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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第4章 宿の主人になった日

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第20話 3人娘と東京ビックダンジョン温泉探訪

温泉回の第二弾です。

 俺は俺2号のフレイヤだ。今、東京ビックダンジョンの30階層でマナとメルと3人で配信を始めようとしていた。最初はモンスターを狩ってみるかという案もあがったが、ジェシーの作った温泉宿を紹介する番組はどうかという案に変更となった。東京ギルドやガームドさんに聞いてみたが、配信はオーケーらしい。特にガームドさんは、エバーヴェイルにこそ初公開の権利があると賛成してくれた。権利関係もクリアしているらしく公表してもいいらしい。

 そんなわけで今回は温泉探訪の回だ。そして、どこまで準備がいいのか、マナが持ち込んだ浴衣を着ることになった。俺とメルとマナ、全員分が揃っていて、全てマナが着付けをしてくれた。道場の関係で和装の着付けを覚える機会があったらしい。


 それにしても、浴衣なんて子供の頃に着た覚えしかないのに、女性物の華やかな浴衣を着る日が来るとは思わなかった。でも、悪い気はしない。胸を潰すために使ったキツめのブラが違和感だが、我慢できないわけじゃない。

 マナが髪も結い上げてくれたし、マナの美容関係のスキルが上がっている。

 そして、いよいよ浴衣姿で配信を開始する。


「エバーヴェイルちゃんねるに、ようこそー。今日は東京ビックダンジョンにできた新しい温泉宿の紹介と新しい温泉の候補を探そうのコーナーです」

「そう、温泉なの」


 水色の浴衣に花の髪飾りをつけたメルが可愛らしく紹介する。


¥60,000 ◆るぽん酸性:きたー。かわええ。ちょっとクルクル回って欲しい。


¥1,000,000 ◆G:やはり浴衣はいいですね。私も妻の浴衣姿に惚れてプロポーズしました。もっと日本人は日常でも着たらいいのにと思いますね。


「え? 100万円?」


 マナが一瞬止まる。これ、ガームドさんじゃないか? 為替でのミスとかじゃないよな。でも、あの人億万長者だし、感覚狂ってるのかもしれない。

「あ、スパチャありがとうございます! 今日の浴衣はあたしが選びました。フレイヤは落ち着いた赤で、メルちゃんは明るい水色。あたしは、萌葱色です。ちょっとE&Sのスタイリストさんに相談しちゃいました」

 マナが後ろ姿を見せているので、メルと一緒に俺もゆっくり回ってみせる。

 凄い勢いでコメントが流れていく。そして、コメントでどこなのかと再度聞かれる。


「ここは東京ビックダンジョンの30階層です。ほら、向こうには、エルダーエイプが温泉に浸かっている様子が見えます」


 マナが紹介すると、こちらに気づいた身長3メートルくらいの猿型モンスターが襲いかかってくる。

 コメント欄に、危ないとか、武器はどこなんだと心配したコメントが溢れる。


「大丈夫なの。ここは、安全地帯なの」


 ジェシーの作ったテリトリーは薄い膜のような物に包まれており、突っ込んできたエルダーエイプがその壁にぶつかって弾かれる。


「モンスターは入れないの」


 壁のすぐそばでニコニコしているメルをダンジョンガイダンスが映す。まるで動物園にきたようだ。

 しかし、歯を剥き出しにして唾を撒き散らす猿の顔はあまり気持ちの良い光景ではないので、俺のサイコキネシスで高くに放り上げる。遠くに落ちると、そのモンスターが消滅していくのが見える。

「この安全地帯は新しいメンバーのスキルよ。名古屋ダンジョンの22階層にもあるわ。探索者の方は、直接体験するのがおすすめよ」

 

