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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第7章 観測者になった日

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第2話 笹木とフラム

次なるアバター出現です。

 俺は笹木。久々に、素の姿で名古屋駅前を歩いている。さすがに、俺の顔は知られておらず、誰も振り返ったりもしない。3月に入り、陽気も良くなってきた中、駅前でソバを食べて帰ろうとしていると、ステータス欄が目の前に現れる。

 いつの間にかレベルが200になったようだ。しかし、アバターが増えるに従い、レベルアップが遅くなっている気がする。海底ダンジョンなんかも攻略したのに、レベルアップがなかなかできなかったのも、そのせいだ。


 そして、人とぶつからないように、建物の陰に体を寄せる。名古屋駅前の居酒屋の看板の下で、ステータス画面に浮かぶ選択肢を見つめる。


『こちらの中から選択してください』


『観測者  フラム レベル200』

『採掘師  ガルガド レベル200』


 

「ようやくだな。そして、やっぱりこの選択肢がでたな」


 思わず声に出してしまう。レベル100の次が、レベル200。その順番で、アバターが開放されていくのは、予想通りだった。俺は、その場から素早くクランベースに戻ることにする。

 クランベースでは、ひよりとフレイヤが工房エリアでお茶をしていた。そこに割り込むと工房エリアでアバターの選択が来たことを告げる。


「まずはフラムだと僕はおもう。貴重な鉱物アイテムなんかは欲しいけど、今はまだ必須じゃないさ」


 ひよりの発言にフレイヤも頷く。やはりそうだよな。

 ガルガドは、アイテム作りに有用な鉱物の採取などにとても有用だが、居ないとダメなシーンが思い浮かばない。しかし、観測者フラムの力は、今後役に立つシーンしか思いつかない。


「フラムは観測者。多分、アリスのラビリンス・ドリフトよりもさらに広い感知が可能だと思う」


 俺の言葉にひよりは端末を操作する。端末に映ったのは月とその裏側の映像。


「いま、見たい場所は月の裏にあるダンジョンね。アリスのスキルじゃ、場所は分かるけど、内部までは遠すぎて良くわからないよ」

「わたくしも、フラムに逢いたいわ。同郷という設定ですもの。何か新しい情報が得られるかもしれないわよ」


 確かにフラムは、地球を観測するダンジョン側の役人という設定だった。フレイヤが地球にやってきて手助けをするのに賛同した友人だった。俺の小説では確か…あれ? あまり覚えてないな。ダンジョン人のところに乗り込んだ時に、数回会話しただけだったような気もする。まぁ、そのあたりは、ペルソナが補完してくれるに違いない。


「じゃあ、フラムを選択する」


 すると、俺のステータスがまたレベル1に戻ってしまう。今までに比較すると弱く見えるが、一般人はHPやMPが一桁が一般的なのだから、レベル1でも破格の強さだというのが分かる。最近、スキル書を集める時間が無かったため、スキルは増えていない。いや、メルの努力によって加わった拳闘がある。


 

 ◇笹木小次郎

 レベル1

 HP:1020/1020

 MP:1910/1910

 称号:ダンジョンスレイヤー

 ユニークスキル: アバター▼

          アバタースロット1(フレイヤ・リネア・ヴィンテル)

          アバタースロット2(金城メル)

          アバタースロット3(ハヤト)


          アバタースロット4(ジェシー・ラバック)

          アバタースロット5(アリス・ラバック)

          アバタースロット6(遠山影子)

          アバタースロット7(フラム)

 スキル:ストーンスキン

     レビテート

     ドッペルゲンガー Lv.5

     エイジファントム

     回復強化

     防御強化

     体術

     変装

     隠密

     危険察知

     インビジブル

     拳闘

 


