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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第7章 観測者になった日

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第5話 フレイヤとエナジーボール

昼間の歓迎会からの二次会突入です。

 俺は俺2号でフレイヤを担当している。新たなアバターのフラムを入れて、歓迎会の2次会を名古屋ダンジョンで行おうということになった。中で騒ぐわけではなく、スキルについて試したいことがあるという話だ。俺1号というか笹木は、ずっとフラムのペルソナを継続しているようだ。ちなみに、名古屋ダンジョンの最前線は25階層まで進んでいる。これも、鉱山エリアの安全地帯のおかげだ。今、大和クランと海外のクランが幾つか名古屋ダンジョンを本拠地にしている。


 そして、俺たちが来たのは23階層だ。氷雪エリアでかなり寒く、間引きレベルではモンスターが狩られているが、あまり人気が無い。

 さっそくだが、ジェシーが安全地帯を作ってくれる。小さめの山小屋の外には、大き目の焚火が燃え盛っている。おかげで、近くは温かい。フレイヤは魔力特性のためか特に寒くない。そのため、ひよりは俺に抱き着いてくるし、アリスもくっついてきている。フラムは山小屋が珍しいらしく、そちらに入って暖を取っている。


「さぁ、2次会の会場だ。で、一体何をするんだ? 多少騒いでも、このエリアに人はいないぞ」


 ジェシーは寒さ対策にとウォッカを持ちだしてきている。


「もうパパー。フレイヤの魔力蓄積の魔法を作ろうっていう話だったでしょ。パーティじゃないわ」


 アリスが俺の背中を守りながらジェシーに突っ込む。ひよりは俺の前を守っている。柔らかい。


「あー、そうだった。ラビリンス・ドリフトの燃料にする魔法か」


 以前、ひよりが考えがあると言っていた内容だ。アリスのラビリンス・ドリフトを継続して使う場合、MPの問題で月まで到達できない。途中で放り出されたら、さすがに宇宙の藻屑になるだろう。しかし、フレイヤのMP単独では、月に到達できない。そこで、MPをバックアップするような魔法について実験をするのだ。安全地帯から少し離れて、実験を開始した。


「少し暖かくなってきた。ありがと、フレイヤ」


 ひよりが体を離す。そして、端末を見せて説明を始めてくれる。


「フレイヤのエナジードレインは、まずエネルギーを吸収できる。そして、吸収したエネルギーを放出する。この間に何があるか? それはね、一度貯めておくという機能がこのスキルにはあるのさ。そこに留めておくことを練習してみればいけるはず」


 ひよりは動画にしてイメージをまとめてくれている。


「ここでエナジードレインのボールみたいなものをつくれる? 魔力を吸収した状態でMPがどれくらいあるか、計測できるよ。誤差はあるけどね」


 ひよりは、魔力を測れる魔道具を取り出して、設置している。


「これ? ガームドさんに借りた2億円の装置だよ」


 高っ! 


「ダンジョンのMPを吸収して、留める感じでやってみて」

「もう少し具体的な指示は無いのかしら?」

「大丈夫大丈夫。為せば成るって」


 ひよりが親指を立ててくる。理論派と精神論が両立しているのか、混在しているのかが分からないが、試しにやってみよう。


「こうかしら」


 俺はメルトにエナジードレインをくっつけた時の要領で、エナジードレインを球形にまとめてみる。メルトは使わないので、エナジードレインだけが形を成し、白い渦のようなものができる。


「MPが500くらいで止まっちゃうね。その大きさだと500くらいなのかもしれないね。もう少し魔力を圧縮するようなイメージで出来る?」


 俺は言われた通りにやってみる。そこで思い出す。ペルソナに対応してもらおう。ペルソナを起動すると俺よりもはるかに上手く、その白い渦が濁り始める。


「上がってきたよ。あ、いまペルソナ起動したよね。僕は誤魔化せないさ」


 ひよりが笑う。


「えーと、MPが5000まであがったね。じゃあ、そのまま留めることはできる?流出しないようにするようなイメージ」


 しかし、その濁り始めた渦がさらに黒くなっていく。


「MP吸収が止まってないね。MP7000まで上がってきたよ。一度中断しよっか。開放できる?」


 フレイヤはそれをゆっくりと開放しようとするが、上手くいかないようだ。


「すこし扱いが難しいわ」

「んー。じゃあ、それを遠くにサイコキネシスで投げられる? そうだね。あの遠いところにある氷の山にぶつける感じで」


 ひよりが指示を出してくるので、そうしてみる。MPの塊だったそれは、サイコキネシスによって弾丸のように5キロは離れた氷の山に突き刺さった。そして、その後、大きな爆発が起こる。炎を伴うような爆発ではなく、水蒸気爆発のような何かが膨張することで起こる爆発だ。周辺が真っ白になる。


