温かくなる瞬間を、読んでくださる皆さんにも感じてもらえたら嬉しいです。

僕の初めて書く作品ですが、主人公と学校のアイドルの物語の世界へどうぞお付き合いください。

(1)勇気を出して


期末テストも終わり、夏休みに入った。


夏祭りに、莉羅(りら)を誘いたい。


一緒に歩く姿を思い浮かべると、浴衣(ゆかた)姿の莉羅が笑顔で屋台を回っている……そんな場面が自然と頭に浮かんでしまう。


けれど、スマホを開いては閉じ、メッセージの入力画面を出しては消す。

送ろうとするたび、画面に映る自分の指が、なぜか固まって動かない。


「……やっぱり、もう少し考えてからにしよう。」

そうつぶやいて、またスマホを伏せてしまった。


——次の日

僕は、ずっと悩んでいる。


勇気を、出すか。


僕は、莉羅に

「おはよう。今度ある夏祭り、一緒に行かない?」

と送った。


10秒後くらいだろうか、既読が付いた。

画面を見つめたまま、指が止まる。返事が、なかなか来ない。

何度も画面を見返してしまう自分に、少しだけ焦りが混じる。

既読がついて、1分ほど経った。


——通知音。

文字が並んでいた。


「えっ……夏祭り、一緒に……行くの?」

「う、うん!行こ、行こ!」


文字から、莉羅の驚きと慌てた様子が伝わってくる。

僕は、画面を見つめたまま、しばらく指が止まった。


本当に、行けるんだ。


「うん。じゃあ、来週夏祭りとかどう?時間は、18時家に行くね!」

「分かった!楽しみだなー!」

「うん!」

「私、今から用事があるから、またね!」

「うん。またね。」


来週、莉羅と夏祭り。

本当に行けるのか。

胸の奥が少しざわついた。


(2)夏祭り


集合時間になり、莉羅の家の呼び鈴を押す。

——ピーンポーン

と音が鳴った。


「はーい!」と弾むような莉羅の声が聞こえた。


——ガチャ


ドアが開く。

莉羅が顔を出した。


僕は、莉羅を見た瞬間息を呑んだ。


そこには、淡いピンク色の浴衣をまとった莉羅が立っていた。

桜の花びらが散るような模様が入っていて、柔らかな色合いが莉羅の雰囲気にぴったりだった。

結んだ(おび)も落ち着いた色で、可愛らしさの中に上品さがある。

髪はいつもと違って、横にまとめられ、小さな髪飾りがきらりと揺れた。


——普段の制服や私服とはまるで違う。

目の前にいるのに、どこか夢の中の光景みたいで、息が止まりそうになった。


会場に着くと、夜空を彩る提灯(ちょうちん)の光が屋台の通りを柔らかく照らしていた。


人のざわめきや笑い声が入り混じり、紙風船(かみふうせん)やお面の香りが混ざった、夏祭り独特の匂いが漂う。


金魚すくいの前に立つと、僕たちはすぐに挑戦してみる。

莉羅は慎重にすくうが、ふとした瞬間、紙が破れて水しぶきが飛んだ。


「きゃっ!」

と莉羅が声をあげ、手で口元を押さえる。


——ドジで可愛い。


僕は率直にそう思った。思わず、「大丈夫?」と声をかけると、莉羅は少し恥ずかしそうに笑いながら、「うん、大丈夫……」と返す。


その笑顔は小さく震えていて、でも、どこか嬉しさが滲んでいた。

周りのざわめきさえ少し和らぐ気がした。

次に、ヨーヨー釣りに挑戦する。二人で「どっちが先に取れるかな」と競いながら、笑い声を交わす。


僕がうまく釣れたとき、莉羅は悔しそうに目を細めて、「ずるい!」と小さく叫ぶ。


でも、すぐにくすっと笑い、肩をすくめて僕を見上げる。

その仕草ひとつひとつが、何だか特別に思えた。


その後、りんご飴を手にした僕たちは、提灯の光に照らされた甘い赤色を見つめながら、ふと視線が合う。

笑顔が自然とこぼれ、胸がほんのり温かくなる。


「ねぇ、ちょっと食べてみて」と莉羅がりんご飴を差し出す。

「ありがとう」と僕が受け取ると、二人の指先がほんの一瞬触れ合う。

——この瞬間も、夏祭りの光に包まれているようだ。


僕はりんご飴を食べた。

そうして、僕は食べてから気付いた。


——間接キス、ということに。


自分の顔は見えないが、赤くなっていることは分かる。

その姿を不思議に思ったのか、莉羅が

「どうしたの?」と首を少し傾け、じっと見つめる。


僕は沈黙する。


理由に気付いたのか、莉羅が

「あっ。」と呟いた。


その声には、何か含まれているのは分かる。

でも、恥ずかしいのか、何なのだろう。

率直な言葉だった。

前の巨大パフェの時とは反応が違う。


前は、恥ずかしいという感情が伝わった。

でも、今回は分からない。


——どうしてだろう。


僕は周りの景色を見渡す。

浴衣姿の人々、屋台の明かり、笑い声、風に揺れる提灯。全てが少し眩しく、でも、どこか落ち着く。

莉羅と一緒だからだろうか。心の奥がふわっと軽くなる。

さっきの疑問がどうでもいいと感じさせる。


僕は、自然と笑みがこぼれた。


21時になった。


莉羅が、りんご飴を食べ終わり、僕は言った。


「莉羅、もう21時だ。そろそろ帰ろう。」

「あっ!もうそんな時間!そうだね、帰ろう。」


(3)帰り道


「莉羅、今日はありがとう。」

「え?何が?」

「今日、一緒に夏祭りに行ってくれたこと。」


「ううん!全然!私も誘おうか迷ってたから!誘われたときめっちゃうれしかったんだよ?」

「そういえば、既読から返信まで遅かったけど、何かあったの?」


「いや、特に何もなかった!でも、あったの!なんだと思う?」

莉羅は花のように咲いた笑顔で、頬を少し赤くしながら質問した。


笑顔の中にほんの少しの照れと、嬉しさが混ざっている。


僕は考えた。

普通に驚いただけ?

本当にうれしかったとか?

でも、うれしかっただけで遅くなるだろうか。

莉羅の質問からして、何かはあるんだろう。


でも、今の僕には分からなかった。


「理由は分からない。でも、本当にありがとう!」

「ふふふ!こっちもありがとう!」

莉羅は太陽のように明るかった。


家に着いた。

お互い「ばいばい!」と言い、解散する。

その時の莉羅は少し、顔が赤かった気がする。



——なぜだろう。


たったの3時間

それは短い時間

でも、特別なもの

特別になるもの

重要なもの


僕は、莉羅と夏祭りに行ってそう思った。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

初めての作品なので、感想やご指摘などを書いてもらえると、とても嬉しいです。

確認はしましたが、誤字脱字がある可能性もあるので、どうぞよろしくお願いします。


読んでくださった皆さんにも、俊や莉羅のように、少しドキドキして、少し温かい気持ちになってもらえたなら幸いです。


これからも、二人のちょっとした日常や恋の進展を描いていけたらと思っています。応援してもらえると嬉しいです。


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