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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第7章 観測者になった日

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第7話 フレイヤと悪食

タイのリゾートにきました。

 俺はフレイヤ担当の俺2号。スタンピードについて南さんから話があった直後、メキシコから呼び戻したアリスと回復役としてメル、そして、お目付け役のジェシーの4人でやってきた。アリスとジェシーは、影子に変身すると仕事帰りのOL2人組という設定でラーメンを2人で食べていたらしい。


 メキシコから来た振りをして南さんにもあいさつをしたアリスとジェシーは、南さんから恐縮されて困っていた。そこからは、アリスが何往復もするということにして、各々がアリスになってタイのクラビに転移したのだった。


 そして、編成を整えると、タイのギルド職員と接触した。ギルド職員は、エバーヴェイルの大ファンらしく大層な歓迎を受けた。しかし、スタンピードが発生している中、騒ぐこともなく本題のスタンピードへの対応の話になる。現地時間で22時近くとなっており、ギルド内で疲労困憊で転がっている探索者が多数いる。


「ここは予定通り2手に分かれるか。おれとメルで探索者の支援。フレイヤとアリスが海底ダンジョンの破壊」


 前回、バミューダトライアングルの海底ダンジョンも攻略を目標にしていたが、『メッセンジャー』との交流もあり、スタンピードではなかったことから破壊まで至っていない。しかし、今回のタイのダンジョンは、沿岸部の岩礁地帯にある浅い位置にある海底ダンジョンで、破壊してしまってもいいとギルドは判断している。近隣のダンジョンボスを倒せるほどのクランが不在ということもあり、エバーヴェイルに依頼が回ってきた形だ。


「早く回復させにいくの」


 メルはギルド内に転がっている探索者をあらかた回復し終えている。


「パパ、メルのこと守ってよ」

「おいおい、何ならおれよりも強くなってるぞ? 消耗戦ならおれには勝ち目がない」


 ジェシーが肩をすくめる。


「今回がアビスヴォーカの罠とも限らないんだから、ちゃんと周囲の監視もしてね」

「わかってる。そちらも油断はするなよ」


 そして、メルに引っ張られるようにジェシーが出ていった。ギルド職員の人がついていくようだ。


「じゃあ、いこっか。フレイヤも油断しないでね」


 アリスが靴を履き替えている。最近買い換えた戦闘用のハイヒールだ。


「わかっているわ。ダンジョンは油断なく、全力で倒すようにするわ」


 俺の回答に満足したようで、アリスと手をつなぐ。


「あ、一工夫しておかないと」

「忘れていたわね」


 そして、俺たちは準備が終わるとリゾートダンジョンの中へと入っていき、件の海底ダンジョンへと転移したのだった。



 海底ダンジョンの入口から少し離れた位置。水が無い状態のところに俺、フレイヤとアリスが降り立つ。目の前には、入口に殺到する四足歩行の爬虫類型モンスターが5匹。イグアナに似ているが、その口からはチロチロと電撃が見えている。


「フレイムビット」


 突然現れたのはこちらだが対処する。30発くらい、フレイムビットを叩き込むと、こんがり焼ける。そして、消滅し、後には魔石が転がっている。


「そんなに強いわけじゃないわね」

「今の一発一発が、そこそこの威力があるからだよ」


 アリスが苦笑する。


「そうそう、南さんから配信をするようにって言われてたんだった。ダンジョンガイダンスで撮影するね。フレイヤが喋る?」

「アリスにお願いするわ」

「おっけー。あれ、でも、私ってメキシコにいるってことになってるんじゃなかったっけ。表向きに公表していないから大丈夫か。じゃあ、配信するね」



 ダンジョンガイダンスに配信開始の合図を送ると配信向けの映像が立ち上がる。最近、撮影中というのが分かりやすいインターフェースに更新されたんだった。

 フレイヤは撮影用のチューブトップにフレアスカートに短めのマント。アリスは民族衣装風の編み込みのウェイトレス衣装を着ている。


「エバーヴェイルチャンネル緊急配信です。題して、タイのダンジョンボス倒してみた!です!

