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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第3章 魔道具師になった日

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第23話 笹木博士とひより女史

本番のステージです!

 展示場の中に大規模なステージが組んである。黒のステージに数多くの照明がたかれており、背後には巨大なスクリーンが設置してある。そこでは、ギルドからの技術発表だけでなく、協賛企業や国からの発表なんかも行われる。その中で、一際混み合っているのが、魔装開発局の発表だ。元々は日本ギルドの発表項目に含まれていたのだが、なぜかプログラムが急遽変更になり、魔装開発局とセットでの発表となった。まずは、エバーヴェイルからの発表という順番だ。

 舞台では司会の男性が声を張り上げる。


「それではお待たせしました! 魔装開発局のお時間です! まずは、最近、魔装開発局と協力関係を結んだという日本の新進気鋭クラン、エバーヴェイルからの発表があります!

 みなさん、盛大な拍手をお願いします。エバーヴェイル代表でダンジョン研究者である笹木小次郎博士、魔道具師である隼人ひよりさん、そして、皆さんご存じの方も多いでしょう、炎の魔女フレイヤさんです!」


 その声に老人と女性2人が舞台に上がってくる。割れんばかりの拍手がその3人を迎える。


「みなさん、こんにちは。ご紹介ありがとうございます。えー、私がエバーヴェイルの代表である笹木…小次郎ともうします」


 老人らしくゆっくりと笹木がお辞儀をする。


「そして、こちらが、魔道具師で助手の隼人ひよりと、炎の魔女ことフレイヤです。フレイヤはこの老いぼれのアシスタントとして来てくれました」


 簡単にいうと護衛ということだろう。ひよりとフレイヤは観客席に向かってお辞儀をすると拍手がまた巻き起こる。


「では、本日の一つ目の報告をいたしましょうかのう。私が長年の研究の末、発見することができたスキル書の合成方法についてご説明しますじゃ。2つのスキル書を使って1つの強いスキル書を作り出す合成の方法ですじゃ」


 その言葉に一瞬静寂が起こり、そして喧噪が戻ってくる。そこで、司会が声をあげる。


「それが本当ならば驚愕すべき事実ですよ!」


 司会が観客席に同意を求めるように見渡す。台本通りの動きだ。


「そうですな。これは常識をひっくり返す発見ですが、誰もが可能なことなので、みなさんに知ってもらうためにここで発表しようとまいった次第です」


 笹木がそこで咳ばらいを1つ。スクリーンに映し出されたのは、イメージ映像。ステータス画面が映っている。



「みなさんの手元にスキル書が2つあれば試すことができるのじゃが、そんな都合のよいことはないですな。そういうわけで用意した映像をみてください」


 その映像は同じスキル書を持ってステータス画面が開き、合成の実施を確認する画面が現れたところを映している。実際にはカメラには捉えられないのでCGで作ったものだ。

 しかし、その映像の中でスキル書を開いて合成する様を実際の映像で捉えている。映っているスキル書が確かに1つのスキル書に合成されていった。


「いまいち、信用できないと思われるかと思ったのでね。こちらにスキル書を用意してみたんじゃ。では、そうじゃな。司会のあんた、ちょっとあれをもってみなさい。フレイヤや、もってきてくれるかの」


 そこでフレイヤが動く。ステージ脇に置いてあったスキル書を胸に抱いてゆっくりと司会に歩み寄り渡す。このスキル書は痛み耐性だ。すこーしだけ痛みに強くなるというパッシブ系のスキル書で、割とドロップ率も高い。それを2つ持った司会は、


