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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第4章 宿の主人になった日
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第10話 ドラゴンと大岩

いよいよドラゴン戦です!

 ドラゴンが居る大空洞。鉱山の中にあるには大きすぎる空洞に、巨大な赤いアークドラゴンが寝そべっていた。全長は30メートルはあるんじゃないだろうか。羽はなく、大きなトカゲと言った方がいいかもしれない。ただ、頭に長い角が生えており、そこから禍々しい魔力が噴出している。

 この大空洞には多数の鉱床が露出している。これの獲得がこの階層ボスを倒す1つの目的になる。

 大空洞の中を観察すると天井には穴があるのがわかる。外の光だろうか、少し明かりが漏れている。そのおかげで、空洞内がかすかに照らされている。天井までは約100メートルくらい、奥行きは細部まで見えないが、2、3キロメートルはあるんじゃないないだろうか。つまり、ドラゴンが暴れるスペースはしっかり確保されているし、俺が魔法を撃っても酸欠にならないレベルで空気もあるというわけだ。

 

 今はその大空洞に入らずに、手前にあった坑道の中で全員が待機している。


『こちら大和隊。大空洞の入口付近に待機している。どうぞ』


 大和クランからの連絡が来る。どうやら同じタイミングで大空洞に到達したようだ。


「こちら野獣エバ隊。こちらも先ほど大空洞に付いた。赤いアークドラゴンが見える。どうぞ」


 野獣の牙の通信係の人が答える。


『こちら大和隊。こちらも確認している。アークドラゴンの巣が邪魔で全身は見えないが、赤いアークドラゴンが寝ていることが分かる。どうぞ』


 そんなやり取りを何度かして、アークドラゴンに対する攻撃タイミングなどを調整する段階となった。


「さて、フレイヤさん。この空間ならばある程度の炎の魔法を使ってもらっても大丈夫かと思います。ただ、燃え続けるような魔法と、爆発系は避けてください。崩落の危険もありますから」


 俺は素直にうなずくが、メルトを山ほど放り込んで倒してやろうかとか、いろいろ考える必要がある。サイコキネシスが効くのならば、地面に貼り付けにして倒すというのも可能だ。


「メルさんには、バフをお願いしたい。この人数となるので、継続時間との兼ね合いもあると思うので、1時間くらい保つもので可能な範囲でお願いしたい。もちろん、回復なども必要なので、厳しそうであれば、アタッカーに付けてほしい」


 その話も事前にしているため、メルも問題ないようだ。以前、野獣の牙に使ったオーラ::ウルフを使うことになるだろう。


 野獣の牙のメンバーと共に、静かにアークドラゴンにギリギリまで近づいて行く。そして、予定通り先に大和隊が攻撃を開始した。開始の合図代わりの雄叫びが遠くから聞こえる。前衛の挑発スキルだろう。その声に遅れて魔法が放たれる。火や雷が大空洞を照らし出す。

 牟田さんが待てのハンドサインをしている。大和隊に十分注意が向けられた後、野獣エバ隊からの攻撃に動くことになる。

 アークドラゴンは倒れておらず激昂しているだけだ。煙も上がっているが、大きな怪我を負っているような様子はない。やはり防御力が高いようだ。

 アークドラゴンのターゲットを受け持つのが盾持ちの方だ。確かランクSの探索者で、大和の主要メンバーだったはずだ。アークドラゴンの重い一撃にも飛ばされる事なく勢いを逃しつつ攻撃を捌いている。うまいものだと思う。

 そんな中、周囲のアタッカーはアークドラゴンの体に一撃離脱で攻撃を入れていく。そして間髪入れずに魔法攻撃が降り注ぐ。アークドラゴンは周囲を飛び回るハエをたたくかの如く、尻尾をすごい勢いで旋回させた。

 そして、再びアークドラゴンに挑発が入ったところで牟田さんから攻撃開始の合図が出る。すぐにメルが支援魔法を付与し、強化された前衛2チームがアークドラゴンに向かって駆け出す。みんな静かな行動を心がけているのか、大人数での移動なのにほとんど音がしない。このままいけば、良い一撃を入れることができるだろう。

 しかし、その進軍も再び牟田さんによって止められる。空になったと思われた巣から赤いアークドラゴンよりも小ぶりな黒いアークドラゴンが現れる。つがいだったのだろうか? 



