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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第6章 くノ一になった日

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第18話 アリスと影子集団

アメリカ回です!

 俺は俺6号。今はアリスの姿をしている。俺5号のジェシーと一緒にアメリカのダンジョンに安全地帯を作ったり、ひそかに攻略したりとアメリカ出張を満喫している。そして、今は急速に安全地帯の構築を進めており、今日で完了する予定だ。予定よりも4日も早く終わる理由を知っているのは、俺と俺5号だけだったりする。何故なら、この数日、俺たちは各々で異なるダンジョンに向かい、安全地帯の構築を行っていったのだ。移動に必要なアリスと安全地帯構築に必要なジェシー。この2人を俺たちは1人でこなせるのだ。


 そういうことで、俺たちはアリスとジェシーを使い分けて2組に分かれて活動を始めたのだ。あらかじめ影子の分身を作り、さらにジェシーかアリス、足りない方のアバターに変身させることで安全地帯の構築に2人組で動いているように見せかける事もできる。


 ラスベガスのホテルでジェシーとアリスが夕暮れを見ながら打ち合わせをしている。安全地帯の構築は、夜中のダンジョンでの活動と決めているためだ。


「よし、今日で最後だな。じゃあ、おれはニューヨーク周辺のダンジョンを3つだ」

「長かったわ。私はフロリダ周辺のダンジョン4つだね。1つ多いね」


 俺は髪を結びながらテーブルに置いたスマホを見ている。攻略計画をスマホで共有しているのだ。


「明日にまわすか?」


 ジェシーがそう聞くが、俺が首を振る。


「いいえ、もう終わらせたいから、今日行って、当面休暇かな」

「そうだな」



 少しはラスベガスでも遊んでいる俺だが、夜中に仕事がある中、そこまでしっかりと楽しめていない。


「また、朝に」


 ジェシーはその場でアリスに変身する。


「じゃあねー」


 手を振って先に出ていく。インビジブルを使ったので、扉を出るころには消えている。


「では、いきますか」


 同じくインビジブルを使って俺もダンジョンに移動した。



 フロリダに向かった俺は、オーランドという町のダンジョンに向かった。最初に影子の分身を出し、2人組でこそこそと安全地帯を構築していく。その後も、3つのダンジョンを渡り歩き、数時間後には最後のマイアミのダンジョンに安全地帯構築を終えてしまった。


 ダンジョンから出た時には、まだ朝日が上がり始めていた。最近はダンジョンの出入りの記録を残さないように、インビジブルを使って移動しており、影子の分身と手をつないで一緒にマイアミビーチに向かう。念のために言うと、姿は影子とアリスの状態だ。マイアミダンジョンはマイアミビーチの側にあり、すぐ外には海が広がっている。

 まだ暗い中、女性2人でビーチにいるのは危険だということもあり、インビジブルは解いていない。じゃあ、ジェシーになればいい? いや、やっぱり泳ぐなら女の子だろう?

 

「気温が冬じゃないね。早朝なのに泳いでる人がいるし。サーファーもおおいわ」

「本当、冬じゃない。暖かいです」


 朝焼けがあるが、まだ暗い。


「影子。周辺に変な奴いない?」

「んー、今は居ないです。おらたちを認識していないからかもしれないので、アリスも感知をお願いします」


 そして、俺がラビリンス・ドリフトを起動して、周囲を感知する。


「浜辺には犬をつれた人と、カップル、海には、泳いでいる人、サーファーと大きなサメよ…サメ?」

「それまずいんじゃないですか? あ、ビリビリきてる。あのサーファーさんが狙われてると思う」


 そこには波を待っている男女のサーファーがいる。俺の感知でサメの外形がなんとなくつかめる。大きさは10メートルくらい?