「でました。スキル合成の画面みたいなのが!」


 司会者の驚きの表情がスクリーンにも映し出されるが、そのステータス画面が他人からは見えないのがもどかしい。


「これは試してもらわねばわからんが、研究の末、こうした事ができることが判明した。大いに活用してほしい」


 その言葉に司会が質問をする。


「どうやってこんなものを見つけたんですか?」

「そうじゃのう、時間をかけて色々試した結果ですな」


 会場はテレビやネットで中継されているため、この情報は世界を駆け巡っただろう。

 その話が終わり、笹木は用意してあった椅子に座る。




「ありがとうございました。驚愕の発表が行われましたが、みなさん、試せますか? なかなか居ないと思いますが、確認してみてください。必ず合成画面はでますから。

 では、次に、魔装開発局からの発表を続けたいと思います。なんと、ガームド局長自ら発表にきてくださいました。では、お呼びしましょう」


 ステージ脇からテンションの高いドイツ人男性がやってくる。そして、笹木、フレイヤ、最後にひよりに長く強い握手をかわしていく。


「日本のみなさんこんにちは。ガームドです」

「ガームド局長、よくお越しくださいました。来日後は名古屋にいらっしゃったと聞いていますが、名古屋はいかがでしたか?」

「ええ、名古屋は良いところですね。もう、マンションの契約をしてしまおうかと思うくらいです」


 観客席から笑いが起こるが、本当に契約しているからガームド局長おそるべしである。


「では、本日の発表をお願いします」


 司会はガームドに全権渡すようだ。ガームドが手を上げると、ステージにレーザーが降り注ぎ、ステージの巨大スクリーンの映像が変わり、ダンジョンガイダンスの影絵が映し出される。そして、そのダンジョンガイダンスの影絵にネット通販のような画面が吸収されていくという演出が行われる。見ているだけでは、理解はできないだろう。観客席はざわめいている。


「探索者のみなさん。ダンジョンに潜った時、持ち帰れないドロップ品を捨てたことはありませんか?」


 あるあるだろう。観客の中にいる探索者が数多くうなずいている。


「探索者のみなさん。物資がなくなって仕方なく目的地目前で引き返したことはありませんか?」


 また多数が頷く。


「そんな皆さんに、ダンジョンガイダンス 行商人モードの追加によってダンジョン攻略がより一層楽になるでしょう」


 みんなの頭にその言葉が浸透しはじめると、ざわめきが巨大になっていった。


「もうみなさんはダンジョン奥地で物資不足や持ち帰れないアイテムで溢れることがなくなるのです。さぁ、新たなダンジョン攻略の幕開けです!」


 長身のガームドさんが手を振り上げると、探索者から雄たけびがあがって会場が揺れるほどの盛り上がりを見せる。


「今日はこの新たなダンジョンガイダンスの開発を予告する場となります。そして、このすばらしい技術を提供してくれた美しき日本女性で、魔道具の精通者、隼人ひより先生の紹介を行います!」


 ガームド局長がひよりを前に立つように促す。


「彼女がコア技術である亜空間通信と亜空間収納を接続する技術を開発しました。これは、前人未踏の発見かつ人類を新たなステージに運ぶ初目に他なりません」


 ガームドの発言に熱がこもる。


「ぜひお言葉を」

「みなさん。はじめまして、エバーヴェイルで魔道具師をしております隼人ひよりと申します。笹木博士と共に長年研究をしてきましたが、今回、ダンジョン攻略に有効なシステムの開発に着手できることを光栄に思います。みなさん、完成を心待ちにしておいてくださいね。では、少し技術について説明いたしますね」


 首を傾げたことでひよりの伊達メガネが光る。カメラのフラッシュが多数炊かれてまぶしい限りだ。スクリーンにいくつかの資料が映し出され、大事なところは分からないようにしながらも、今回実現する技術について一般人が分かる内容に落とし込んで説明してくれる。

 そして、再びガームド局長が話始める。


「ありがとうございます。先生」


 丁寧に握手をする2人。


「そして、もう一つ発表があります。今回の開発を機に、魔装開発局は包括的な契約によりエバーヴェイルと開発パートナーとなることが決まりました」


 これは観客席というよりはプレスと来賓席で絶句しているものが多い。魔装開発局のパートナーと言えば、株式会社であれば株価の暴騰が確実なニュースだ。政治的にいえば、国際的な配慮を必要とする団体となるわけで、簡単に言えば、日本ギルドとのヒエラルキーが逆転してしまったことを意味した。


いかがでしたでしょうか。

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― 新着の感想 ―
合成に必要な魔力が足りない場合、合成のダイアログが表示されない件は、ちゃんと周知しておかないと混乱を招くのでは? まぁ別途告知ページとか作成して、そちらで書くのかもしれませんが、動画しかみない人も多い…
じゃ自体にですという意味があるので標準語としては間違いですけど、中国・四国の方言なら一応あるみたいです。
「〜なの」て語尾は普通ないよと言っている人がおりますが、「へーそうなの」「そうなの?」という会話を見聞きしたことのある私としては普通のことなんですよね。 私の周囲には「〜なの」という言葉を普通に使う人…
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