 なんと、今日はタイのクラビリゾートに新たにできたダンジョンに来ています。できて早々のダンジョンなんですが、なんとスタンピードが発生しました。そこに応援に駆けつけた、私、戦うウェイトレスのアリスと、炎の魔女フレイヤがお届けします!」


 最近、配信をしていなかったのだが、すぐに100万人の接続数を超えてくる。そして、南さんが設定してくれていたアナウンスが入る。


 ◆本配信は現地の復旧に向けて寄付を募っております。ご協力ください◆


 今回のスパチャは、タイのクラビへの復旧に対して寄付という形が採られている。すでに、エバーヴェイルへの収入がうなぎ上りになりつつある中、スパチャの収入比率は低いものとなってきていたというのもある。


「このダンジョンは、有名なリゾートダンジョンではありません。新しく岩礁のある浅い海底にできたダンジョンです。なんと、我々2人でダンジョンボスを倒すことを目指しています」



 配信を開始してから、散発的に出てくるモンスターを狩りながら、奥へと進んでいった。1、2階層のボスモンスターは外に既に出て退治されたとも聞いている。浜辺の形が変わるくらい軍艦からの砲撃で倒したらしい。なかなか、無茶をするが、浜辺で対処しないと内陸がさらに被害を受けるから仕方がない。

 そして、3階層に行くと、巨大なモンスターが2体いる。大きな亀みたいなモンスターと蛇みたいなモンスターだ。4階層のボスモンスターも出てきているんだろうか。


「フレイヤ、これって階層ボス2体との2対2の対決だね」


 アリスが足踏みをして、ハイヒールをカツカツと鳴らす。


「じゃあ、硬そうなのをフレイヤ。長いのを私ってことでいい?」

「いいわよ」

「では、みなさん、しばらく観戦してね」


 アリスがダンジョンガイダンスに手を振るので、俺もにこやかに手を振る。スパチャが飛び交っているのが分かる。ちなみに今、メルのキャラが楽しそうに応援してくれている。

 アリスが蛇の背後?に回る。蛇は感覚が鋭いようで、そちらに鎌首をもたげる。


「亀を倒す方法、皆さん覚えているかしら?」


 スパチャまで使って共振というコメントがたくさん出てくる。今まで何度か亀型のモンスターをサイレゾネイトという魔法で共振現象という現象で自壊させてきたのを覚えてくれている様だ。


「では、いくわね」

 

 低い周波数から次第に揺らしていく。亀型モンスターは割と俊敏にこちらに向かってきた。口からはヘドロのようなものを吐き出す。かなり匂う。


「ちょっと離れてくださる?」


 俺はサイコキネシスも併用して亀を押さえつける。あまりに暴れるので、ひっくり返す。そして、共振する周波数にたどり着いたようだ。亀の甲羅が4つに割れる。あまり触りたくないし、炎で炙ると匂いがひどくなりそうなので、エナジードレインを鞭状にしたドレイン・ウィップを使ってMPを吸収していく。すると、次第に動きが緩慢になり、そして消滅していった。


「あっさり終わったわ。アリスは…」


 アリスの方を見ると、蛇が堅結びにされていて、頭にアリスのハイヒールが突き刺さっていた。そして、消滅していく。


「さすがフレイヤ。早いね」


 階層ボスとは言っても浅いダンジョンなので、そこまで強くないのだろう。そして、最下層に到達すると、3つ首の竜、トライヘッドドラゴンは居た。かなり広い洞窟の中、湖といえるレベルで広い水たまりがあり、そこに浮かんでいた。


「油断せずに、フレイヤやっちゃって。私は警戒しておくわ」


 日本で事前に話をしていたところだが、フレイヤの高火力で一気に倒すのが良いということになった。近づくと、丸のみにされてしまう危険もあるからだ。


「メルトショット・スフィア」


 俺は空中に100を超えるメルトを浮かべると、トライヘッドドラゴンの周囲に浮かべ、一斉に包み込むように砲撃した。メルトが水面に触れたのか、水蒸気爆発を起こす。水しぶきがこちらにも掛かってきて、髪も服も濡れてしまう。周囲が霧のようになって視界が失われている。


「フレイヤ。何か変。倒せてない」


 アリスの不安そうな言葉が聞こえた途端に、俺はアリスに突き飛ばされた。


ただで戦闘は終わりませんね。

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― 新着の感想 ―
良いぞ! これなら倒せたはずだ!(便乗)
南さんが「やったわね!」とか言ってそう
やったか!?(言ってみた)
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