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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第1章 魔女になった日

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第20話 ギルドと不動産探し

ギルド回です。

 ここは名古屋ダンジョンのあるハイランドスクエア内、ギルド名古屋支部長の部屋。

 中では、名古屋支部長である天白あましろ 賢治けんじが受付嬢と対面していた。


「南くん、話はフレイヤさんについてだ。

 彼女、フレイヤさんが魔法の巧者であり、大量の魔石、スキル書の取得に貢献していることは知っていると思う」

「はい、何度か私が受付させていただきました」


 その受付嬢は、よくフレイヤの受付をしているみなみ 菜穂なおという女性だ。最初にギルド申請を受理したのも彼女だったりする。


「そうだね。彼女が属するクラン、パーティ、エバーヴェイルについても君が対応している。確か、笹木小次郎という男性が代表となっている」


 南はようやく話が見えてきた。隆盛を誇るクランやパーティ、個人が出てくると、その方たちへのサポートなどを手厚くするのだ。


「君は偶然とはいえ、フレイヤさん、エバーヴェイル、笹木小次郎との接点が多い。そのため、君をエバーヴェイルの専属としたいと考えている」


 やはりそうきたかと南は思う。


「はい、わかりました」


 受付嬢のステップアップとして、窓口業務からクラン窓口などの渉外担当に近い業務へ行くのはよくあるコースだ。そこで、天白が書類を提示する。


「僕は、エバーヴェイルが価値の高いクランになると考えている。スキル書の件、ストーンスキンのドロップ率だが、フレイヤさんが狩ると75%。しかし、他のパーティが狩ると、何と2%だ。これがどういうことかわかるかい?」


 受付嬢は、ピリッとした空気を感じる。天白自身は探索者からギルド側にスカウトされた人間であり、ダンジョンのことをよく知っている。さらに頭も切れるため、40代にして次期東海本部長だとも噂されている。


「強運の持ち主か。なにか方法があるか…だと思います」

「すばらしい。その二択だね。そして、僕は、何か方法、そうマジックの種が存在すると思っている。そして、それが本当だとすると、彼女はダンジョン側の人間と考えるとつじつまが合う」


 ダンジョン側の人間。ギルドで度々出るワードだ。あまりに貢献度が高い人間の場合、強運というには馬鹿らしくなるほど複雑な条件下で成果を上げたり、レアなアイテムなどを獲得するなど何らかのダンジョンの理についての理解があったのではないかと疑われることが多々ある。しかし、ギルドとしては、単独で莫大な成果を上げる探索者に対して、下手な刺激をすることは方針にはない。これは、ダンジョンの理を解する人物が、ダンジョンを作った側から送られた人物なのか、そのまた関係者なのかが分からないからだ。

 そのため、急峻な立ち上がりで成果を上げるルーキーには、初期から専属受付を作ることになっている。そうして、その人たちがどんな素性なのか、どんな素養があるのかを見極め、ギルドを通じて人類への貢献を促す。果ては、人類への裏切りがないかといった監視の目となることになる。


「すでにフレイヤさんのことは調べているが、彼女は全く素性が知れない。まるで、空中から湧いて出たかのような現れ方をしている」


 受付では不審な点はなかった。日本語が上手な外国人というよりは、日本で育てられた外国人というほうがしっくりくる。

 南もフレイヤの素性については受付嬢間で噂をしたものだ。まずは、その美貌。すっぴんで現れたというのに、ムダ毛が見当たらず、肌艶が半端ない。薄化粧じゃなく、すっぴんなのは見抜いたが、どうやってあれを保っているのかは不明だった。もし女スパイであれば、特殊な美容法などもあるのかもしれない。教えてほしいくらいだ。

 確率は低いがダンジョン人、もしくは、その関係者だとすれば、状況はかなり変わる。ギルドとしては、喉から手が出るほど情報が欲しい。民間と協力しているが、ダンジョン内の科学というのか現象などは謎が多い。通信ができるようになったのも、ある探索者の偶然の発見からといわれているが、その探索者には今でも監視の目がついているというのもあながち嘘ではないと思っている。



「そして、笹木小次郎についても調べたが、こちらは平凡。前職はダンジョンとは直接関係のない中小企業で働いていたが倒産し、Mu-tubeで活動していたらしい。これは見たが、ひどいものだったよ」

 そんな二人の接点が何かがつかめないということと、同じ部屋に住んでいることはすでに確認済みだということだけが報告書にあった。しかし、そこまで言って、調査は打ち止めと書かれていた。本当かどうかはわからないが。


「まぁ、あまり、深入りして心証を悪くするつもりはない。それよりも、名古屋ダンジョンに長く貢献してもらうこと、関東や関西に出し抜かれないようにしっかりと東海に根付かせることなども考えている。まず、そこでだ。まず君にはエバーヴェイルの新事務所兼居住が可能な不動産の調査が仕事として与えられる」

「え? 不動産ですか?」


 話のつながりが唐突になくなって南が聞き返す。


「笹木小次郎からギルドに対し相談があったんだ。クランの本拠地になるような物件を知らないかと。そういう小さな足がかりから、エバーヴェイルとの間に交流を生み、貸しとすることで、強固なつながりをつくろうじゃないか」



 早い話が、エバーヴェイルにサービスして、名古屋から出ていかないようにしろというのが指示だ。手始めに、かなり面倒な物件探しを仰せつかったことになる。


「ちなみに、専属にはインセンティブが支払われるので、給与体系が変わる。そのあたりは、人事から連絡がいくから確認しておいてくれ」


 そう言うと話が終わった。確か、専属になるとそのクランとの取引に関して、1%分のインセンティブが支払われる。その代わり、残業代がなくなるという話も聞いている。受付嬢としての安定から、いきなり営業職に回されたと考えた方がいい。

 ちなみに、渡された書類には、エバーヴェイルの連絡先として笹木の電話番号とメールアドレスが記載されていた。


「とりあえず、居住もできて、事務所にもなる場所を探すと…」



 先日見たネット記事の記者が怪しがるのも無理はない。ちなみに、南は地元出身なので土地勘もある。幼馴染が不動産屋に就職したことを思い出し、さっそくDINEで連絡を取った。


 その結果、金山、栄、名駅前、伏見に該当する物件が見つかった。どれも古い建物ではあるが、居住スペースと事務所の確保が可能だ。伏見以外はビルのフロア貸しだ。伏見はビル一棟となっている。


「月額家賃が400万円…。たかっ」


 しかし、フレイヤの稼ぎを前見たから思う。これくらいなら1日で稼ぐわと。

 この後、小次郎のメールに物件情報の営業と間違われて、数日放置された南のメールがあったそうな。


すこーしずつキャラが増えてきました。

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― 新着の感想 ―
そのうち全アバターとPT組めるようになったらいいな
>南 菜穂 南さんが受付から姿を消したら悲しむ冒険者も居そうですね ましてや小次郎のクランの専属担当となれば また嫉妬の渦が >これは見たが、ひどいものだったよ 小次郎に大ダメージ! ネット住民に見つ…
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