第15話 メルとマナ
いよいよストックがなくなってきました。
週末にどかっと書くしか無いですね!
引っ越しが決まった翌日、メルとマナは二人で会うことになっていた。フレイヤは実家に戻って荷物を整理するとか。小次郎も引っ越しの準備だそうだ。そんな中で、仕方なくメルとマナは2人きりで対面することとなった…とマナは思っているだろう。クランベースの外で初対面だ。ただし、小次郎からメルのおかれている状況は共有済みだ。
「はじめまして、あたしは須藤 愛美と言います。マナって呼んでくださいね」
「金城メルなの。メルと呼んでなの」
ペルソナを使ってボロが出ないようにする。ペルソナ先生おねがいします。
「メルちゃんでいいですか?」
「敬語もいらないの」
そういうと少しためらったようだが、マナが一息吐く。
「わかった。メルちゃん、これでいい? 映像では見たんだけど、髪長くて綺麗。衣装も素敵」
「ありがとなの。今日よかったらメルと一緒にダンジョンに潜ってほしいの」
「え、いいけど、2人? あたしだけで大丈夫かな、ちゃんと守れるか心配」
マナが弱音を吐くが、その辺は予測済みだ。
「大丈夫なの。助っ人を呼んでおいたの。そろそろ来るの」
ちょうど時間になった。俺が事前に呼んでおいたのは、辰巳夫妻の軟禁のために一人で暇になってしまった金子さんだ。
「よー。すごい場所にクランの拠点があるんだな。おどろきだ」
金子さんはクランベースを見て感心している。そうだろう、そうだろう。
「あ、混沌の災禍の方ですね。マナです、よろしくお願いします。」
マナが挨拶をする。
「あぁ、礼儀正しいな。金子という、よろしくな。メルの嬢ちゃんには世話になったから手伝いに来たんだが、この3人で潜る感じか?」
金子さんが後ろ頭をかきながら聞いてくる。
「そのつもりなの。辰巳さんたちが探索に行けないのは、メルのせいでもあるの」
そう、軟禁の原因は、幸子さんを若返らせた件。
「いやいや、あいつら、喜んでたぞ。年甲斐もなく…。まぁ、その話はいいや。ところで、潜るんだろ? どこにいく?」
「今日はマナにメルのスキルを見せてあげるの」
「そういうことか。じゃあ、ほどほどなところに行けばいいな」
金子さんが思案している。ほどほどってどこだろう。
「あの、そういうことなら、配信してもいいですか? 最近、配信がなくって、待ち遠しいっていうファンの方が多いんです」
誰も反対がいないため、配信することとなった。マナは休み中に色々な動画を見て研究したらしい。ちなみに、ダンジョンガイダンスは、すでにリースではなく購入しており、エバーヴェイル専用機ができている。
金子さんが連れて行ってくれたのは、8層のレッドスライムだ。湧きは遅いが、酸による状態異常が危険なモンスターだ。
「ほどほど?」
マナが若干引いている。レッドスライムは、剣士にとっては厄介だ。まずはその大きさ。ドラム缶サイズのボデーの中に核が見えるが、そこに達するまでの斬撃を加えるにはかなりの腕と腕力が必要だ。
「ほどほどさ。動きは遅いから、狙ってやれば難しくない」
それ、金子さんが強いっていう話じゃないのか? あ、この人、弓の人だった。
「でも、剣なので」
マナが自分の剣を出す。この前、フレイヤがあげたミスリルの剣を使っている。ちなみにミスリルは組成としては銀に近いが、魔素の含有量が高く、強度が上がっている不思議金属だ。
「辰巳の奴は、突きで倒してたぞ。斬ろうとすると刃先がスライムの粗密な構造のせいでぶれるんだと。そんなわけで、突いてみよう」
マナが分かりましたと一言、レッドスライムに駆け寄るとミスリルの剣で突きを入れる。思った以上にうまくいき、核を破壊し、レッドスライムは崩壊する。
「やった! やりました」
マナがぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。
「筋がいいじゃないか」
金子さんに褒められて尚嬉しそうだ。
「では、配信しましょうか。あたしが挨拶するので、メルちゃんと金子さんも何か一言言ってくださいね」
マナが無茶ぶりをするが、金子さんは「おう」と一言発して、カメラ目線になる。カメラ慣れしてる?
