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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第3章 魔道具師になった日

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第8話 フレイヤと魔道具師

すごーく悩んだ3キャラ目。でます!

 最前線に応援に行った俺2号がボロボロで帰ってきた。生理による不調で、途中意識を失うなど散々だったらしい。でも、気になるのはペルソナが戦闘を継続してボスを倒したことだ。また新しい発見が出来たと喜んでたら、ひどく機嫌が悪かったな。まぁ、疲れもあったのだろう。メルの魔法で回復した後は、風呂にゆっくり浸かると言っていた。差し入れなんかも買っているから、それで機嫌をとるかな。自分なのに面倒なものだ。

長くなったが、そういうわけで今は一人で部屋にいる。

 フレイヤが頑張ったおかげだろう。いま、俺のレベルが202になっており、さらに予想していたが、アバタースロット3が発生していた。


ステータス画面から新規追加を選択すると、アバターの候補が出てくる。



『こちらの中から選択してください』


『魔道具師 ハヤト レベル200』

『観測者  フラム レベル200』

『採掘師  ガルガド レベル200』


 レベル100の選択肢が消えて、新たな選択肢が出てきた。俺は目当ての魔道具師ハヤトがあるのを確認して思わずガッツポーズをする。


 俺の設定では、ハヤトはダンジョン人だ。フレイヤがこちらの世界に来る技術を提供したのも彼になる。フレイヤよりも先に地球に根付き、家族も作ったというのがハヤトのストーリーだ。ハヤトは魔道具の実験で話半ばで死んでしまうが、その家族とも主人公は交流があって、度々手助けをしていた。

 最後にダンジョン人の世界に乗り込んだ時は彼の魔道具の力を借りたわけで、それも家族から託された。


 ちなみに観測者フラムは地球のダンジョンの暴走を防ぐためにフレイヤを送り込んだ組織の1人だ。観測者というのは役職みたいなもので、他の世界から地球を監視する仕事だ。


 そして、採掘師ガルガドは、フレイヤの組織が必要とする素材を集めた功労者だ。採掘が得意なだけではなく、戦闘もできるキャラだ。


 しかし、彼らは、割とフレーバーで設定としては作り込んでは居ないはずだが。まぁ、そんなことはいいだろう。ハヤトがいれば、いろんな魔道具が作れるだろう。


 そして、俺はハヤトを選んだ。すると、スロットにハヤトが追加された。ハヤトは歳の頃なら50歳くらいのおじさんだったはず。まぁ、そういうアバターも居てもいいよね。


「アバター、ハヤト」


 そして現れたのは子供だった。12、3歳の男の子?

 姿見に映ったのは、頭にゴーグルを乗せていて、短い髪に大きめの長袖長ズボンに厚手のエプロンを付けた子供だった。顔立ちは整っていて、凛々しいというよりは、可愛らしいと言える。いや、冷静にそんなことを分析してどうする。


「なんでハヤトじゃない!?」


 そう言った俺の声は高く少女のようで、まだ声変わりもしていない。そして、体を見回す。


「女の子みたいな手だな」


 そこまで言って思い当たる。ハヤトって、苗字だった。そして俺は胸と股に手を当てた。厚手のエプロンがごわごわしていて分かりにくいがそれが判明する。間違いなく女の子だ。そう見ると、12,3歳よりも歳は上だか、15歳には行ってないだろう。


「ひよりだ! これ、ハヤトの娘のひよりじゃ無いか!」


 やっと思い出す。ハヤトにくっついて魔道具を作っていた娘。魔道具師のクランに小さい頃から入り、遺憾無く才能を発揮していたが、妬みによるイジメにあってしまう。そこで男の格好で、肩肘張って生きていたという設定の娘だ。まさか、今回のアバターって全部屋号とか、そういうの!? ハヤトは、隼人が建てた工房の名前だ。たしかにフラムは世襲制で12代の設定だし、ガルガドは親方に認められると与えられる名前だ。あぁ、そういう可能性もあったか…。設定集を実家から掘り出してくるか?

