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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第4章 宿の主人になった日

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第1話 エバーヴェイルと打ち上げ

4章が始まりました。

 ギルドイベントの3日後、エバーヴェイルは初めて全員集まって食事をしていた。

 実はギルドイベントが開始される頃、ドッペルゲンガーがLv3に上がって、俺…本人と俺2フレイヤ、俺3ひより、俺4メルと言った布陣が成り立ったのだ。

 ここにマナと南さん、そして、金子さんが加わっている。場所はクランベースの事務エリアで、配達してもらった料理やドリンクにてパーティを行っている。

 7人いるのに4人が俺という変な状況だが、各々が楽しんでいて一見すれば女性が多い華やかな会に見えるだろう。


 ところで、ギルドイベント後、俺2号に関しては一度ドッペルゲンガーを解除してみた。検証としてドッペルゲンガーが1か月も保持できることが分かったからだ。戻った時に経験した情報などが俺に統合されることが分かってはいたが、多くの経験をしていてびっくりした。俺2号は思った以上にフレイヤとして女子生活をしていた。名古屋駅近くの高級エステの会員になっていて結構通っていたし、お気に入りの美容室やスパなんかも見つけていた。そういえば、ネイルも始めたようだ。

 俺も今度、高級エステにフレイヤとして行ってみようと思う。あれは気持ちよかった。


「ガームドさんは今頃ドイツに着いた頃ですかね?」


 マナが南さんに訊くと、南さんがスマホを確認する。


「そうですね。空港に着く頃かと思います。いろいろ急に進めたから奥さんに説明に行かないといけないって慌ててましたね」


 南さんが苦笑する。


「そういえばガームドさんが企画してくれた笹木小次郎の半生っていうドキュメンタリの撮影が決まりました。面白いですよね。架空の博士が研究してきた足跡をたどるって。それってもはやフィクションですよ」


 金子さんが笑う。


「あれかー。びっくりしたわ。笹木くんの老けた姿、俺の親父だって言っても通じるくらいだったな。しかし、そこまで警戒しないといけないもんなのか?」


 南さんがグラスを傾けながらその疑問に答える。

「笹木さんは時の人です。笹木小次郎博士の仮面がないと、すぐに攫われちゃいます。ランクをSくらいまで上げていただければ別ですけど」


 南さんにはダンジョン経験がなく弱いと思われている俺だから仕方がない。フレイヤ、メルでダンジョンに行ってもらうと経験値が溜まっていくシステムがあるからレベルはすでに100を超えている。

 それに、更に言うと、以前スキル書を合成した際に、いくつか新しいスキルを獲得している。



 ◇笹木小次郎

 レベル106

 HP:1908/1908

 MP:2831/2831

 称号:ダンジョンスレイヤー

 ユニークスキル: アバター▼

          アバタースロット1(フレイヤ・リネア・ヴィンテル)

          アバタースロット2(金城メル) 

          アバタースロット3(ハヤト)

 スキル:ストーンスキン

     レビテート

     ドッペルゲンガー Lv.3

     エイジファントム

     回復強化

     防御強化

     体術

     変装

     隠密

     危険察知



 回復や防御、体術なんかは立ち回りに結構影響するだろう。そして変装というのを使うとメイクが巧くなるというのが分かった。別人になるレベルでの変装ではないが、フレイヤなんかは上手に利用しているようだ。おかげで出かけるときに騒がれなくなったらしい。隠密や危険察知については、いざというときに逃げるにはうってつけだ。


「ひよりは研究すすんでるのか?」

「所長でしょ? なんで把握してないのさ」


 ひよりは元の未成年のひよりだ。


「仕方ないだろ? こっちはドキュメンタリの準備とか忙しかったんだから」


 そういうと口をとがらせるひより。


「僕も試作機の重量と容量についての拡大実験をずーっとやってるんだからね?

 実験は調子いいよ。ガームドさんと通販みたいに物の購入なんかもできるようにインターフェースを作ろうとか、そんな話をしているよ。

 でも、早くいってほしかったな。ガームドさんは、僕と小次郎の正体をちゃんと知ってるんだもん。MPも使ってたから休み休みしないといけなかったんだよ」


 ガームドさんは俺とひよりの年齢を知っていて、笹木博士とひより助手の茶番に付き合ってたというのがギルドイベンド前に分かったのだ。秘密を共有する相手としては、こんなに心強い人はいない。魔道具の分野の第一人者なのは間違いないが、一流の探索者でもあって相当強いらしい。戦斧の鬼神なんて名前で呼ばれているとか聞いた。

 と、そこでメルが尋ねてくる。


「これ食べちゃっていいの? 誰も手をつけないの」


 メルがペパロニピザを指さしている。


「いいんじゃないか? 気にせず食べればいいよ」


 俺がそう答えると、「ありがとなの」と言いながら、瞬く間にピザ1枚が消えようとしている。


「このワインおいしいわ」


 フレイヤはワインが好きらしく、グラスですでに何杯か飲み干している。


「フレイヤ、こっちのチーズと一緒に飲むとおいしいですよ」


 マナは相変わらずフレイヤと仲がいい。


「こりゃうまいな。どこの地酒だ?」


 金子さんが日本酒をあけている。その隣でリンゴジュースを飲んでいるメル。この2人も縁が深いからか、よく話す。メルは、次はおにぎりを食べている。炭水化物好きだな。


「ひよりちゃん、ちゃんと寝てますか?」


 南さんがひよりにぐっと寄って首をかしげる。


「えーと、僕ってあまり寝なくても若いからさ…大丈夫だったり」


 南さんがため息をつく。


「ちゃんと寝ないとダメってあれほど言ったのに。今日は、この懇親会の後、早めに寝てくださいね」


 釘をさされてひよりが頷く。


「ガームドさんが居たら、それこそ寝食を忘れて作業に没頭しちゃいますから、休むのは今のうちです」


 確かにそうだなと思う。ガームドさんが言い出した魔装開発局の支部が下の階に作られるらしいが、そうなると毎日来そうな気がする。

 そんな話をしているとマナが近づいてきていた。


「あ、こじにー。フレイヤとあたしとメルちゃんなんですけど、E&Sのイベントにまた出てほしいってお願いがあって、ちょっと行こうかなって思ってるんだけど、こじにーも一緒にいきますか? おじいさん姿でも良いと思うけど」

「そうだなー、笹木じいさんモードではあまり出歩かないことにしているから、変装使って手伝いのスタッフ的な感じでついていこうかな。あ、でも、レベルあげも頑張るって言ってなかったっけ?」


 マナはちゃんと分かってるという風に親指を立てる。


「もちろん。配信も兼ねて名古屋ダンジョンを下に進んでいく予定ですよ。エバーヴェイルちゃんねるも、PicPacもフォロワー数がいっぱい増えたから、サービスしてあげないと」

 

 そんなわけでギルドイベント後の親睦会は夜遅くまで続いた。


アバター追加よりも先にドッペルゲンガーが先にレベルが上がりました。

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― 新着の感想 ―
>この2人も縁が深いからか、よく話す。 メルは金子さんに胸キュンしてるから小次郎の知らないところで 親しくなってる可能性もありますね
4章開始で4人か。 5章で5人かな
ドッペルゲンガーだし、フレイヤ1号2号3号とか同時出現は可能なのかな? 笹木は可能っぽいし。
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