 そこからの牟田さんの判断は早かった。黒いアークドラゴン(黒ドラ)が大和の方に向かうのを阻止する作戦に変わった。牟田さんのチームから挑発が発動し、黒ドラを引き付けた。小ぶりだが黒いだけで強く見える。実際はどうなんだろうか。


「まずは、2匹目の攻撃に加わります。前へ」


 残ったCチームのリーダーが声をかけてくる。その声に合わせて俺たちも駆け出す。2匹説は出ていたが、ここまで当たるものだろうか。しかし、予想していなかった事は、2匹目が決して雑魚というわけではない事だ。そのため、野獣エバ隊は2匹目をしっかりと攻略する方を選択した。


「リジェネ!」


 メルの回復が前衛陣に付与される。徐々に回復するため、継戦に要となる。前衛たちは大和隊に劣らず善戦している。


「フレイムマジック、フレイムストーム!」


 俺も魔法攻撃を加える。短時間、炎に炙られた黒ドラは、体表が赤熱しながらも周囲の前衛達に足や尻尾をふるう。流石にドラゴンだけあって火には強いのかもしれない。動きに変化が無く、あまりダメージが入っているように見えない。

 つぎの魔法を決めかねていると、大和隊側で動きがあった。赤いアークドラゴン(赤ドラ)の角が折られたようだ。その拍子に赤ドラが横倒しになっている。その途端、黒ドラが怒号のような咆哮をあげ、赤ドラの方に駆け寄って行った。


「挑発が外れた! 赤い方に向かったぞ!」

「攻撃を入れろ、行かせるな!」


 俺も慌ててフレイムビットで追撃する。サイコキネシスも入れて動きを鈍らせるが、それでも間に合わず、黒ドラは赤ドラの近くで戦っていた大和隊までなだれ込んでいってしまう。こちらの声を受けて回避行動に移った大和隊だが、余波を受けて前衛が何人か吹き飛ばされる。死んだりはしていないようだが、体を打ち付けたのか立ち上がれない人が数人いるようだ。


「メルちゃん!」

「回復するの!」


 メルの回復魔法がギリギリ届いた。ただ、大和のメンバーたちはよろよろと立ち上がり赤ドラと黒ドラから距離をとり、野獣の前衛たちと合流する形になった。そして、黒ドラが咆哮からのブレス攻撃を赤ドラを攻撃していた大和隊の前衛に向けて仕掛けてきた。魔法で攻撃するか、大和のメンバーを助けるか判断を迫られている中、黒ドラは狡猾だった。ブレス攻撃は単純に探索者たちに向けてではなく、探索者の居る場所の天井に向けて放たれたのだ。


「撤退! 出口までもどれ!」


 そんな声が何か所かで起こる。

 俺は黒ドラの口を強引に塞ごうとしてサイコキネシスを発動させるが、一歩遅かった。その瞬間、俺の目に大空洞の天井から巨大な岩が落ちてくるのが目に入った。


戦闘描写って難しいですね。

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― 新着の感想 ―
Lv500ってことを隠すためにフィジカルは使わないだろうし、メインである火は威力を抑えないといけないから辛いね。アークドラゴンも鱗があるから燃えにくいだろうし、生命力も高いだろうからもっときついね。
全力出せるならフレイヤが善戦しそうだけど、崩落の危険があるから厳しいですねぇ…… これは笹木が活躍しますね!……どの笹木だ?
Lv500 弱くない?
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