「わかったの」
メルも返事をすると、マナがダンジョンガイダンスに合図を送る。
「こんにちはー、エバーヴェイルちゃんねるにようこそー。名前が変わった? そうなんです、実は新加入のメルちゃんがいるので名前を変更しましたー、はくしゅー」
マナがパチパチと手をたたくので、合わせて手をたたく。金子さんも手をたたいている。
「今日きてくれたのは、エバーヴェイルに新加入してくれたメルちゃんと、今日は応援で着てくれた混沌の災禍の金子さんです! フレイヤはお引越しの準備でお休みです!」
メルはすでに名前が色々バレているのでメルで通すこととなっている。金子さんも割と有名人らしく金子さんでいいとのことだ。後で聞いたら、金子さんはテレビ出演の経験もあったんだとか。
コメント欄では、フレイヤの引っ越しについて質問が飛ぶ。
「クランの拠点を作ったので、そちらにお引越しです。では、はい、メルちゃんから挨拶おねがいします」
マナが振ってきたのでカメラ目線であいさつする。
「メルなの。先日エバーヴェイルに加入したの。よろしくなの」
そういうとペコリとお辞儀をする。早速だが、接続数が上がってきた。
──視聴者数:16,056/スパチャ総額:¥0
¥30,000 ◆ショータロ王:おおおー、これまた可愛い! よろしくー! みんなのお兄ちゃん、ショータロ王だよ! あ、お兄ちゃんっていってもらってもいいですか?
「いきなり、ハードル高い~~」
マナがコメントに答えるが、メルでがんばってみようか。恥ずかしがり屋のメルってことで。
「ショータロおにいちゃん…」
声が先細りになっていきながら、視線もそらす。いい感じじゃないか?
¥60,000 ◆ショータロ王:ぐはっ! なんて妹属性、ありがとうございます!!
¥40,000 ◆パンダ皇帝:すばらしい。くるりと回ってもらってもいいですか? 服がすごく凝っていていいね。ところで、どこかで見たような?
ご要望に応えてくるりと回ると、ワンピースが少しひらめく。すごい勢いでコメントが流れたようだ。
「さあさ、次のあいさつにいきますよー。金子さんお願いします」
金子さんは弓を掲げる。
「破滅の災禍の金子だ。弓使いをなめちゃいけないぜ?」
いい年のおじさんがよくやるなぁ。だが、細身眼鏡の渋さで何らかの需要があるかもしれない。コメントが流れていく。
¥20,000 ◆みつえ:す・て・き
──視聴者数:75,056/スパチャ総額:¥185,000
スパチャ飛んできた。マナが、一瞬固まるが、スパチャに礼を言ってから次の進行に入る。強い。配信者としてのレベルが上がっている。
「今日は、名古屋ダンジョン8層にいるレッドスライムを倒しに来ました。
あたしが前衛で金子さんが後衛、メルちゃんが支援という形で行きたいとおもいます」
そういうと手近なレッドスライムに剣を突き刺す。あっさりと核を突き刺すように見えるが、難しいはずだ。マナの剣技が上達している証拠といえる。
¥40,000 ◆みつえ:いま気づいたけど、美容の聖女様じゃない!? あの、若返りたい!です!
¥30,000 ◆カナリア :聖女さま! 二十歳に若返らせて~~~~
メルに気づいた視聴者が出始める。
「スパチャありがとーございます。若返りの話は名古屋ギルドを通して連絡をおねがいしまーす」
そう、こういう使い方ができるからエージェント契約が役に立つ。
「次々いきますよー」
マナはレッドスライムの群生地に入っていく。
「マナの嬢ちゃん、ちょっと入り込みすぎだ」
金子さんが呼び掛けた時には、地面にあるレッドスライムの粘液に足をとられて転倒してしまう。ドロドロのヌメヌメな感じになったマナ。コメント欄が荒ぶる。
¥50,000 ◆:ダージャン:ローション風呂みたいになっとるww 卑猥wwww
マナは足元がヌメヌメしてなかなか立てないようだ。
そのうち、レッドスライムが寄ってくる。金子さんが援護しようとするが、射線に入っているようで手が出せない。
「きゃっ、何か吐いてきた!」
「酸だ。触らないようにしろ」
すかさず魔法をかける。
「ミレイズ::グレイス」
これは、状態異常も防ぐため、酸も防げるはずだ。俺は、杖をもってマナのところに向かう。
「えい」
メルの腕力は割と高い。杖を突き入れてレッドスライムの核を壊していく。
「ありがとー、メルちゃん」
「いいの。大丈夫なの?」
手を貸すとマナが立ち上がる。その時、事故が起こった。着ていた軽鎧の留め具が壊れたのだ。酸に弱い素材だったようだ。鎧の前がベロンと外れる。すると、中からは下着ではなく水着が現れる。皮の鎧だから結構蒸れるため、いつも水着を着ているマナ。ちなみにビキニだったりする。それを見た視聴者は盛大に沸き立った。
──視聴者数:178,980/スパチャ総額:¥325,000
いかがですか?
みなさん、装備のメンテ、ちゃんとしてますか?