 ひとまず、ペルソナを起動して喋ってみる。


「僕は隼人ひより。工房に性別なんて関係ないだろ?」


 確か、こういう喋り方だ。僕っ子で、魔道具マニアで一流の魔道具師。男になりたいわけではなく、女だと舐められると思い男の格好をして肩肘張っている、そんな女の子だ。

 あー、なんか思い出してきたな。親父のハヤトに比べれば知識は劣るが、魔道具開発の才能は親父に匹敵する。俺の設定がちゃんと反映されているならば、相当心強い。

 何をまずしようか。


「僕は魔道具師さ。何か作ってあげようか?」


 ペルソナを起動していると、そんな言葉が出てくる。こうして、俺のアバターに魔道具師が加わった。

 俺はその足で、いろいろ買い取った使途不明なアイテムが置いてある工房エリアに行ってみる。

 そこには以前、転送機の材料だとフレイヤが言ったアイテムが置いてある。それをひよりが見れば何かが起こるかもしれない。


「これは転送機の材料みたいだね」


 フレイヤの発言と一致する。次に、隣にあった黒いキューブを手に取る。


「これは、マジックバッグの材料、そうだね。ここにあるものだけで、最小容量のマジックバッグは作れるよ」


 知識チートで希少価値の高いマジックバッグを量産か。いいね。


「転送機は部品が足りないね。集めてこないといけない素材なんかも結構あるよ?

 あと、この世界にあるもので部品の代用はできるけど、作るのには設備も人手も必要だね」


 ひより1人だと厳しいのだろうか。


「時間はかかるけどさ、試作はできると思うよ」


 俺は考える。すぐに作れるマジックバッグか、時間がかかる転送機に着手するか悩む。そこで、思い出す。

 今朝、オーブマシナリに見学に行ってきたわけだが、そこで魔道具に使いやすいように鉱物を加工する機械や、精密な文様を入れるための装置などを見学してきた。魔道具と言っても、電気をうまく使ったりして行っている製品もあった。


「オーブマシナリというところと開発すれば、試作も早くできるかもね」


 よーし、南さんに買収話をまとめてもらおう。その時、背後から気配がする。


「あら。あなたは誰かしら?」


 フレイヤだった。風呂上がりでパジャマ姿だ。


「フレイヤさん! 僕ですよ、ハヤトの名前を継いだひよりです!」


 ペルソナがフレイヤに挨拶をする。設定で2人は知り合いだったな。話が進まない気がするので、ペルソナを切る。


「ペルソナを切った。これは、3人目のアバター、隼人ひよりさ。今のこの世界で一、二を争う魔道具師さ」

「やはりアバターなのね。次のスロットが開いたわね?」


 フレイヤの問いを肯定する。フレイヤが俺の姿、ひよりの体を上から下まで眺めていく。


「可愛いんだから、もっとおしゃれしてもいいのに。マナに見つかったら、きっと着せ替え人形になるわね。フフ」


 ありそう。しかし、クランに所属させるからには、マナとの交流は不可避だ。素材がいいから、きっと可愛くなるだろう。ひよりのペルソナは望まないかもしれないが。


「さて、マジックバッグが早速作れるけどさ。作ってみる?」


 そう尋ねるとフレイヤは首を横に振り、腕組みをする。


「わたくしは休むわ。明日、出来たものを見せてもらえれば、それでいいわよ? できるわよね?」


 なんかトゲがあるー。まだ、怒ってるのか? 俺2号よ。

 しかし、一応作れそうだから作るか。俺はそこから久々の徹夜作業に取り掛かった。


フレイヤさんの機嫌はまだ直らない。

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― 新着の感想 ―
まぁ生理なんて男なんだから実感ないしわかるわけないってなるのはしゃあないとして 体調崩してぶっ倒れた時の第一声があれは根に持たれるよな
お前もフレイヤの状態で生理を体験すればそんなこと言えなくなるぞ?
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