 ひよりもフレイヤもステータスを見て確認しているようだ。


「よし、じゃあ、フラムになってみるか。前回、ひよりの時は、親方を想像していたんだよな。今度のフラムは大丈夫だと思うが…」

「もう、選択しちゃったんだから、変身してみてよ。ほらほら」


 ひよりが囃し立てる。


「じゃあ、アバター、フラム」



 そして俺は、フラムに変身した。その姿にひよりがいち早く反応してくれる。


「へー、こんな感じなんだ。フレイヤよりも年上かなぁ。お姉さん感がある」


 工房エリアには大きな鏡があるため、俺もそこで確認してみる。フレイヤが赤毛で豊満なタイプに対して、青みがかった銀髪に灰色の瞳で一見冷ややかな印象があり、スレンダーな体型をしている。少し体を動かしてみると、引き締まった肉体という様子だ。中は筋肉がつまっているんじゃないだろうか。


「あー、あー。声も落ち着いた感じだ」


 自分の姿を確認すると、軍服のような衣装を着ている。設定では、ダンジョン人の省庁勤めだったはずだ。そこで俺はフラムのステータスを確認する。



 ◇フラム

 レベル200

 HP:2003/2003

 MP:6120/6120 

  スキル:リンク・ビジョン

     アイスマジック     

     ストーンスキン

     レビテート

     エイジファントム

     回復強化

     防御強化

     体術

     変装

     隠密

     危険察知

     インビジブル

     拳闘



「スキルは、リンク・ビジョンとアイスマジックがあるね」


 そこで俺は、リンク・ビジョンを使ってみる。適当な場所を考えると、オーブマシナリの門が見える。ひっきりなしにトラックが出入りしている。新たな工場を建てるとかで、工事車両がたくさん出入りしている。次は、昨日撮影に使った金沢ダンジョンの隠れエリアにつくった女子高も見える。さらに遠くを見ようとすると、アルカトラズ島なども見える。今、ダンジョンが出来たために観光地というよりは、新たなギルド支部の建築が進んでいるのだ。

 確認してみると、MPが300くらい減っている。距離でMPを消費するタイプだろうか。いろいろ検証が必要だろう。月まで見えるかが分からないが、MPを使い尽くして倒れるのは避けたい。


「いろいろ鮮明に見えるね。さすがに遠いとMPを結構使いそうだけど、すごく有用」


 俺の言葉にひよりがメモを取る。


「本命の月の裏はMP消費の検証後に回すことにして、次に口調や一人称を調べてみようかな。そういうわけで、今からペルソナに話をさせてみるから注意してね」


 一言断ってから、俺はペルソナを起動する。いきなり動き出さないように、椅子に座って目を閉じた状態から始める。

 目を開くと、前にはひよりとフレイヤが座っている。ひよりは楽しそうに微笑み、フレイヤは不安そうに遠巻きに眺めている様子だ。

 さて、フラムは何というだろうか。


「フレイヤ」


 すたっと立ち上がったと思うと、フレイヤに近づいておもむろに抱き着いた。そこに合わせて、フレイヤも雰囲気が変わる。多分、あちらもペルソナを起動したんだろう。そして、抱き合ったままフレイヤの会話が進む。


「フラム。久しぶりね」

「少し瘦せたんじゃないか? 地球では問題なく過ごせているのかい?」

「わたくしは楽しくやっているわ」


 フレイヤの言葉に安堵した様子だ。設定上は友達という間柄だから、このような再会劇もありだな。そして、体を少し離すとフレイヤの髪を少し触りながら、俺は話をつづける。すごく気を遣っているような感じだ。


「ショックを受けないでほしいんだけど、深淵派と調和派が全面的な闘争に発展して、ムー教授が亡くなったわ。おかげで、調和派の勢力が大きく削られて、地球への進出が早まりそうよ」


 俺の口からそんな発言が出る。深淵派? 調和派?


「ムー教授?」


 フレイヤが聞き返す。 


「そう、我らの生みの親、ムー教授よ」


 誰? 誰だよ。ムー教授って…。


ほんと誰でしょうね・・・。

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― 新着の感想 ―
 むー?  ムー教授?  ガームド?  ドムーガ……ムー。  むむむー?
げ、月間(刊)ムー…
ムー教授:笹木の黒歴史製造場の根幹をなす産みの親的な立ち位置 最初の黒歴史でありありとあらゆるスキルを有してる なんて最強な教授だと面白そうよね アバターMAXになる時の最後の柱的な人とか
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