¥80,000 ◆ショータロ王:涼しい顔でエルダーエイプを倒す姿に惚れ直す。では、うなじの撮影をお願いします。


 ダンジョンガイダンスが俺の斜め後ろに回り込んでくる。やっぱりスパチャの要望に応える機能入ってるよね。まぁ、うなじくらいなら、いくらでも見せてやるけど。


「じゃあ、温泉の候補を見てみましょう!」


 マナの案内で3つの温泉を巡り、少し手狭だが宿に近い温泉を選定する。


「きっとここは男湯になるわね。サウナとか建ててあげたら喜ぶわよ」


「じゃあ、早速ジェシーを呼んで建ててもらいましょうか」


 そう。今回の配信はジェシーの紹介も兼ねている。



¥80,000 ◆ショータロ王:噂のジェシーちゃん。一体どんな女性なんだろうか。オラわくわくすっぞ。


 名前しか出ていないから女性と間違えるかもなぁ。メルがジェシーを呼んでくる。無言で近くに立っているジェシーをダンジョンガイダンスが足から映していく。


¥50,000 ◆モウミョウの肉:意外にがっしりタイプなのか? え、でも、横のメルちゃんの倍はあるぞ。


そのうち、顔の方に回ってくるとコメントが一瞬静まり返る。


 ◆タコさん:え、女の子じゃなくて、イケオジじゃん。予想と正反対すぎw


そんなコメントが流れた後、質問コメントが流れ始める。


「質問は風呂を建ててから答えてやる。じゃあ、いくぞ」


 ジェシーの合図から、急に建物が出現する。



¥80,000 ◆ショータロ王:なんだこれ!? こんなスキル見たことも聞いたこともないぞ!

土魔法で壁とか豆腐みたいな建物作るのと次元が違う。


そこには和風の温泉が出来上がり、殺風景な様子が一転して温泉の風情が醸し出されている。


「何度見ても、ジェシーさんの魔法? すごいですよね。でも、もっと驚きますよ? 宿を訪問しましょう」


¥100,000 ◆ショータロ王:え、この流れで風呂じゃないの!?



「スパチャありがとうございます! まずは宿の紹介になります!」


 マナの言葉に、ざわめくコメント欄。「まずは」という言葉に期待できるのかもというコメントがいくつも出てくる。



 その後はジェシーが紹介を引き継いだ。宿の中に入ると、受付と食事処をみせる。その時点でダンジョンじゃないというコメントが多く見られる。

 そして、ダンジョンガイダンスの試作機の話になった。


「本体は見せられないが、このリンゴは、今、東京ビックダンジョンのギルド側から送られた物だ。うまいぞ」


 一口齧る。ここでもいろいろ質問が出るが、また別の機会だと説明する。そして、そこから部屋の紹介が行われ、マナが最後のまとめを行う。


「どうでしたか? ダンジョンの中の温泉紹介でした!」


¥100,000 ◆ショータロ王:終わらないでー!温泉実況お願いします!


「風呂いいんじゃないか? 俺が紹介してやろう」


¥10,000 ◆ショータロ王:違うんや。その優しさは違うんや。

¥20,000 ◆超子:期待!!



そして、ジェシーが腰にタオルを巻いた状態で温泉に入るコーナーが始まる。中には水着を着ている。


「あー、いきかえる」


¥50,000 ◆超子:いい体だわ、、、素敵

¥30,000 ◆ビッグバンドラゴン:兄貴と呼ばせてください。

¥100,000 ◆ショータロ王:ソワソワ。女風呂が見たい。


さっきからショータロ王さんが、10万円を1分ごとに入れてくる。きっとトップランカーなんだろうなと思う金遣いの荒さだ。


 その日、配信で1番の同時接続とスパチャを記録した。


都会の真ん中にありますが、一般人は行けない温泉宿ができました。


※オチを変更しました。

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― 新着の感想 ―
温泉いいよねぇ 自由な時間に浸かる事できんかったけどね…
ジェシーの温泉入るシーン 予想通り予定通りで助かる
うほっいい水着。 やはり雄っぱい!
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