「さすがにMP7000の爆発は激しいね」

「あんなに不安定なのね」

「魔石はかなり安定しているけど、そこからの魔力抽出は結構効率悪いんだよね。魔石が石炭だとすれば、フレイヤの魔力は、圧縮された天然ガスみたいな感じかな? でも、これで一個技ができたね。周囲の魔力を吸収して爆発する爆弾魔法」

「いいじゃないか。新技。おれも何か考えるか」


 ジェシーはウォッカを飲むと、何か包丁をもってうろうろしている。街中なら不審者情報に載るところだ。


「さきほどの大きな音は何?」


 フラムが山小屋から顔を出す。


「暴発した魔力の爆発みたい」


 アリスが代わりに解説してくれる。


「魔力の保持の実験だったね。魔石に保存する方法が一般的だけど、魔石って保存できる魔力に対して徐々に嵩張るから、携帯に向いていないのよね」

「僕わかった!」


 そこでひよりが大きな声を出す。フラムはいきなりの大声にビクッとして耳をふさぐ。気が強そうな美人なのに怯えた表情にギャップがある。かわいい。


「あ、ごめんごめん。フレイヤの魔力をため込む補助具を思いついたんだ。ちょっと待ってね」


 ひよりがマジックバッグから幾つかの魔道具を取り出してくる。何か凄いものがでてくるのかと思えば、それはカンテラだった。


「ジェシー、このカンテラに安全地帯をつくれる?」

「ああ、お安い御用だ。貸してみな」


 ジェシーは片手でグラスを持ちながら、ひよりからカンテラを受け取る。


「よし、このカンテラの周囲に張ってみたぞ」

「ありがと。さぁ、フレイヤ。このカンテラの中ににさっきの白い球を作ってみて。軽くでいいよ。MP1000くらいで」


 カンテラを受け取る。周囲に安全地帯特有の膜みたいなものがある。俺は、その中にエナジードレインを放り込む。


「あら? エナジードレインが上手くいかないわ。失敗かしら?」

「失敗ではないよ。確認がしたかったんだ。ジェシーの安全地帯のスキルを上手く使えば、エナジードレインの球を安定的に捉えることは出来るね。今のは、魔力を通さない膜だから、エナジードレインが魔力を集められなかった」


 ひよりが端末に絵をかいて解説してくれる。


「ジェシー、この膜に穴ってあけられる?」

「んー、簡単に言うなぁ。やってみたことは無いが、試してみる。お、できたな」

「じゃあ、フレイヤもう一度魔力を集めてみて」


 俺は再び白い渦をカンテラの中に作っていく。すると、魔力がどんどんたまっていく。


「良い感じ。じゃあ、ジェシー、その穴ふさいで」

「はいはい。ひより先生」


 ジェシーは助手っぽく返事して、その穴をふさぐ。すると、白い渦が中で安定している。


「魔道技術というよりは、工芸に近いわね。でも、魔力も安定しているし、魔力を持ち運ぶにはとてもいいわね」


 フラムがカンテラの白い渦を眺めている。それは、カンテラの動きに合わせて、中央で動かずに浮いている。


「新しい魔力貯蔵の方式ができたかも。さぁ、これをちゃんと技術的に確立しなくっちゃね。さぁ、朝までがんばるぞー」


 ひよりは上機嫌にそういった。いや、今夕方だし、南さんが帰ってくる。


「南さんに叱られるわよ?」


 俺がそういうとひよりが唇を尖らせる。


「そうだった。まずはフラムの事を紹介する? どんな風に?」


 ひよりが俺に聞いてくるが、フラムに聞くのがいいだろう。


「いかがかしら、フラム?」


 フラムの表情が変わる。笹木がペルソナを切ったようだ。


「千里眼を持ったフレイヤの同郷人ってことでいくわ。笹木が召喚して、ダンジョン世界側に事情通な女性ってことでどう?」


 そんなわけで新たな仲間がエバーヴェイルに加わることになりそうだ。


というわけで、フラムが仲間に加わりました! 歓迎!

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― 新着の感想 ―
ダンジョン人側の情報持ち加入はデカい! これからアバター化するキャラはダンジョン人側の知識持ってくるのかな?
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