「サメなんだけど、角みたいなのがあるよ。これ、モンスターかも、やばいかも」

「それってスタンピードが起こってるんじゃない!?」


 俺の発言に影子も焦る。俺はすかさず交信でジェシーに助けを求めつつ、インビジブルを解く。


「影子は顔バレしないように動いてね」

「承知」


 インビジブルを解いた影子は、ウェットスーツにゴーグルという姿で現れる。


「抜かりないわね。じゃあ、私がおびき寄せるからその間に避難誘導をお願い」


 俺はウェイトレス姿で浜辺に駈け出す。そして、試してみるのは、短距離転移。ダンジョンの中からじゃない転移は試したことがない。しかし、長距離転移から出る感覚は覚えている。じゃあ、後は試すだけだ。

 俺は今にも食べられそうなサーファーにむかって転移する。サーファーたちと目が合う。


「巨大なサメがいるわ! 逃げて!」


 俺はそう伝えると、海面に着水する。しかし、水面上で跳ねてみると沈み込まない。これなら走れそうだな。さすが、足技のアリス。そんな考えも一瞬だった。目の前に大口開けたサメが襲い掛かってくる。俺はその角が3本生えて黒い体表を持つサメのようなモンスターの背後に短距離転移して避ける。

 俺は今まで使っていなかったギミックを使う。ひよりが作ってくれたブーツの仕込み刃を出すと、思い切りサメ肌を蹴り上げる。大きな傷を生み、サメは海中にもぐりこむ。

 その間にサーファー2人は砂浜近くまで逃げている。海岸では、影子がさらに分身を増やしているようで、浜辺の人々を避難させている。どうやら警官の姿に化けている様だ。頭いいな。さすが俺。


「こっちよ! のろまなサメさん! パパに頼んでフカヒレのスープにしてあげるわ」


 俺は水面を駆ける。水しぶきが上がるが、海中からこちらを狙ってサメが高速で向かってくる。水の中ってこんなに抵抗ないものなの? 速すぎ!


「刻んであげるから水面に出てきなさいよ!」


 少しフェイントをかけて向かってみると、直線的にこちらに向かってくるサメ。俺は再度短距離転移を使ってサメの脇に降り立つと、回し蹴りを叩き込む。こちらも重さの差で弾き飛ばされるが、そのまま、また水面を駆け始める。

 サメが水面をブクブクと沈む途中に次第に消滅していく。しかし、俺は駆けるのをやめていない。


「あと5匹いるわね」


 俺はサーファーがいなくなったことを確認して、浜辺へと転移する。

 すると影子が声をかけてくる。


「アリス、避難完了したので、おらも戦う」


 影子の分身たちが警官となって海岸を封鎖しているようだ。それでも、周辺には10人のくノ一が終結する。


「じゃあ、影子がサメたちをひきつけて、私が背後から急襲するのでどう?」

「ふふ、おらたちだけでも倒せたら倒しますね」


 なかなか言うなぁ。そういうと影子たちは手に刀や手裏剣を持つ。

 影子たちは砂浜を駆けだすと海の上に浮かぶ。海の中ではなく、海の上だ。レビテートをうまく使っているのか忍術なのかは分からない。影子たちは手に持った武器で水面を叩き、サメたちを誘う。

 影子たちも水面を駆けだすと、サメに手裏剣を投げたりしながら誘いこんでいるようだ。そして、3匹が集まったところで、6人の影子が声を合わせて技を放った。


「「遠山流忍術 赤雷」」


 海中に放たれた電撃によって水面が沸き立ち水蒸気と水しぶきが周囲にまき散らされる。

 そして、サメが3匹ほど仰向けになって浮いてくる。そこに影子が群がり、サメに刀を突き立てる。


「「遠山流忍術 水斬り」」


 刀も切れ味が良いようでばっさりとサメが切り身にされていく。


「やるじゃない」


 でも、そこを襲い掛かったサメに向かって俺が転移する。水面を飛び上がったサメの角を薙ぐように蹴ってやると思った以上に角が固かったようだが、首が180度以上に回転し、消滅する。


「ありがとう。あと1匹」

「おっと、最後のは俺に任せてくれ」


 そこにジェシーが現れる。長いマグロ包丁を手に持ち空から降りてきた。そして、そのまま海中に飛び込むと、海中で打撃音が聞こえた後、海面が血に染まる。

 数秒してジェシーが海面に現れる。


「あぁ、あれだけ大きければ食べ応えがあるんだろうに消滅してしまうのは惜しい」


 そして、すっかり明るくなったマイアミビーチでは、多くのサーファーや観光客がスマホやカメラを構えていたのだった。これはまた有名になりそうな気がするな。

 

遠山流忍術・・・なんでもできますね。

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ガッツリ犯罪者の笹木
今回も17話?
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